[math][東京医科歯科大学][空間座標]2001年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 座標平面上で\(3\)点\(O(0, 0), A(1, 0), B(0, 1)\)を頂点にもつ正方形を考える。実数\(t\ \ (0\leq t\leq 2)\)に対して、\(2\)点\(P(t, 0), Q(0, t)\)を通る直線とこの正方形が交わってできる線分の長さを\(L(t)\)とする。このとき、関数\(L(t)\)のグラフを描き、定積分\(\displaystyle \int_{0}^{2}{L(t)dt}\)の値を求めよ。
\((2)\) 座標空間において\(4\)点\(O(0, 0, 0), A(1, 0, 0), B(0, 1, 0), C(0, 0, 1)\)を頂点にもつ立方体を考える。実数\(t\ \ (0\leq t\leq 3)\)に対して、\(3\)点\(P(t, 0, 0), Q(0, t, 0), R(0, 0, t)\)を通る平面によるこの立方体の切り口の面積を\(S(t)\)とする。このとき、関数\(S(t)\)の最大値を求めよ。
\((3)\) 定積分\(\displaystyle \int_{0}^{3}{S(t)dt}\)の値を求めよ。

方針

平面、空間どちらの場合も場合分けが生じる。

解答

\((1)\) \((a)\) \(0\leq t\leq 1\)のとき\(L(t) = \sqrt{2}t\)である。
\((b)\) \(1\leq t\leq 2\)のとき、\(L(t) = \sqrt{2}(2-t)\)である。したがって\(L(t)\)のグラフは以下のようになる。定積分\(\displaystyle \int_{0}^{2}{L(t)dt}\)の値は下図の斜線部の面積で、\(\displaystyle \frac{1}{2}\times 2\times \sqrt{2} = \underline{\sqrt{2}}\)となる。

\(L(t)\)の場合分け。
\(L(t)\)の概形図。

\((2)\) 切り口の形状は\(t\)の値によって\(3\)通りに分けられる。
\(\ \ (a)\) \(0\leq t\leq 1\)のとき、切り口の図形は正三角形で、一辺の長さは\(\sqrt{2}t\)だから、面積は\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4}(\sqrt{2}t)^2 = \frac{\sqrt{3}}{2}t^2\)となる。
\(\ \ (b)\) \(1\leq t\leq 2\)のとき、切り口の図形は六角形で、下の図からその面積は一辺の長さが\(\sqrt{2}t\)の正三角形\(PQR\)から一辺の長さが\(\sqrt{2}(t-1)\)の正三角形を\(3\)つ取り除いたものになる。$$\begin{eqnarray}S(t) & = & \frac{\sqrt{3}}{2}t^2-3\times \frac{\sqrt{3}}{4}(\sqrt{2}(t-1))^2\\ & = & -\sqrt{3}t^2+3\sqrt{3}t-\frac{3\sqrt{3}}{2}\\ & = & -\sqrt{3}\left(t-\frac{3}{2}\right)^2+\frac{3\sqrt{3}}{4}\end{eqnarray}$$となる。
\(\ \ (c)\) \(2\leq t\leq 3\)のとき、切り口は一辺の長さが\(\sqrt{2}(3-t)\)の正三角形だから、面積は\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4}(\sqrt{2}(3-t))^2 = \frac{\sqrt{3}}{2}(3-t)^2\)となる。

青が\((a)\)、緑が\((b)\)、そして赤が\((c)\)の場合になる。

以上から、$$S(t) = \begin{cases}\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}t^2\ \ (0\leq t\leq 1)\\ \displaystyle -\sqrt{3}\left(t-\frac{3}{2}\right)^2+\frac{3\sqrt{3}}{4}\ \ (1\leq t\leq 2)\\ \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}(3-t)^2\ \ (2\leq t\leq 3)\end{cases}$$となる。\(S(t)\)のグラフの概形は以下の図のようになる。最大値は、\(\displaystyle t = \frac{3}{2}\)のとき、\(\displaystyle \underline{\frac{3\sqrt{3}}{4}}\)となる。

\(S(t)\)の概形図。

\((3)\) \((2)\)から、\(S(t)\)のグラフは\(\displaystyle t = \frac{3}{2}\)に関して対称であるから、計算すると、$$\begin{eqnarray}\int_{0}^{3}{S(t)dt} & = & 2\int_{0}^{\frac{3}{2}}{S(t)dt}\\ & = & 2\int_{0}^{1}{\frac{\sqrt{3}}{2}t^2dt} + 2\int_{1}^{\frac{3}{2}}{\left(-\sqrt{3}\left(t-\frac{3}{2}\right)^2+\frac{3\sqrt{3}}{4}\right)dt}\\ & = & \left[\frac{\sqrt{3}}{3}t^2\right]_{0}^{1}+2\left[-\frac{\sqrt{3}}{3}\left(t-\frac{3}{2}\right)^2 + \frac{3\sqrt{3}}{4}t\right]_{1}^{\frac{3}{2}}\\ & = & \frac{\sqrt{3}}{3} + 2\left(\frac{3\sqrt{3}}{4}\cdot \frac{3}{2} -\frac{\sqrt{3}}{3}\cdot \frac{1}{8}-\frac{3\sqrt{3}}{4}\right)\\ & = & \underline{\sqrt{3}}\end{eqnarray}$$となる。

解説

\((1), (3)\)もすぐに答えが分かったという受験生も多かったかもしれない。\((1)\)は面積\(1\)の正方形を\(\sqrt{2}dt\)の方向にスキャンしているので答えは当然\(\sqrt{2}\)になる。\((3)\)も体積\(1\)の直方体を\(\sqrt{3}dt\)方向にスキャンしたものなので、答えは当然\(\sqrt{3}\)になる。

\((1)\) 場合分けが必要になるが、問題はないだろう。

\((2)\) ここはどうやっても計算が必要になる。少し考えれば\(3\)通りの場合分けが必要であることがわかる。空間図形に慣れないと難しく感じパニックになるが、問題そのものはあまり難しくはない。ポイントは冷静に大きめの図を描くことである。解答の\((b)\)の場合分けが一番難しいが、大きい正三角形\(PQR\)から\(3\)つの小さいな正三角形を取り除くのが簡単である。

\((3)\) 計算は面倒だが、過程はしっかり書いた方が間違えにくい。どうせ計算しなくても上に書いたように答えはすぐに分かるが。

関連問題

1991年前期東京医科歯科大学数学問題2 空間図形と方程式
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積
2010年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と体積
2012年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と求積、断面図

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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