[math][東京医科歯科大学][座標平面]1999年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 座標平面上の次の直線\(l_1, l_2, l_3\)が少なくとも\(1\)点を共有するような整数の組\((a, b)\)をすべて求めよ。$$\begin{eqnarray}l_1: & & x + y = 1\\ l_2: & & ax+by = 3\\ l_3: & & a^2x+b^2y = 4\end{eqnarray}$$
\((2)\) 空間内の平面\({\pi}_2, {\pi}_2, {\pi}_3\)が少なくとも\(2\)点を共有するような整数の組\((a, b, c)\)をすべて求めよ。$$\begin{eqnarray}{\pi}_1: & & x + y + z = 1\\ {\pi}_2: & & ax+by + cz = 2\\ {\pi}_3: & & a^2x+b^2y + c^2z = 5\end{eqnarray}$$

方針

連立方程式の基本は一文字消去である。正体の分かっている\(l_1\)や\({\pi}_1\)の方程式からまず一文字消去するのが良いだろう。

解答

\((1)\) \(l_1\)の方程式\(x + y = 1\)から\(y = 1-x\)として\(l_2\)の方程式に代入すると、$$\begin{eqnarray}ax + b(1-x) & = & 3\\ \iff (a-b)x & = & 3-b\end{eqnarray}$$となる。\(a-b = 0\)とすると\(0 = 3-b\)なので\(a=b=3\)となる。すると、$$\begin{eqnarray}l_1: & & x+y & = & 1 \\ l_2: & & 3(x + y) & = & 1\\ l_3: & & 9(x+y) & = & 4\end{eqnarray}$$となる。\(l_1, l_2, l_3\)はどれも互いに平行なので交点を持たない。したがって\(a\ne b\)であり、\(l_1\)と\(l_2\)の交点は\(\displaystyle \left(\frac{3-b}{a-b}, \frac{a-3}{a-b}\right)\)となる(\(y = 1-x\)から)。この交点が\(l_3\)も通るとき、$$\begin{eqnarray}a^2\cdot \frac{3-b}{a-b}+b^2\cdot \frac{a-3}{a-b} & = & 4\\ a^2(3-b)+b^2(a-3) & = & 4(a-b)\\ 3a^2-a^2b+ab^2-3b^2 & = & 4(a-b)\\ 3(a+b)(a-b)-ab(a-b) & = & 4(a-b)\\ 3(a+b)-ab & = & 4\ \ (a-b\ne 0)\\ ab-3(a+b)+4 & = & 0\\ (a-3)(b-3) & = & 5\end{eqnarray}$$となる。\(a, b\)は整数なので、\((a-3, b-3) = (1, 5), (5, 1), (-1, -5), (-5, -1)\)となる。よって、\(\underline{(a, b) = (4, 8), (8, 4), (2, -2), (-2, 2)}\)となる。

\((2)\) \({\pi}_1\)の方程式から\(z = 1-x-y\)である。これを\({\pi}_2, {\pi}_3\)の方程式に代入して整理すると、$$\begin{eqnarray}{\pi}_2: & & (a-c)x+(b-c)y & = & 2-c\\ {\pi}_3: & & (a^2-c^2)x+(b^2-c^2)y & = & 5-c^2\end{eqnarray}$$となる。上の直線は順に\({\pi}_2, {\pi}_2\)の交わり、\({\pi}_1, {\pi}_3\)の交わりである。これらの直線を順に\(m, n\)とする。

\(m, n\)が交わらないとき(つまり、\(m\)と\(n\)が平行でしかも一致しないときか、ねじれの位置にあるとき)、\({\pi}_1, {\pi}_2, {\pi}_3\)は共有点を持たない。

\(m\)と\(n\)が交点を持てば、その交点は\({\pi}_1, {\pi}_2, {\pi}_3\)の共有点になるが、そういった共有点が少なくとも\(2\)つあるためには、\(m\)と\(n\)は一致しなければいけない。そのための条件を探そう。\(c = 2\)とすると、$$\begin{eqnarray}m: & & (a-2)x + (b-2)y = 0\\ n: & & (a^2-4)x+(b^2-4)y = 1\end{eqnarray}$$となって\(m, n\)は一致しない(前者は原点を通るが後者は通らない)。したがって\(c-2\ne 0\)である。また、\(c\)は整数であるから\(5-c^2\ne 0\)である。\(m, n\)の方程式を書き直すと、$$\begin{eqnarray}\frac{a-c}{2-c}x+\frac{b-c}{2-c}y & = & 1\\ \frac{a^2-c^2}{5-c^2}x+\frac{b^2-c^2}{5-c^2}y & = & 1\end{eqnarray} \tag{a}\label{a}$$である。この\(2\)直線が一致するのは、$$\begin{cases}\displaystyle \frac{a-c}{2-c} = \frac{a^2-c^2}{5-c^2}\\ \displaystyle \frac{b-c}{2-c} = \frac{b^2-c^2}{5-c^2} \end{cases}$$のときである。整理すると、$$\begin{cases}\displaystyle \frac{(a-c)(5-2a-2c+ac)}{(2-c)(5-c^2)} = 0\\ \displaystyle \frac{(b-c)(5-2b-2c+bc)}{(2-c)(5-c^2)} = 0\end{cases} \tag{b}\label{b}$$である。
\(\ \ (a)\) \(a-c = 0\)とすると、\eqref{a}から$$\begin{eqnarray}m: (b-c)y & = & 2-c\\ n: (b^2-c^2)y & = & 5-c^2\end{eqnarray}$$となる。\(b-c = 0\)とすると\(0=2-c=5-c^2\)となり矛盾で、また\(b+c = 0\)とすると\(0 = 5-c^2\)となるので矛盾。したがって\(m, n\)の方程式は$$\begin{eqnarray}m: y = \frac{2-c}{b-c}\\ n: y = \frac{5-c^2}{b^2-c^2}\end{eqnarray}$$となる。これが一致するから、$$\begin{eqnarray}\frac{2-c}{b-c} & = & \frac{5-c^2}{b^2-c^2}\\ (2-c)(b+c) & = & 5-c^2\\ bc-2b-2c+5 & = & 0\\ (b-2)(c-2) & = & -1\end{eqnarray}$$である。したがって、\((b-2, c-2) = (1, -1), (-1, 1)\)となる。よって、\((b, c) = (3, 1), (1, 3)\)である。以上から、\(\underline{(a, b, c) = (1, 3, 1), (3, 1, 3)}\)である。
\(\ \ (b)\) \(b-c = 0\)とすると、\eqref{a}から$$\begin{eqnarray}m: (a-c)x & = & 2-c\\ n: (a^2-c^2)x & = & 5-c^2\end{eqnarray}$$となる。\(a-c = 0\)とすると\(0 = 2-c = 5-c^2\)となり矛盾で、また\(a+c = 0\)とすると、\(0 = 5-c^2\)となるので矛盾。したがって\(m, n\)の方程式は$$\begin{eqnarray}m: x &= & \frac{2-c}{a-c}\\ n: x & = & \frac{5-c^2}{a^2-c^2}\end{eqnarray}$$となる。これが一致するから、$$\begin{eqnarray}\frac{2-c}{a-c} & = & \frac{5-c^2}{a^2-c^2}\\ (2-c)(a+c) & = & 5-c^2\\ ac-2a-2c+5 & = & 0\\ (a-2)(c-2) & = & -1\end{eqnarray}$$である。したがって、\((a-2, c-2) = (1, -1), (-1, 1)\)となる。よって、\((a, c) = (3, 1), (1, 3)\)である。以上から、\(\underline{(a, b, c) = (3, 1, 1), (1, 3, 3)}\)となる。
\(\ \ (c)\) \(a-c\ne 0\)かつ\(b-c\ne 0\)とすると、\eqref{b}から$$\begin{cases}5-2a-2c+ac & = & 0\\ 5-2b-2c+bc & = & 0\end{cases}$$である。変形して、$$\begin{cases}(a-2)(c-2) & = & -1\\ (b-2)(c-2) & = & -1\end{cases}$$である。上の式から\((a, c) = (3, 1), (1, 3)\)となり、下の式から\((b, c) = (3, 1), (1, 3)\)となるが、両者を併せて\(\underline{(a, b, c) = (3, 3, 1), (1, 1, 3)}\)となる。

以上から、求める答えは\(\underline{(a, b, c) = (1, 3, 1), (3, 1, 3), (3, 1, 1), (1, 3, 3), (3, 3, 1), (1, 1, 3)}\)となる。

解説

\((1)\) とりあえず\(l_1\)を\(l_2\)の方程式に代入すると場合分けが生じる。この問題の場合、こういった場合分けを回避するのは難しいだろう。平面なので\(l_1, l_2\)の交点を\(l_3\)も通れば条件は達成される。

\((2)\) \((1)\)よりも複雑だが、議論を見失わないように慎重に進めたい。\({\pi}_1\)と\({\pi}_2\)の交わる直線を\(m\)、\({\pi}_2\)と\({\pi}_3\)の交わる直線を\(n\)としたとき、\(m, n\)がどのような関係になるのかは様々な場合が考えられる。解答ではそれを一つ一つ追い求めている。最初から\(a, b, c\)が整数であるという条件を活用した方が良い。

関連問題

特に下の1989年の東京大学の問題はよく参照されたい。

1973年東京大学理系数学問題2 数と式
1989年東京大学文理共通 同値変形
2007年東京医科歯科大学前期数学問題3 行列と二次曲線、整数解、連立方程式

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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