[math][東京医科歯科大学][座標平面]1998年東京医科歯科大学数学問題1

person holding an oval mirror math
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問題

次の問いに答えよ。
\((1)\) \(AB = 2, AD = 4\)の長方形\(ABCD\)の\(2\)本の対角線の交点を\(E\)とする。点\(E\)を通り、長方形\(ABCD\)に含まれるような円の全体を考え、それらの中心が作る図形の面積\(S_1\)を求めよ。
\((2)\) 定点\(O\)を中心とする半径\(4\)の円を\(F\)とし、点\(O\)からの距離が\(2\)の定点\(H\)をとる。点\(H\)を内部に含み、円\(F\)に含まれるような円全体を考えそれらの中心が作る面積\(S_2\)を求めよ。

方針

もちろん座標設定する。

解答

\((1)\) \(xy\)平面の原点に点\(E\)を置いて、点\(A, B, C, D\)を順に\((2, 1), (-2, 1), (-2, -1), (2, -1)\)に配置する。

\(A, B, C, D, E\)の配置。

円の方程式を\((x-a)^2+(y-b)^2=c^2\)とする。この点が原点\(E\)を通ることから、\((0-a)^2+(0-b)^2=c^2\)である。したがって円の方程式は\((x-a)^2+(y-b)^2=a^2+b^2\)である。\(a > 0, b > 0\)の場合を考えると、下の図から円が長方形\(ABCD\)に含まれる条件は$$\begin{cases}a+\sqrt{a^2+b^2} & < & 1\\ b+\sqrt{a^2+b^2} & < & 2\end{cases}$$である。

図形概略図。

変形すると、$$\begin{cases}\sqrt{a^2+b^2}& < &1-a\ \ (1-a>0)\\ \sqrt{a^2+b^2} & < & 2-b\ \ (2-b > 0)\end{cases}$$である。両辺を二乗して、$$\begin{cases}a^2+b^2 & < & 1-2a+a^2, \ \ a<1\\ a^2+b^2 & < & 4-4b+b^2, \ \ (b < 2)\end{cases}$$であり、さらに変形して$$\begin{cases}a & < & \displaystyle \frac{1-b^2}{2}, \ \ a<1\\ b & < & \displaystyle \frac{4-b^2}{4}, \ \ b < 2\end{cases}$$となる。これを図示すると以下の図のようになる。

上図の斜線部の部分が求める面積の\(\displaystyle \frac{1}{4}\)になる。

求める面積\(S_1\)は下図の斜線部の面積の\(4\)倍で、$$\begin{eqnarray}S_1 & = & 4\int_{0}^{1}{\frac{1-b^2}{2}db}\\ & = & 2\left[b-\frac{b^3}{3}\right]_{0}^{1}\\ & = & \underline{\frac{4}{3}}\end{eqnarray}$$となる。

\((2)\) ここでも点\(O\)を原点とする\(xy\)座標平面を考える。点\(H\)を\((2, 0)\)とする。題意のような円を\((x-p)^2+(y-q)^2=r^2\)とする。この円が\(H\)を内部に含むことから、$$(2-p)^2+(0-q)^2 < r^2\ \ \tag{a}\label{a}$$である。また、この円が円\(F\)に含まれることから、\(2\)つの円の中心間の距離は\(2\)つの円の半径の差よりも小さくなるので、$$\sqrt{p^2+q^2} < 4-r\ \ \tag{b}\label{b}$$である。\eqref{a}, \eqref{b}から$$\sqrt{(2-p)^2+q^2} < 4-\sqrt{p^2+q^2}$$である。つまり、$$\sqrt{p^2+q^2}+\sqrt{(p-2)^2+q^2} < 4$$である。これは\(pq\)平面において点\((0, 0)\)と点\((2, 0)\)からの距離の和が一定値\(4\)未満である点の集合なので、楕円の内部(周を含まない)になる。この楕円は下図のようになり、長軸の長さは\(4\)、短軸の長さは\(2\sqrt{3}\)になるから、求める面積は\(\displaystyle S_2 = \frac{4}{2}\cdot \frac{2\sqrt{3}}{2}\cdot \pi = \underline{2\sqrt{3}\pi}\)となる。

図の楕円の内部を動く。

解説

意外に厄介な問題で、結果を見ると二次関数や楕円が現れるので、図形的に処理するのは難しい。

\((1)\) 円の中心と半径を文字で置いて数式で処理する対称性から\(a > 0, b > 0\)のときだけを考えて後で面積を\(4\)倍すると良い。

\((2)\) 円\(C_1\)と円\(C_2\)があって、それぞれの半径を\(r_1, r_2\)、中心間の距離を\(d\)とすると、円\(C_1\)の内部に円\(C_2\)が含まれる条件は$$d < r_1-r_2$$である。教科書にも載っている基本的事実で、図を描いて見るとすぐに様子はわかるが、意外に忘れやすいかもしれない。解答では$$\sqrt{p^2+q^2} + \sqrt{(p-2)^2+q^2} < 4$$が出た時点でそれ以上計算を進めず楕円の定義に戻っている。計算すると、これは\(\displaystyle \frac{(p-1)^2}{4}+\frac{q^2}{3} < 1\)であることがわかる。

長軸の長さが\(a\)、短軸の長さが\(b\)の楕円の面積は\(\displaystyle \frac{a}{2}\cdot \frac{b}{2}\cdot \pi\)となる。\(a = b\)のときにこれは円の面積の公式となる。

関連問題

1999年東京医科歯科大学数学問題2 複素数平面と二次形式、楕円
2002年度東京医科歯科大学前期数学問題1 ベクトルと軌跡、円と楕円、面積
2010年前期東京医科歯科大学数学問題3 二次曲線と楕円

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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