[math][東京医科歯科大学][微分]1999年東京医科歯科大学数学問題3

aerial view of road in the middle of trees math
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問題

座標平面上で、点\(Q\)は点\(P\)を中心とする半径\(r\)の円周上を毎秒\(\omega\)ラジアン(\(\omega > 0\))の速さで正の向きに等速回転している。さらに点\(P\)は原点を中心とする半径\(1\)の円周上を毎秒\(1\)ラジアンの速さで正の向きに等速回転している。時刻\(t = 0\)において\(P\)は点\((1, 0)\)、\(Q\)は点\((r+1, 0)\)にあるとして、以下の問いに答えよ。
\((1)\) ある時刻において点\(Q\)の加速度ベクトルが零ベクトルになったとする。\(\displaystyle r = \frac{1}{3}\)のとき、\(\omega\)の値を求めよ。
\((2)\) \(\displaystyle r = \frac{1}{2}, \omega = 2\)とする。時刻\(t = 0\)から\(t = 2\pi\)までの間に\(Q\)が動いた道のりを求めよ。

方針

速度、加速度については物理選択の受験生の方が有利かもしれない。教科書に必ず定義が載っているはずなので、確認すると良い。特に医科歯科大学ではこの数十年で何度も繰り返し出題されているので、受験生も対策を行ってはいけない。

解答

\((1)\) 与えられた条件から、$$\begin{eqnarray}\overrightarrow{OP} & = & (\cos{t}, \sin{t})\\ \overrightarrow{OQ} & = & \overrightarrow{OP} + r(\cos{\omega t} , \sin{\omega t})\\ & = & (\cos{t}+r\cos{\omega t}, \sin{t} + r\sin{\omega t})\end{eqnarray}$$となる。点\(Q\)の加速度ベクトルは、$$\begin{eqnarray}\frac{d\overrightarrow{OQ}}{dt} & = & (-\sin{t}-r\omega \sin{\omega t}, \cos{t}+r\omega\cos{\omega t}) \tag{a}\label{a}\\ \frac{d^2{\overrightarrow{OQ}}}{dt^2} & = & (-\cos{t}-r{\omega}^2\cos{\omega t}, -\sin{t}-r{\omega}^2\sin{\omega t})\end{eqnarray}$$であるから、点\(Q\)の加速度ベクトルが零ベクトルであるとき、$$\begin{cases}-\cos{t} & = & r{\omega}^2\cos{\omega t}\\ -\sin{t} & = & r{\omega}^2\sin{\omega t}\end{cases}$$である。両辺を二乗してから足すと、\(1 = r^2{\omega}^4\)となる。\(\displaystyle r = \frac{1}{3}\)のとき\({\omega}^2 = 9\)となる。\(\omega > 0\)であるから、\(\underline{\omega = \sqrt{3}}\)である。

\((2)\) \((1)\)の過程から、\(Q\)の速度ベクトルは\eqref{a}である。時刻\(t = 0\)から\(t = 2\pi\)までに\(Q\)の動く道のりを\(l\)とすると、$$\begin{eqnarray}l & = & \int_{0}^{2\pi}{\sqrt{(-\sin{t}-r\omega\sin{\omega t})^2+(\cos{t}+r\omega\cos{\omega t})^2}dt}\\ & = & \int_{0}^{2\pi}{\sqrt{1+r^2{\omega}^2+2r\omega(\sin{t}\sin{\omega t}+\cos{t}\cos{\omega t})}dt}\\ & = & \int_{0}^{2\pi}{\sqrt{1+r^2{\omega}^2 + 2r\omega\cos{(\omega-1)t}}dt}\end{eqnarray}$$となる。\(\displaystyle r = \frac{1}{2}, \omega = 2\)を代入して、$$\begin{eqnarray}l & = & \int_{0}^{2\pi}{\sqrt{1+1+2\cos{t}}dt}\\ & = & \sqrt{2}\int_{0}^{2\pi}{\sqrt{1+\cos{t}}dt}\\ & = & \sqrt{2}\int_{0}^{2\pi}{\sqrt{2\cos^2{\frac{t}{2}}}dt}\\ & = & 2\int_{0}^{2\pi}{\left|\cos{\frac{t}{2}}\right|dt}\\ & = & 2\int_{0}^{\pi}{\cos{\frac{t}{2}}dt}-2\int_{\pi}^{2\pi}{\cos{\frac{t}{2}}dt}\\ & = & 4\left[\sin{\frac{t}{2}}\right]_{0}^{\pi}-4\left[\sin{\frac{t}{2}}\right]_{\pi}^{2\pi}\\ & = & \underline{8}\end{eqnarray}$$となる。

解説

\((1)\) 定義の確認だけなのだが、医科歯科受験生の中でもど忘れしてしまった人は少なくはないだろう。こういう基本的な問題を解決できる力を身に着けないと難問はいつまで経っても解けない。基本事項は何十回も紙に書いて頭と手に叩き込んでしまうのが良い。それすらできないと最終的に合格点を取る力はつかない。数学は紙に書くことで身につく部分も大きいので、手を抜いてはいけない。

\((2)\) 計算問題であるが、絶対値を外すところには注意する。レベルの高い受験生でもミスしがちな部分である。

関連問題

2002年京都大学理系数学第4問 微分、積分、曲線の長さ
2003年東京医科歯科大学数学問題3 曲線の長さと積分、誘導の利用
2006年東京医科歯科大学数学問題3 双曲線関数と積分、曲線の長さ

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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