問題
次の問いに答えよ。ただし\(i\)は虚数単位とする。
\((1)\) 複素数\(z = x +yi\)(\(x, y\)は実数)を\(\displaystyle z +\frac{1}{z}\)が実数となるように動かすとき、\(x^2y+4y^3\)の最大値を求めよ。
\((2)\) 座標平面上の各点\(P(x, y)\)に対して複素数\(\displaystyle z = \left(x+y-\frac{1}{2}\right)+(x-y)i\)を考える。このとき\(\displaystyle z^2+\frac{1}{z^2}\)が実数となるような点\(P(x, y)\)の存在範囲を座標平面上に図示せよ。
方針
簡単な問題であるが、\(x = y = 0\)の場合を見落とさないように気をつける。
解答
\((1)\) \(\displaystyle \frac{1}{z}\)が存在するので、\(x^2+y^2\ne 0\)である。$$\begin{eqnarray}z + \frac{1}{z} & = & x+yi + \frac{1}{x+yi}\\ & = & x+yi + \frac{x-yi}{x^2+y^2}\\ & = & x+\frac{x}{x^2+y^2} + y\left(1-\frac{y}{x^2+y^2}\right)i\end{eqnarray}$$である。したがって、\(\displaystyle z + \frac{1}{z}\)が実数であるとき、\(y = 0\)または\(x^2+y^2=1\)である。
\(y = 0\)のとき、\(x^2y+4y^3 = 0\)である。
\(x^2+y^2=1\)のとき、\(-1\leq y\leq 1\)であり、$$\begin{eqnarray}x^2y+4y^3 & = & (1-y^2)y+4y^3 \\ & = & 3y^3+y\end{eqnarray}$$となる。これを\(y\)について微分すると、\(9y^2+1 > 0\)となるので、\(3y^2+y\leq 3\cdot 1^3 + 1 = 4\)である。以上から\(x^2y+4y^3\)の最大値は\(\underline{4}\)となる。
\((2)\) \(z\)の共役複素数を\(\bar{z}\)とすると、\(\displaystyle z^2+\frac{1}{z^2}\)が実数である条件は$$z^2+\frac{1}{z^2} = \overline{z^2+\frac{1}{z^2}}={\bar{z}}^2+\frac{1}{{\bar{z}}^2}$$である。変形して、$$(z+\bar{z})(z-\bar{z}) = \frac{(z+\bar{z})(z-\bar{z})}{{z}^2{\bar{z}}^2}$$である。更に整理すると、$$(z+\bar{z})(z-\bar{z})(z\bar{z}-1) = 0$$となる。したがって、\(z+\bar{z} = 0\)または\(z-\bar{z} = 0\)または\(z\bar{z} -1 = 0\)である(\(z\bar{z} = |z|^2\)なので、\(z\bar{z}\ne -1\)である)。ここに\(\displaystyle z = \left(x+y-\frac{1}{2}\right)+(x-y)i\)を代入して、$$\begin{cases}\displaystyle x+y-\frac{1}{2} = 0\ \ または\\x-y = 0\ \ または\\ \displaystyle \left(x+y-\frac{1}{2}\right)^2+(x-y)^2 = 1\end{cases}$$となる。ただし、\(z+\bar{z} = 0\)かつ\(z-\bar{z} = 0\)のとき、\(z = 0\)となるので、\(\displaystyle x+y-\frac{1}{2} = 0\)かつ\(x-y = 0\)となる点、すなわち\(\displaystyle (x, y) = \left(\frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)\)は除く。$$\left(x+y-\frac{1}{2}\right)^2+(x-y)^2 = 1$$を整理すると、$$\left(x-\frac{1}{4}\right)^2+\left(y-\frac{1}{4}\right)^2 = \frac{1}{2}$$であるから、点\(P\)の存在範囲を図示すると以下の図のようになる。
解説
\((2)\) \((1)\)と同じ様に成分計算をしてもよいが、共役複素数を持ち出すと楽になる。これも除外点に注意する。
関連問題
1999年東京医科歯科大学数学問題2 複素数平面と二次形式、楕円
2000年東京大学理系前期第2問 複素数平面の名問題
2020年東京工業大学前期数学問題2 複素数平面
2022年東京工業大学数学問題4
複素数平面上の円、アポロニウスの円と軌跡、パラメータ表示された曲線の二階微分
コメント