[math][東京医科歯科大学][積分]1997年東京医科歯科大学数学問題3

green leaf plant on brown wooden stump math
Photo by Joey Kyber on Pexels.com

問題

座標平面上の曲線$$C: y = 2x^2-x^4\ \ (y\geq 0)$$および直線$$l: y = a\ (a\text{は}0<a<1\text{をみたす定数})$$を考える。このとき次の各問いに答えよ。
\((1)\) 曲線\(C\)と直線\(l\)の交点をすべて求めよ。
\((2)\) 曲線\(C\)と直線\(l\)で囲まれる図形のうち、\(y\geq a\)の部分を\(K_1\)、\(y\leq a\)の部分を\(K_2\)とする。このとき\(K_1, K_2\)を\(y\)軸のまわりに回転してできる立体の体積\(V_1, V_2\)をそれぞれ求めよ。
\((3)\) \(V_1 = V_2\)となるような\(a\)の値を求めよ。

方針

\(y\)軸まわりの積分はバームクーヘン分割を用いると良いが、この問題の場合なしでも解決する。

計算が主体の問題であり、奇抜な発想は求められていない。

解答

\((1)\) 曲線\(C\)と直線\(l\)の方程式を連立させて、$$\begin{eqnarray}2x^2-4x^4 & = & a\\ x^4-2x^2+a & = & 0\end{eqnarray}$$であるから、\(x^2 = 1\pm \sqrt{1-a}\)となる。したがって、\(x = \pm\sqrt{1\pm\sqrt{1-a}}\)である。求める交点は、\(\underline{(-\sqrt{1-\sqrt{1-a}}, a), (-\sqrt{1+\sqrt{1-a}}, a), (\sqrt{1-\sqrt{1-a}}, a), (\sqrt{1+\sqrt{1-a}}, a)}\)である。

\((2)\) \(y = 2x^2-x^4\)を\(x\)について微分すると\(y^{\prime} = 4(1-x)(1+x)\)となる。グラフの概形は以下の図のようになる。

\(K_1, K_2\)の概形図。

\((1)\)の過程を利用すると、$$\begin{eqnarray}V_1 & = & \int_{a}^{1}{\left(\sqrt{1+\sqrt{1-y}}\right)^2pi dy}-\int_{a}^{1}{\left(\sqrt{1-\sqrt{1-y}}\right)^2\pi dy}\\ & = & 2\pi\int_{a}^{1}{\sqrt{1-y}dy}\\ & = & 2\pi\left[-\frac{2}{3}(1-y)^{\frac{3}{2}}\right]_{a}^{a}\\ & = & \underline{\frac{4\pi}{3}(1-a)^{\frac{3}{2}}}\\ V_2 & = & \int_{0}^{a}{\left(\sqrt{1-\sqrt{1-y}}\right)^2\pi dy}\\ & = & \int_{0}^{a}{(1-\sqrt{1-y})\pi dy}\\ & = & \left[y + \frac{2}{3}(1-y)^{\frac{2}{3}}\right]_{0}^{a}\\ & = & \underline{\left(a+\frac{2}{3}(1-a)^{\frac{3}{2}}-\frac{2}{3}\right)\pi}\end{eqnarray}$$となる。

\((3)\) \((2)\)から、\(V_1 = V_2\)のとき$$\begin{eqnarray}\frac{4\pi}{3}(1-a)^{\frac{3}{2}} & = & \left(a+\frac{2}{3}(1-a)^{\frac{3}{2}}-\frac{2}{3}\right)\pi\\ \iff \frac{2}{3}(1-a)^{\frac{3}{2}} & = & \left(a-\frac{2}{3}\right)\\ \iff 2(1-a)^{\frac{3}{2}} & = & (3a-2)\\ \iff 4(1-a)^3 & = & (3a-2)^2\ \ (3a-2 > 0)\\ \iff 4a^3-3a^2 & = & 0 \\ \iff 4a^2\left(a-\frac{3}{4}\right) & = & 0\end{eqnarray}$$である。\(3a-2 > 0\)から\(\displaystyle \underline{a = \frac{3}{4}}\)が求める答えとなる。

解説

\((1)\) 式で解くのが簡単だろう。最初にグラフを描いて交点が\(4\)個あることを確認しておくと良い。

\((2)\) \((1)\)の計算過程を用いることができる。\(y\)軸の周りの回転体の体積はバームクーヘン分割が便利だが、ここではそれを用いる必要性は低い。

\((3)\) \((2)\)ができればご褒美の問題。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
2019年東京医科歯科大学数学問題3 バームクーヘン積分
2022年東京大学理系前期数学問題5 軸回りの回転体の体積、立体の求積

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました