[math][東京医科歯科大学][複素数]1996年東京医科歯科大学数学問題1

person holding an imaginary jar math
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問題

次の問いに答えよ。ただし\(i\)は虚数単位とする。
\((1)\) \(2\)次方程式\(x^2+(3+2i)x+1+ki = 0\)が少なくとも\(1\)個の実数解をもつような実数\(k\)の値を求めよ。
\((2)\) \(2\)次方程式\(x^2+(p+qi)x+q+pi = 0\)が少なくとも\(1\)個の実数解をもつように正の実数\(p, q\)が動くとき\(p^2+q^2\)の最小値を求めよ。

方針

\((1)\)は平均的な問題であるが、\((2)\)は数値計算が厄介である。

解答

\((1)\) 実数解を\(t\)と置くと、$$t^2+(3+2i)t+1+ki = 0$$であるから、実部と虚部に分けて書くと$$t^2+3t+1 +(2t+k)i = 0$$である。\(t, k\)は実数であるから、$$\begin{cases}t^2+3t+1 = 0 \\ 2t + k = 0\end{cases}$$である。下の式から\(\displaystyle t = -\frac{k}{2}\)であるから、上の式に代入して、$$\begin{eqnarray}\left(-\frac{k}{2}\right)^2+3\left(-\frac{k}{2}\right)+1 & = & 0\\ \iff k^2-6k+4 & = & 0\end{eqnarray}$$となるから、\(\underline{k = 3\pm\sqrt{5}}\)である。

\((2)\) 実数解を\(t\)と置くと、$$t^2+(p+qi)t + q + pi = 0$$であるから、実部と虚部に分けて書くと$$t^2+pt+q + (qt + p)i = 0$$である。\(t, p, q\)は実数であるから、$$\begin{eqnarray}t^2+pt+q = 0\\ qt + p = 0\end{eqnarray}$$である。\(q > 0\)であるから、下の式から\(\displaystyle y = -\frac{p}{q}\)である。上の式に代入して、$$\begin{eqnarray}\left(-\frac{p}{q}\right)^2+p\left(-\frac{p}{q}\right)+q & = & 0 \\ \iff p^2(1-q) + q^3 & = & 0\end{eqnarray}$$である。\(p, q\)は正であるから\(q > 1\)で、\(\displaystyle p^2 = \frac{q^3}{q-1}\)となる。したがって、$$p^2+q^2 = \frac{q^3}{q-1} + q^2$$である。\(\displaystyle f(q) = \frac{q^3}{q-1}+q^2\ \ (q > 1)\)として、\(f(q)\)の最小値を求める。$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(q) & = & \frac{3q^2(q-1)-q^3}{(q-1)^2}+2q\\ & = & \frac{2q^3-3q^2}{(q-1)^2}+2q\\ & = & \frac{2q^3-3q^2+2q(q-1)^2}{(q-1)^2}\end{eqnarray}$$である。分子をさらに計算すると、\(4q^3-7q^2+2q\)となる。これを\(g(q)\ \ (q > 1)\)とすると、$$\begin{eqnarray}g(q) & = & q(4q^2-7q+2)\\ & = & 4q(q-\alpha)(q-\beta)\end{eqnarray}$$となる。ただし、\(\displaystyle \alpha = \frac{7-\sqrt{17}}{8}, \beta = \frac{7+\sqrt{17}}{8}\)である。\(\alpha < 1, \beta > 1\)であり、\(1 < q < \beta\)で\(g(q) < 0\)、\(q > \beta\)で\(g(q) > 0\)であるから、\(q = \beta\)で\(f(q)\)は最小になる。\(g(\beta) = 0\)より\(4{\beta}^2-7\beta + 2 = 0\)であることに注意して、\(\displaystyle {\beta}^2 = \frac{7\beta-2}{4}\)としておく。$$\begin{eqnarray}f(\beta) & = & \frac{{\beta}^3}{\beta-1}+{\beta}^2\\ & = & \frac{\beta}{\beta-1}\cdot \frac{7\beta-2}{4}+\frac{7\beta-2}{4}\end{eqnarray}$$である。ここで、$$\begin{eqnarray}\frac{\beta}{\beta-1} & = & \frac{7+\sqrt{17}}{8}\cdot \frac{8}{\sqrt{17}-1}\\ & = & \frac{(7+\sqrt{17})(1+\sqrt{17})}{16}\\ & = & \frac{3+\sqrt{17}}{2}\\ \frac{7\beta-2}{4} & = & \frac{7\cdot \frac{7+\sqrt{17}}{8}-2}{4}\\ & = & \frac{33+7\sqrt{17}}{32}\end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray}f(\beta) & = & \frac{33+7\sqrt{17}}{32}\left(\frac{3+\sqrt{17}}{2}+1\right)\\ & = & \frac{33+7\sqrt{17}}{32}\cdot \frac{5+\sqrt{17}}{2}\\ & = & \frac{284+68\sqrt{17}}{32\cdot 2}\\ & = & \underline{\frac{71+17\sqrt{17}}{16}}\end{eqnarray}$$となる。

解説

\((1)\) \(k\)を求めた後はいちいち元の\(2\)次方程式が実数解をもつことの確認をしなくても良い。

\((2)\) やることは\((1)\)と同じであるが、数値計算が厄介である。最後まで答えを出せた受験生はほとんどいなかったのではないだろうか。いきなり代入するのでなく、ある程度簡単な形になるまで整理しなければならないが、この問題ではどこまでやればいいのか迷う。\(\displaystyle \alpha = \frac{7-\sqrt{17}}{8}\)であるが、\(\sqrt{17}\)は\(4\)より少し大きいくらいであるから(\(\sqrt{16} = 4\))、\(\alpha\)が\(1\)より小さい事がわかる。最終的な答えも汚い数値なので、自信が持てない。

関連問題

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1997年東京医科歯科大学数学問題1 複素数平面と座標
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関連リンク

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