[math][東京医科歯科大学][立体図形]1995年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

\(1\)辺の長さが\(1\)の正四面体\(ABCD\)が、三角形\(BCD\)が底面になるように平らな机の上に置いてある。辺\(CD\)の中点を\(E\)とし、三角形\(ABE\)において角\(B\)、角\(E\)の大きさをそれぞれ\(\beta, \gamma\)とする。また辺\(AB\)上に点\(P\)をとり、線分\(AP\)の長さを\(x\)とする。
\((1)\) \(\cos{\beta}\)の値を求めよ。
\((2)\) 線分\(PE\)の長さを\(x\)を用いて表わせ。
\((3)\) この四面体を、底面の\(1\)辺を軸として回転させて机の上でころがし、底面を入れかえる操作を考える。この操作を\(4\)回くり返し、次の順序で底面を入れかえるとき、点\(P\)の軌跡の長さ\(l\)を\(x\)と\(\gamma\)を用いて表わせ。$$BCD \rightarrow ABC \rightarrow ABD \rightarrow ACD \rightarrow BCD$$
\((4)\) \(l\)を最小にする\(x\)の値を求め、\(l\)の最小値を\(\gamma\)を用いて表わせ。

方針

回転の問題では回転角と回転軸を正しく捉えることが重要である。

解答

\((1)\) \(\displaystyle BE = AE = \frac{\sqrt{3}}{2}\)であるから、三角形\(ABE\)に余弦定理を適用して、$$\begin{eqnarray}\cos{\beta} & = & \frac{BE^2 + BA^2-AE^2}{2BA\cdot BE}\\ & = & \frac{1^2+\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2-\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2}{2\cdot 1\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}}\\ & = & \underline{\frac{1}{\sqrt{3}}}\end{eqnarray}$$である。

\((2)\) \(PAE = \beta\)であるから、三角形\(APE\)に余弦定理を適用して、$$\begin{eqnarray}PE & = & \sqrt{AP^2+AE^2-2AP\cdot AE\cdot \cos{\beta}}\\ & = & \sqrt{x^2+\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2-2x\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}\cdot \frac{1}{\sqrt{3}}}\\ & = & \underline{\sqrt{x^2-x+\frac{3}{4}}}\end{eqnarray}$$となる。

\((3)\) 点\(P\)から\(i\)回目の回転の回転軸への長さを\(l_i\ \ (i = 1, 2, 3, 4)\)とする。

図形の概略図。

\(BCD \rightarrow ABC\)回転の軸は\(BC\)で、\(\displaystyle l_1 = BP\cdot \sin{60^\circ} = \frac{\sqrt{3}}{2}(1-x)\)である。回転角は\(\pi-\gamma\)であるから、点\(P\)の軌跡の長さは\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}(1-x)(\pi-\gamma)\)である。
\(ABC \rightarrow ABD\)回転の軸は\(AB\)で、\(\displaystyle l_2 = 0\)であるから、点\(P\)の軌跡の長さは\(0\)である。
\(ABD \rightarrow ACD\)回転の軸は\(AD\)で、\(\displaystyle l_3 = AP\cdot \sin{60^\circ} = \frac{\sqrt{3}}{2}x\)である。回転角は\(\pi -\gamma\)であるから、点\(P\)の軌跡の長さは\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}x(\pi-\gamma)\)である。
\(ACD \rightarrow BCD\)回転の軸は\(CD\)で、\(\displaystyle l_4 = PE = \sqrt{x^2-x+\frac{3}{4}}\)である。回転角は\(\pi -\gamma\)であるから、点\(P\)の軌跡の長さは\(\displaystyle (\pi-\gamma)\sqrt{x^2-x+\frac{3}{4}}\)である。

以上から、全体での点\(P\)の軌跡の長さは$$\frac{\sqrt{3}}{2}(1-x)(\pi-\gamma)+ 0 + \frac{\sqrt{3}}{2}pi-\gamma) + (\pi-\gamma)\sqrt{x^2-x+\frac{3}{4}} = \underline{(\pi-\gamma)\left(\frac{\sqrt{3}}{2}+\sqrt{x^2-x+\frac{3}{4}}\right)}$$となる。

\((4)\) $$x^2-x+\frac{3}{4} = \left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\frac{1}{2}$$は\(\displaystyle x = \frac{1}{2}\)で最小値を取る。したがって、\((3)\)から$$l\geq (\pi-\gamma)\left(\frac{\sqrt{3}}{2}+\sqrt{\frac{1}{2}}\right)$$であるから、\(l\)の最小値は\(\displaystyle \underline{\frac{(\pi-\gamma)(\sqrt{3}+\sqrt{2})}{2}}\)となる。

解説

\((1)\) 当然余弦定理を使う。

\((2)\) ここも余弦定理が活躍する。\((1), (2)\)の結果は後で用いるので正しく求める必要がある。

\((3)\) たくさん図を書く必要はない。必要なのは点\(P\)と回転軸との距離、および回転角だけである。後者の回転角はこの場合ほとんど\(\pi-\gamma\)となる。これに気がつくことが第一の関門。第二の関門の回転軸であるが、たとえば\(ABD \rightarrow ACD\)の回転では、上の図を見ると共通の辺が\(AD\)なので、この辺が回転軸になることがすぐに分かる。後は点\(P\)から\(AD\)への垂線の長さを求めれば良い。

\((4)\) \((3)\)が解けた受験生にとってはサービス問題となる。

関連問題

1991年京都大学数学文理共通問題文系問題3理系問題3 四面体とベクトル、重心
1998年京都大学前期理系問題3 四面体、ベクトル
1997年東京医科歯科大学数学問題2 四面体とベクトル
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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