[math][東京医科歯科大学][確率]1994年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

\(2\)枚の硬貨\(X, Y\)を投げて座標平面上の\(2\)点\(A(a_1, a_2), B(_1, b_2)\)を次の表で与えられる位置に同時に移動させる操作\(S\)を考える。\begin{array}{|c|*3{c|}}\hline \text{硬貨} & \text{移動後の座標} & \\ \hline (X\ \ Y) & A & B \\ \hline \text{表 表} & (a_1+1, a_2+1) & (b_1, b_2+1) \\ \hline \text{表 裏} & (a_1+1, a_2) & (b_1+1, b_2) \\ \hline \text{裏 表} & (a_1, a_2+1) & (b_1-1, b_2)\\ \hline \text{裏 裏} & (a_1, a_2) & (b_1, b_2-1) \\ \hline\end{array}最初は\(A, B\)とも原点にあるとし、操作\(S\)を\(n\)回続けて行ったときに\(A, B\)が点\((x, y)\)にくる確率をそれぞれ\(P_n(x, y), Q_n(x, y)\)とする。
\((1)\) \(P_n(x, y)\ne 0\)となる点\((x, y)\)に対して\(P_n(x, y)\)の値を\(x, y, n\)を用いて表わせ。
\((2)\) 操作\(S\)を\(n\)回続けて行ったときの点\(B\)の座標\((b_1, b_2)\)を、そのときの点\(A\)の座標\((a_1, a_2)\)と\(n\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(Q_{10}(0, 0)\)を求めよ。

方針

\((1)\)が最大の山場で、平面上の話であるが\(x\)軸と\(y\)軸方向の話に分解して考える事ができるかどうかがポイントになる。

解答

\((1)\) \(1\)回コインを投げた後、点\(A\)は\(x\)軸方向へは確率\(\displaystyle \frac{1}{2}\)で\(+1\)進み、確率\(\displaystyle \frac{1}{2}\)でその場に留まる。したがって\(n\)回の施行後、点\(A\)は確率\(\displaystyle _{n}{\mathbb{C}}_{x}\times \left(\frac{1}{2}\right)^{x}\times \left(\frac{1}{2}\right)^{n-x} = \frac{_{n}{\mathbb{C}}_{x}}{2^n}\)で\(x\)に進む。\(y\)軸方向についても同様であるから、\(P_n(x), y\ne 0\)となる点\((x, y)\)に対して、\(\displaystyle \underline{P_n(x, y) = \frac{_{n}{\mathbb{C}}_{x}}{2^n}\times\frac{_{n}{\mathbb{C}}_{y}}{2^n}}\)となる。

点\(A\)の動き方の図解。

\((2)\) (表、表)、(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏)の出た回数をそれぞれ順に\(p, q, r, s\)回とする。\(n\)回の施行後\(p+q+r+s = n\)である。\(x\)軸方向に進んだ距離と、\(y\)軸方向に進んだ距離を別に考えると、$$\begin{cases}a_1 = p+q\\ a_2 = p+r\end{cases}$$である。したがって、$$\begin{eqnarray}b_1 & = & q-r\\ & = & a_1-a_2\\ b_2 & = & p-s \\ & = & p-(n-p-q-r)\\ & = & 2p+q+r-n\\ & = & a_1+a_2-n \end{eqnarray}$$となる。よって、\(\underline{(b_1, b_2) = (a_1-a_2, a_1+a_2-n)}\)である。

\((3)\) \((2)\)から\(n = 10\)において\(b_1 = 0, b_2 = 0\)のとき$$\begin{cases}a_1-a_2 = 0\\ a_1+a_2-10 = 0\end{cases}$$となる。これを解くと、\(a_1 = 5, a_2 = 5\)となる。\((1)\)から$$\begin{eqnarray}P_{10}(5, 5) & = & \frac{_{10}{\mathbb{C}}_{5}\cdot _{10}{\mathbb{C}}_{5}}{2^{20}}\\ & = & \frac{(9\cdot 2\cdot 7\cdot 2)^2}{2^{20}}\\ & = & \frac{3969}{2^{16}}\end{eqnarray}$$である。以上から、\(\displaystyle \underline{Q_{10}(0, 0) = \frac{3969}{2^{16}}}\)

解説

\((1)\) 動きを細かく見てみると横方向には確率\(\displaystyle \frac{1}{2}\)で\(+1\)進む(硬貨\(X\)が表のとき)か、確率\(\displaystyle \frac{1}{2}\)でその場に留まる(硬貨\(X\)が裏のとき)かのどちらかである。縦方向も同様になる。ただし、縦方向では硬貨\(Y\)の裏表が問題になる。硬貨\(X, Y\)の表裏は互いの表裏に左右されないので、横の動きと縦の動きは独立である。なので解答のように横方向に移動する確率と縦方向に移動する確率をかけ合わせればよい。なお、\(P(x, y)\ne 0\)となるのは\(x, y\)が整数で、\(0\leq x\leq n, 0\leq y\leq n\)のときである。

\((2)\) うまく文字を設定する。\((1)\)と同じように横の動きと縦の動きを分解して考えることができたかどうかがポイントになる。

\((3)\) \((2)\)を用いる。\(2^{16}\)は\(65, 536\)になるが、計算する必要はないだろう。

関連問題

1975年東京大学理系数学問題6 確率と期待値の漸化式
1991年東京大学前期理系数学問題1 確率と漸化式、対称性
1993年東京大学理系前期数学問題5 確率と漸化式、個別に考える
1998年東京医科歯科大学数学問題2 確率と漸化式

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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