[math][東京医科歯科大学][座標空間]1994年東京医科歯科大学数学問題2

white rectangle on purple background with flowers math
Photo by Tamanna Rumee on Pexels.com

問題

空間において次の\(4\)つの平面\({\alpha}_1, {\alpha}_2, {\beta}, \gamma\)を考える。ただし、\(\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}\)とする。$$\begin{eqnarray}{\alpha}_1 & : & y = -(\tan{\theta})x &\ \ \ & {\alpha}_2 & : & y = (\tan{\theta})x\\ \beta & : & z = \left(\tan{\frac{\theta}{2}}\right)y &\ \ \ & \gamma & : & z = (\tan{\theta})y \end{eqnarray}$$
\((1)\) \({\alpha}_1\)と\(\beta\)の交線を\(l_1\)、\({\alpha}_2\)と\(\beta\)の交線を\(l_2\)とする。\(l_1\)と\(l_2\)が直交するときの\(\cos{\theta}\)の値を求めよ。
\((2)\) \({\alpha}_1\)と\(\gamma\)のなす角が\(\displaystyle \frac{\pi}{3}\)となるときの\(\theta\)の値を求めよ。

方針

解答

\((1)\) \({\alpha}_1\)の方程式を書き直すと、$$x:y = 1:-\tan{\theta}$$であり、\(\beta\)の方程式を書き直すと$$\begin{eqnarray}y:z & = & 1:\tan{\frac{\theta}{2}}\\ & = & -\tan{\theta}:-\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\end{eqnarray}$$である。したがって、\(l_1\)の方程式は$$x:y:z = 1:-\tan{\theta}:-\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}} \tag{a}\label{a}$$である。同様に\({\alpha}_2\)の方程式を書き直すと$$x:y = 1:\tan{\theta}$$であり、\(\beta\)の方程式は$$\begin{eqnarray}y:z & = & 1:\tan{\frac{\theta}{2}}\\ & = & \tan{\theta}:\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\end{eqnarray}$$とも書き直せるから、\(l_2\)の方程式は$$x:y:z = 1:\tan{\theta}:\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}} \tag{b}\label{b}$$である。\eqref{a}, \eqref{b}から\(l_1\)の法線方向のベクトルが\(\displaystyle \left(1, -\tan{\theta}, -\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\right)\)で、\(l_2\)の法線方向のベクトルが\(\displaystyle \left(1, \tan{\theta}, \tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\right)\)であることがわかる。\(l_1, l_2\)は直交するので、これらのベクトルは互いに直交し、内積は\(0\)になる。したがって、$$\left(1, -\tan{\theta}, -\tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\right)\cdot \left(1, \tan{\theta}, \tan{\theta}\tan{\frac{\theta}{2}}\right) = 1-\tan^2{\theta}-\tan^2{\theta}\tan^2{\frac{\theta}{2}}$$は\(0\)になる。整理して、$$\tan^2{\theta}\left(1+\tan^2{\frac{\theta}{2}}\right) = 1 \tag{c}\label{c}$$となる。\(\cos{\theta} = x\)とすると、$$\begin{eqnarray}\tan^2{\theta} & = & \frac{1}{x^2}-1 \\ & = & \frac{1-x^2}{x^2}\\ \tan^2{\frac{\theta}{2}} & = & \frac{\sin^2{\frac{\theta}{2}}}{\cos^2{\frac{\theta}{2}}}\\ & = & \frac{\frac{1-\cos{\theta}}{2}}{\frac{1+\cos{\theta}}{2}}\\ & = & \frac{1-x}{1+x}\end{eqnarray}$$である。\eqref{c}に代入して、$$\begin{eqnarray}\frac{1-x^2}{x^2}\left(1+\frac{1-x}{1+x}\right) & = & 1\\ 2(1-x) & = & x^2\\ x^2+2x-2 & = & 0\\ x & = & -1\pm \sqrt{3}\end{eqnarray}$$となる。\(\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}\)から\(0 < \cos{\theta} < 1\)であるから、\(\underline{\cos{\theta} = -1+\sqrt{3}}\)が答えとなる。

\((2)\) \({\alpha}_1\)を書き直すと$$(x, y, z)\cdot (\tan{\theta}, 1, 0) = 0$$となるので、\({\alpha}_1\)の法線方向のベクトルは\((\tan{\theta}, 1, 0)\)である。同様に、\(\gamma\)を書き直すと$$(x, y, z) \cdot (0, \tan{\theta}, -1) = 0$$となるので、\(\gamma\)の法線方向のベクトルは\((0, \tan{\theta}, -1)\)である。これらのベクトルのなす角が\(\displaystyle \frac{\pi}{3}\)であるから、内積の定義から$$\begin{eqnarray}(\tan{\theta}, 1, 0)\cdot (0, \tan{\theta}, -1) & = & \sqrt{\tan^2{\theta} + 1}\sqrt{\tan^2{\theta} + 1}\times \cos{\left(\frac{\pi}{3}\right)}\\ \tan{\theta} & = & \frac{\tan^2{\theta} + 1}{2}\\ \tan^2{\theta}-2\tan{\theta} + 1 & = & 0\\ (\tan{\theta}-1)^2 & = & 0\\ \tan{\theta} & = & 1\\ \theta & = & \frac{\pi}{4}\ \ \left(0 < \theta < \frac{\pi}{2}\right)\end{eqnarray}$$となる。よって、\(\displaystyle \underline{\theta = \frac{\pi}{4}}\)が求める答えとなる。

解説

解答のように方程式を比の形で考えるのが簡単で、連立させたものが交線となる。\(xy\)平面上の直線\(ax+by = c\)に対して、ベクトル\((a, b)\)をこの直線の法線ベクトルという。少し細かく解説すると、直線上の点\((p, q)\ \ (ap + bq = c)\)に対して、同じ直線上の任意の点\((x, y)\)は、内積$$(a, b)\cdot (x-p, y-q)$$を考えると、$$\begin{eqnarray} & = & a(x-p)+b(y-q)\\ & = & ax+by-(ap+bq)\\ & = & ax+by-c\\ & = & 0\end{eqnarray}$$となる。つまり、平面上では直線はある一点(ここでは点\((p, q)\))と直線に垂直なベクトル(ここでは\((a, b)\))を設定すれば決定するという意味である。これが法線ベクトルという名前の由来である。

法線ベクトル。

全く同じようにして、空間上の平面\(ax + by + cz = d\)に対して、ベクトル\((a, b, c)\)をこの平面の法線ベクトルという。解答ではこの法線ベクトルの考え方を用いて計算を進めている。問題では\(\cos{\theta}\)の値を要求されているので、最初から\(\cos{\theta}\)を求める形で計算を進める。\(\tan{\theta}\)や\(\displaystyle \tan{\frac{\theta}{2}}\)を最初に求めようとすると、やや計算が面倒になる。

\((2)\) ここも\((1)\)と同じように法線ベクトルを用いる。

関連問題

1978年東京大学理系数学問題3 法線の個数、共通部分の面積
2022年東京医科歯科大学医学科数学問題2 二次曲線と法線、準線、面積の有名事実

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました