問題
\(xy\)平面上で次の直線\(l\)と曲線\(C\)を考える。$$\begin{eqnarray}l & : & y = ax+b\\ C & : & y = b\log{x}+ab\end{eqnarray}$$ただし\(a > 0, b > 0\)とする。\(l\)が\(C\)の接線であるとき次の問いに答えよ。
\((1)\) \(b\)を\(a\)を用いて表わせ。
\((2)\) 直線\(l\)と曲線\(C\)および\(x\)軸とによって囲まれる図形の面積\(S\)を最大にするような\(a\)の値を求めよ。
\((3)\) \(a\)を\(0 < a\leq 2\)の範囲で変化させるとき、\(l\)と\(C\)の接点の軌跡の概形を\(xy\)平面上に図示せよ。
方針
標準的な内容の問題であるが、計算はやや面倒である。
解答
\((1)\) \(l\)と\(C\)の方程式を微分するとそれぞれ$$\begin{cases}l: y^{\prime} = a\\ C: y^{\prime} = \displaystyle \frac{b}{x}\end{cases}$$となるので、接点の\(x\)座標を\(t\)と置くと、$$\begin{cases}at + b & = & b\log{t} + ab\\ a & = & \displaystyle \frac{b}{t}\end{cases}$$である。下の式から\(\displaystyle t = \frac{b}{a}\ \ (a > 0)\)であるから、これを上の式に代入して、$$\begin{eqnarray}a\cdot \frac{b}{a} + b & = & b\log{\left(\frac{b}{a}\right)}+ ab\\ \iff 2b & = & b\log{\left(\frac{b}{a}\right)}+ab\end{eqnarray}$$である。両辺を\(b\ \ (> 0)\)で割って、$$\begin{eqnarray}2 & = & \log{\left(\frac{b}{a}\right)}+a\\ \frac{b}{a} & = & 2^{2-a}\end{eqnarray}$$である。よって、\(\underline{b = ae^{2-a}}\)である。
\((2)\) \(l: y = ax + b = 0\)となるのは\(\displaystyle x = -\frac{b}{a}\)のときで、また\(C: y = b\log{x} + ab = 0\)となるのは\(x = e^{-a}\)のときであるから、下のグラフの斜線部が求める面積である。\(\displaystyle t = \frac{b}{a}\)に注意して、
$$\begin{eqnarray}S & = & \frac{1}{2}\times \left(t-\left(-\frac{b}{a}\right)\right)\times (at+b)-\int_{t}^{e^{-a}}{(b\log{x} + ab)dx}\\ & = & \frac{2b^2}{a}-b\int_{t}^{e^{-a}}{\log{x}dx}-ab(t-e^{-a})\\ & = & \frac{2b^2}{a}-b[x(\log{x}-1)]_{e^{-a}}^{t}-b^2+abe^{-a}\\ & = & \frac{2b^2}{a}-b\left(\frac{b}{a}\left(\log{\left(\frac{b}{a}\right)}-1\right)\right) + b(e^{-a})(-a-1)-b^2+abe^{-a}\\ & = & \frac{3b^2}{a}-\frac{b^2}{a}\log{\left(\frac{b}{a}\right)}-b^2-be^{-a}\end{eqnarray}$$である。\((1)\)の途中経過から\(\displaystyle \log{\left(\frac{b}{a}\right)} = 2-a\)であるから、代入して、$$\begin{eqnarray}S & = & \frac{3b^2}{a}-\frac{b^2}{a}(2-a)-b^2-be^{-a}\\ & = & \frac{b^2}{a}-be^{-a}\end{eqnarray}$$となる。\((1)\)から\(b = ae^{2-a}\)であるから、さらに代入して、$$\begin{eqnarray}S & = & \frac{a^2e^{4-2a}}{a}-ae^{2-2a}\\ & = & e^2(e^2-1)ae^{-2a}\end{eqnarray}$$である。\(f(a) = ae^{-2a}\ \ (a > 0)\)とすると、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(a) & = & e^{-2a} +(-2)ae^{-2a}\\ & = & e^{-2a}(1-2a)\end{eqnarray}$$である。したがって、\(\displaystyle a < \frac{1}{2}\)において\(f^{\prime}(a) > 0\)であり、\(\displaystyle a = \frac{1}{2}\)において\(f^{\prime}(a) = 0\)であり、また\(\displaystyle a > \frac{1}{2}\)において\(f^{\prime}(a) < 0\)であるから、\(\displaystyle \underline{a = \frac{1}{2}}\)において\(S\)は最大値をとる。
\((3)\) 接点の座標は$$\begin{eqnarray}(t, at + b) & = & \left(\frac{b}{a}, 2b\right)\\ & = & (e^{2-a}, 2ae^{2-a})\end{eqnarray}$$である。この座標を\((X, Y)\)とすると、$$\begin{cases}X & = & e^{2-a}\\ Y & = & 2ae^{2-a}\end{cases}$$である。\(0 < a\leq 2\)から\(1\leq X < e^2\)である、\(X = e^{2-a}\)から\(a = 2-\log{x}\)を\(Y\)の式に代入して、$$Y = 2(2-\log{X})X$$である。したがって、$$Y^{\prime} = -2(\log{X} -1)$$となるので、\(Y\)の増減表は以下のようになる。\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline X & 1& & e & & e^2 \\ \hline Y^{\prime} &+ & & 0 & – & \\ \hline Y & 4 & \nearrow & 2e & \searrow & 0 \\ \hline \end{array}また、\(\displaystyle Y^{\prime\prime} = -\frac{2}{X}\)であるから、接点の軌跡は以下の図のようになる。
解説
\((1)\) ある\(2\)つの曲線\(y = f(x)\)と\(y = g(x)\)の接点の条件は、「\(f(t) = g(t)\)かつ\(f^{\prime}(t) = g^{\prime}()t\)」である。
\((2)\) ここも計算だけだあ、多少面倒。最初に\(t\)は代入してしまい、\(b\)は最後に代入する。\(\displaystyle \log{\left(\frac{b}{a}\right)}\)は早めに消さないとこれも少し面倒になる。
\((3)\) ここは教科書レベルの計算問題になる。
関連問題
1997年京都大学理系前期問題6 微分
2022年京都大学理系数学問題5 積分と面積、微分、最大値を取る値の評価
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