問題
集合から自身への写像に対して、集合をと表すことにする。いま、さいころを回投げて回目に出た目をとする。このようにしてつくられる写像について、次のそれぞれの確率を求めよ。
が対の写像となる確率
となる確率
がの上への写像となっているという条件ものとで、となる確率
が対の写像であることがわかっているとき、が空集合かつとなる確率
方針
難問で、集合の意味を掴むまで時間がかかる。たとえば、だったとき、となっているのは、のときだけであるので、はになる。
解答
回とも違うサイコロの目が出る確率だから、が求める答えになる。
となる確率である。これは、が求める答えになる。
がの上への写像になっているという事象をとして、となる事象をとする。求める確率は条件付き確率である。からである。を求める。たとえばのときを考えてみると、事象となるサイコロの目の出方は、の通りである。のときも同じように列挙すると、それぞれ通りの目の出方があることが分かる。したがって、となるサイコロの目の出方は通りである。以上から、である。よって、である。
ということは、たとえばのどのつを見ても、のようなペアになっているということである。たとえば、となっている場合を考えてみる。ただし、はが空集合という条件に適合しないので、最初から除いて考える。このとき題意に適するのは、となっている通りのみである。のそれぞれの場合についても同じように題意に適する通りの組がある。したがって、通りの場合がの条件を満たすことが分かる。が対の写像であるような場合の数は通りであるから、求める確率はとなる。
解説
問題の意味がわからなくてもこれは確保しておきたい。
文字がチカチカするので、試験場では以降全滅、という受験生も少なくはなかっただろう。題意がわかればは難しくはないが、焦ってしまうかもしれない。
これも問題の意図が読み取れれば必ずしも難問ではないが、時間制限のある試験会場では厳しい。条件付き確率は出題範囲外の大学もあるが、定義は抑えておく必要がある。過去にも東京大学や防衛医科大学校など、実質的に出題されている大学も多い。この問題の場合、からへの写像であるから、上への写像になっているときには対の写像になる。したがって、で求めた確率が利用できる。なお、上への写像という言葉は高校数学では用いられず、簡単に全射という。
という条件は強いので、助けられる。ちなみに、他の大学ではが空集合になる確率を求めさせる問題がしばしば出題される。この場合の数を完全順列あるいはモンモール数と呼び、一般の場合は大変難しいが、余裕があれば確かめておくと良い。
関連問題
1987年東京医科歯科大学数学問題2 場合の数と置き換え
1993年東京医科歯科大学数学問題2 場合の数と数え上げ
2001年東京医科歯科大学前期数学問題3 場合の数、誘導の利用
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