[math][東京医科歯科大学][場合の数]1988年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

\(n\)を整数\((n\geq 2)\)とし、\(n\)以下の正の整数の集合を\(N\)とする。また行列\(\displaystyle \begin{pmatrix}0 & 1 \\ 1 & 0\end{pmatrix}\)の表す座標平面上の\(1\)次変換を\(f\)とする。いま座標平面上の点の集合\(X\)に関する次の条件を考える。
条件\(A: \)\(X\)は空集合ではない。
条件\(B: \) 点\(P(A, B)\)が\(X\)に属するならば、\(a\)と\(b\)は\(N\)の要素で、\(a\ne b\)である。
条件\(C: \) 点\(P\)が\(X\)に属するならば点\(f(P)\)も\(X\)に属する。
条件\(D: \) \(N\)の任意の要素\(a\)に対し、直線\(y = a\)の上には\(X\)に属する点がちょうど\(3\)点ある。
このとき次の問に答えよ。
\((1)\) \(n = 3\)のとき、条件\(A, B, C\)を同時に満たす集合\(X\)にはどのようなものがあるか。そのような\(X\)をすべて求めよ。
\((2)\) 条件\(A, B, C\)を同時に満たす集合\(X\)の個数を\(n\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(n = 6\)のとき、条件\(A, B, C, D\)を同時に満たす集合\(X\)で、\(4\)点\(P_1(1, 2), P_2(1, 3), P_3(1, 4), P_4(2, 3)\)を含むものをすべて求めよ。なお複数個の解が得られた場合は、各集合\(X\)についてそれぞれ別の座標平面上で、\(X\)に属する点を図示することにより解答せよ(証明は不要)。

方針

決して難しいことを聞いている問題ではないが、試験場では差がつくかもしれない。

解答

\((1)\) 平面上の任意の点\((x, y)\)に対して、$$\begin{pmatrix}0 & 1\\ 1 & 0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x \\ y\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}y \\ x\end{pmatrix}$$であるから、\(1\)次変換\(f\)は、平面上の点を直線\(y = x\)に関して対称移動させる変換である。条件を満たすような点は下の図のようになる。

点\((x, y)\)が集合\(X\)に含まれるとき、必ず点\((y, x)\)も同じ集合に含まれることに注意すると、求める答えは次の\(7\)個である。$$X = \{(1, 2), (2, 1)\}, \{(1, 3), (3, 1)\}, \{(2, 3), (3, 2)\}, \\ \{(1, 2), (2, 1), (1, 3), (3, 1)\}, \{(1, 2), (2, 1), (2, 3), (3, 2)\} \{(1, 3), (3, 1), (2, 3), (3, 2)\}\\ \{(1, 2), (2, 1), (1, 3), (3, 1), (2, 3), (3, 2)\}$$

\((2)\) 平面上で、座標がともに\(n\)までの正の整数であるような点で、直線\(y = x\)上にないものの個数は、\(n^2-n\)個である。この点は、各々直線\(y = x\)に関して対称な点とペアになっている。このペアが集合に含まれるか含まれないかで、\(2^{\frac{n^2-n}{2}}\)通りの場合の数がある。しかし、全部含まれない\(1\)通りは除いて考えないといけない。よって、求める答えは\(\underline{2^{\frac{n(n-1)}{2}}-1}\)通りである。

\((3)\) \(4\)点\(P_1(1, 2), P_2(1, 3), P_3(1, 4), P_4(2, 3)\)が集合\(X\)に含まれるとき、点\((2, 1), (3, 1), (4, 1), (3, 2)\)も集合\(X\)に含まれる。

\((i)\) 点\((4, 2)\)が集合\(X\)に含まれるとき、点\((2, 4)\)も同じく集合\(X\)に含まれる。直線\(y = 1, y = 2\)の上にはすでに集合\(X\)に含まれる点が\(3\)つあるので、点\((5, 1), (6, 1), (5, 2), (6, 2)\)は集合\(X\)に含まれない。すると、\((1, 5), (1, 6), (2, 5), (2, 6)\)も集合\(X\)には含まれない。

このとき、直線\(y = 6\)上の\(3\)点は\((3, 6), (4, 6), (5, 6)\)と決まり、点\((6, 3), (6, 4), (6, 5)\)も集合\(X\)に含まれることになる。直線\(y = 5\)をみると、残りの点は\((3, 5), (4, 5)\)と決まる。すると点\((5, 3), (5, 4)\)も集合\(X\)に含まれることになる。ところが、直線\(y = 3\)上にはすでに\(3\)個の点があり、矛盾する。つまり、点\((4, 2)\)は集合\(X\)に含まれない。

\((ii)\) 点\((5, 2)\)が集合\(X\)に含まれるとき、点\((2, 5)\)も同じく集合\(X\)に含まれる。直線\(y = 1, y = 2\)の上にはすでに集合\(X\)に含まれる点が\(3\)つあるので、点\((5, 1), (6, 1), (4, 2), (6, 2)\)は集合\(X\)には含まれない。すると、\((1, 5), (1, 6), (2, 4), (2, 6)\)も集合\(X\)には含まれない。

このとき、直線\(y = 6\)上の\(3\)点は\((3, 6), (4, 6), (5, 6)\)と決まり、点\((6, 3), (6, 4), (6, 5)\)も集合\(X\)に含まれることになる。直線\(y = 5\)をみると、残りの点は\((3, 5), (4, 5)\)のどちらかである。ところが、直線\(y = 3\)上にはすでに\(3\)個の点があるので、直線\(y = 5\)上の残りの点は点\((4, 5)\)と決まる。すると、点\((5, 4)\)も集合\(X\)に含まれ、すべての点が決まる。

\((iii)\) 点\((6, 2)\)が集合\(X\)に含まれるとき、点\((2, 6)\)も同じく集合\(X\)に含まれる。直線\(y = 1, y = 2\)の上にはすでに集合\(X\)に含まれる点が\(3\)つあるので、点\((5, 1), (6, 1), (4, 2), (5, 2)\)は集合\(X\)に含まれない。すると、\((1, 5), (1, 6), (2, 4), (2, 5)\)も集合\(X\)には含まれない。

直線\(y = 5\)を見ると、残りの点は\((3, 5), (4, 5), (6, 5)\)と決まる。点\((5, 3), (5, 4), (5, 6)\)も集合\(X\)に含まれる。\(y = 3\)を見ると、すでに\(3\)個の点があり、点\((6, 3)\)は集合\(X\)に含まれないので、点\((3, 6)\)も含まれない。したがって、直線\(y = 6\)上の残りの点は点\((4, 6)\)と決まる。そうすると、点\((6, 4)\)も集合\(X\)に含まれるから、全ての点が決まる。

求める答えは上記\((ii), (iii)\)の\(2\)通りになる。

解説

\((1)\) まずは問題の意味を掴む。慎重に題意を読み取る。

\((2)\) \((1)\)の考え方と矛盾しないように、一般的に考えていく。答えを出した後は、\((1)\)と照らし併せてチェックすると良い。

\((3)\) 解答では丁寧に記述したが、問題文に書いてある通り、試験場では細々と記載する必要はないのだろう。ある程度自分の考え方をまとめながら答案を作成しないと、答えが間違っていた場合部分点はもらえないので、記載して悪いことはない。

関連問題

1998年東京大学前期理系数学問題2 場合の数と置き換え
1987年東京医科歯科大学数学問題2 場合の数と置き換え

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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