[math][東京医科歯科大学][空間座標]1988年東京医科歯科大学数学問題3

donut with sprinkles math
Photo by Lisa Fotios on Pexels.com

問題

空間において、次のような円筒Tを考える。T:{x2+y2=10z1円筒Tと平面z=0との交わりを、円Cとする。以下の問いに答えよ。
(1)Aの座標を(0,1,1)とし、円C上に1Pをとる。APを両端とする円筒上の曲線の中で、その長さが最も短くなるような曲線を考え、その長さをlとする。点P)が点(1,0,0)を出発して円C上を1回転するとき、lは何回整数値をとるか。
(2)C上に1Qをとる。原点Oと点Qからの距離の比が2:1となるような点Rがえがく曲面をSとする。点Qの座標が(0,1,0)のとき、曲面Sを表す方程式を求めよ。
(3) (2)において点Qが円C上を1回転するとき、曲面Sが動いてできる立体の体積Vを求めよ。

方針

(3)は普通に積分してもよいが、パップス・ギュルダンの定理が使える。

解答

(1)P(0,1,0)にあるとき、l=1で、これがlの最小値である。点P(0,1,0)にあるとき、l=1+π2で、これがlの最大値になる。lは連続であるから、この間の値をすべて取る。3<π<3.2であるから、9<π2<10.2410<1+π2<11.243<10<1+π2<11.24<4である。したがって、点Pが円C上を一周するときに、l1,2,3,3,25回の整数値をとる。

(2) 題意から、x2+y2+z2:x2+(y1)2+z2=2:1である。両辺を二乗して、x2+y2+z2=4(x2+(y1)2+z2)となる。整理して、x2+(y43)2+z2=49となる。これは空間上の球になる。

(3)Qの座標を(cosθ,sinθ,0)  (0θ2π)としてSの方程式を求める。x2+y2+z2:(xcosθ)2+(ysinθ)2+z2=2:1として、(2)と同様に整理すると、方程式は(x43cosθ)2+(y43sinθ)2+z2=49となる。したがって、θが動くとき、曲面Sの作る立体は、(2)の球をz軸のまわりに回転させたものである。これは、ドーナツのような形になる。(2)の級の半径は23で、回転軸からの距離は43であるから、求める体積は(23)2×π×43×2π=3227π2となる。

解説

(1) これは小手調べになる。l=1となるのは1回だけなことに注意する。

(2) これは立式するだけで、答えの方程式が球になることも問題ないだろう。

(3) 解答では丁寧に記述するために点Qの座標を(cosθ,sinθ,0)  (0θ2π)などと置いたが、分かっていれば答案に書く必要はないだろう。この立体のことをトーラスという。体積を求める部分でパップス・ギュルダンの定理を用いているが、(3)の立体は(2)(y43)2+z2=(23)2,x=0としたものをz軸のまわりに回転させたものであるので、この方程式をy=43±49z2として、求める体積をV=π2323((43+49z2)2(4349z2)2)dzと立式して計算しても構わない。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
1997年東京医科歯科大学数学問題3 y軸回りの回転体の体積
2001年東京医科歯科大学数学問題2 空間座標と直方体、体積のスキャン
2022年東京大学理系前期数学問題5 軸回りの回転体の体積、立体の求積

関連リンク

Science Tokyo 旧・東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました