[math][東京医科歯科大学][空間座標]1988年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

空間において、次のような円筒\(T\)を考える。$$T: \begin{cases}x^2+y^2=1\\ 0\leq z\leq 1\end{cases}$$円筒\(T\)と平面\(z = 0\)との交わりを、円\(C\)とする。以下の問いに答えよ。
\((1)\)点\(A\)の座標を\((0, 1, 1)\)とし、円\(C\)上に\(1\)点\(P\)をとる。\(A\)と\(P\)を両端とする円筒上の曲線の中で、その長さが最も短くなるような曲線を考え、その長さを\(l\)とする。点\(P)\)が点\((1, 0, 0)\)を出発して円\(C\)上を\(1\)回転するとき、\(l\)は何回整数値をとるか。
\((2)\) 点\(C\)上に\(1\)点\(Q\)をとる。原点\(O\)と点\(Q\)からの距離の比が\(2: 1\)となるような点\(R\)がえがく曲面を\(S\)とする。点\(Q\)の座標が\((0, 1, 0)\)のとき、曲面\(S\)を表す方程式を求めよ。
\((3)\) \((2)\)において点\(Q\)が円\(C\)上を\(1\)回転するとき、曲面\(S\)が動いてできる立体の体積\(V\)を求めよ。

方針

\((3)\)は普通に積分してもよいが、パップス・ギュルダンの定理が使える。

解答

\((1)\) 点\(P\)が\((0, 1, 0)\)にあるとき、\(l = 1\)で、これが\(l\)の最小値である。点\(P\)が\((0, -1, 0)\)にあるとき、\(l = \sqrt{1+{\pi}^2}\)で、これが\(l\)の最大値になる。\(l\)は連続であるから、この間の値をすべて取る。\(3 < \pi < 3.2\)であるから、$$\begin{eqnarray}9 < \pi^2 < 10.24\\ 10 < 1+{\pi}^2 < 11.24\\ 3 < \sqrt{10} < \sqrt{1+{\pi}^2} < \sqrt{11.24} < 4\end{eqnarray}$$である。したがって、点\(P\)が円\(C\)上を一周するときに、\(l\)は\(1, 2, 3, 3, 2\)と\(5\)回の整数値をとる。

\((2)\) 題意から、$$\sqrt{x^2+y^2+z^2}:\sqrt{x^2+(y-1)^2+z^2} = 2:1$$である。両辺を二乗して、$$x^2+y^2+z^2= 4(x^2+(y-1)^2+z^2)$$となる。整理して、\(\displaystyle \underline{x^2+\left(y-\frac{4}{3}\right)^2 +z^2 = \frac{4}{9}}\)となる。これは空間上の球になる。

\((3)\) 点\(Q\)の座標を\((\cos{\theta}, \sin{\theta}, 0)\ \ (0\leq \theta\leq 2\pi)\)として\(S\)の方程式を求める。$$\sqrt{x^2+y^2+z^2}:\sqrt{(x-\cos{\theta})^2+(y-\sin{\theta})^2+z^2} = 2: 1$$として、\((2)\)と同様に整理すると、方程式は$$\left(x-\frac{4}{3}\cos{\theta}\right)^2+\left(y-\frac{4}{3}\sin{\theta}\right)^2+z^2 = \frac{4}{9}$$となる。したがって、\(\theta\)が動くとき、曲面\(S\)の作る立体は、\((2)\)の球を\(z\)軸のまわりに回転させたものである。これは、ドーナツのような形になる。\((2)\)の級の半径は\(\displaystyle \frac{2}{3}\)で、回転軸からの距離は\(\displaystyle \frac{4}{3}\)であるから、求める体積は\(\displaystyle \left(\frac{2}{3}\right)^2\times \pi\times \frac{4}{3}\times 2\pi = \underline{\frac{32}{27}{\pi}^2}\)となる。

解説

\((1)\) これは小手調べになる。\(l = 1\)となるのは\(1\)回だけなことに注意する。

\((2)\) これは立式するだけで、答えの方程式が球になることも問題ないだろう。

\((3)\) 解答では丁寧に記述するために点\(Q\)の座標を\((\cos{\theta}, \sin{\theta}, 0)\ \ (0\leq \theta\leq 2\pi)\)などと置いたが、分かっていれば答案に書く必要はないだろう。この立体のことをトーラスという。体積を求める部分でパップス・ギュルダンの定理を用いているが、\((3)\)の立体は\((2)\)で$$\left(y-\frac{4}{3}\right)^2+z^2=\left(\frac{2}{3}\right)^2, x = 0$$としたものを\(z\)軸のまわりに回転させたものであるので、この方程式を\(\displaystyle y = \frac{4}{3}\pm \sqrt{\frac{4}{9}-z^2}\)として、求める体積を$$V = \pi\int_{-\frac{2}{3}}^{\frac{2}{3}}{\left(\left(\frac{4}{3}+\sqrt{\frac{4}{9}-z^2}\right)^2-\left(\frac{4}{3}-\sqrt{\frac{4}{9}-z^2}\right)^2\right)dz}$$と立式して計算しても構わない。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
1997年東京医科歯科大学数学問題3 \(y\)軸回りの回転体の体積
2001年東京医科歯科大学数学問題2 空間座標と直方体、体積のスキャン
2022年東京大学理系前期数学問題5 軸回りの回転体の体積、立体の求積

関連リンク

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