[math][東京工業大学][積分]2021年東京工業大学数学問題5

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問題

\(xy\)平面上の円\(C: x^2+(y-a)^2=a^2\ (a > 0)\)を考える。以下の問いに答えよ。
\((1)\) 円\(C\)が\(y\geq x^2\)で表される領域に含まれるための\(a\)の範囲を求めよ。
\((2)\) 円\(C\)が\(y\geq x^2-x^4\)で表される領域に含まれるための\(a\)の範囲を求めよ。
\((3)\) \(a\)が\((2)\)の範囲にあるとする。\(xy\)平面において連立不等式$$|x|\leq \frac{1}{\sqrt{2}}, 0\leq y\leq \frac{1}{4}, y\geq x^2-x^4, x^2+(y-a)^2\geq a^2$$で表される領域\(D\)を、\(y\)軸の周りに\(1\)回転させてできる立体の体積を求めよ。

方針

\((3)\)では\(a\)の大小で場合分けが必要になる。

解答

\((1)\) \(y\geq x^2\)に円\(C\)の方程式\(x^2 = a^2-(y-a)^2\)を代入して、$$\begin{eqnarray}y & \geq & a^2-(y-a)^2\\ \iff y^2-2ay+y & \geq & 0 \\ \iff y(y-2a+1) & \geq & 0 \tag{a}\label{a}\end{eqnarray}$$である。\(y\geq x^2\geq 0\)であるから、\eqref{a}が常に成り立つためには、\(-2a+1\geq 0\)、つまり\(\displaystyle \underline{a\leq \frac{1}{2}}\)が求める範囲となる。

\((2)\) \(y\geq x^2-x^4\)に円\(C\)の方程式\(x^2=a^2-(y-a)^2\)を代入して、$$\begin{eqnarray}y & \geq & x^2-x^4\\ & = & (a^2-(y-a)^2)-(a^2-(y-a)^2))^2\\ & = & y(-y+2a)-y^2(-y+2a)^2\end{eqnarray}$$である。円\(C\)に対して、\(y\geq 0\)であるから、これは$$\begin{eqnarray}1 & \geq & -y+2a-y(-y+2a)^2\end{eqnarray}$$と同値である。整理して、$$\begin{eqnarray}y(-y+2a)^2+y-2a+1\geq 0\\ \iff y^3-4ay^2+(4a^2+1)y-2a+1& \geq & 0 \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$となる。\(f(y) = y^3-4ay^2+(4a^2+1)y-2a+1\ (y\geq 0)\)とする。\(f(0) = -2a+1\geq 0\)が必要であるから、\(\displaystyle a\leq \frac{1}{2}\)である。\(f^{\prime}(y) = 3y^2-8ay+4a^2+1\)であり、\(f^{\prime}(y) = 0\)の判別式は、\((4a)^2-3(4a^2+1) = 4a^2-3\)であるが、\(\displaystyle a\leq \frac{1}{2}\)のときこれは負となり、\(f^{\prime}(y) > 0\)が成り立つ。したがって\(f(y)\)は単調増加で、\(f(0)\geq 0\)と併せて\(f(y) \geq 0\)となる。以上から、求める\(a\)の範囲は\(\displaystyle \underline{a\leq \frac{1}{2}}\)となる。

\((3)\) \(y = x^2-x^4\)について、\(y^{\prime} = 2x^2-4x^3 = 2x^2(1-2x^2)\)である。円\(C\)の上端は\(2a\)であるから、\(\displaystyle 2a\)と\(\displaystyle \frac{1}{4}\)の大小で場合分けする。
\(\displaystyle \ \ \ (i) 2a > \frac{1}{4}\)、つまり\(\displaystyle \frac{1}{8}< a \leq \frac{1}{2}\)のとき、図形の概形は以下のようになる。領域\(D\)を\(y\)軸の周りに\(1\)回転させてできる立体の体積は、\(\displaystyle y = \frac{1}{4}\)と\(y = x^2-x^4\)で囲まれた部分の体積はバームクーヘン型に分割して考えて、また球の一部は\(y\)軸方向に積分して、$$\begin{eqnarray} & = & 2\pi\int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}}{x\left(\frac{1}{4}-(x^2-x^4)\right)dx}-\int_{0}^{\frac{1}{4}}{\pi(a^2-(y-a)^2)dy}\\ & = & 2\pi\left[\frac{x^2}{8}-\frac{x^4}{4}+\frac{x^6}{6}\right]_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}}-\pi\left[-\frac{y^3}{3}+ay^2\right]_{0}^{\frac{1}{4}}\\ & = & \frac{\pi}{24}+\frac{\pi}{192}-\frac{a}{16}\pi\\ & = & \frac{3-4a}{64}\pi\end{eqnarray}$$となる。


\(\displaystyle \ \ \ (ii) 2a \leq \frac{1}{4}\)、つまり\(\displaystyle a\leq \frac{1}{8}\)のとき、図形の概形は以下のようになる。\(\displaystyle y = \frac{1}{4}\)と\(y = x^2-x^4\)で囲まれた部分の面積は\((i)\)と同様に求めて、そこから円\(C\)を回転させて得られる球の体積を除けば良い。領域\(D\)の体積は、$$\begin{eqnarray} & = & \frac{\pi}{24}-\frac{4a^3}{3}\pi\end{eqnarray}$$となる。

以上から、領域\(D\)の体積は、$$\begin{cases}\underline{\displaystyle \frac{3-4a}{64}\pi \ \ \left(\frac{1}{8} < a\leq \frac{1}{2}\right)\\ \displaystyle \frac{\pi}{24}-\frac{4a^3}{3}\pi\ \ \left(a \leq \frac{1}{8}\right)}\end{cases}$$となる。

解説

\((2)\) 条件の求め方は丁寧にやらないと難しい。\(x = 0\)のとき\(y = x^2\)と\(y = x^2-x^4\)は一致するので、\((1)\)から\(\displaystyle a \leq \frac{1}{2}\)が必要、としておいてから\(y \geq x^2 \geq x^2-x^4\)なので十分、としてもよいだろう。

\((3)\) \(a\)の値に応じて場合分けしなくてはいけない。体積の計算では、バームクーヘン型分割を用いるのが簡単だろう。円\(C\)が\(\displaystyle y\leq \frac{1}{4}\)に含まれる\((i)\)の場合は、解答で\(y\)は軸方向に積分したが、球冠の考え方を用いてもよいだろう。\((i), (ii)\)の場合で\(a\)の次数が異なるので少し心配になるが、\(\displaystyle a = \frac{1}{8}\)で値が一致することを確かめるとよいだろう。

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