[math][東京工業大学][数列][極限]2019年東京工業大学数学問題5

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問題

\(\displaystyle a = \frac{2^8}{3^4}\)として、数列$$b_k = \frac{(k+1)^{k+1}}{a^k k!}\ \ (k = 1, 2, 3, \cdots)$$を考える。
\((1)\) 関数\(\displaystyle f(x) = (x+1)\log{\left(1+\frac{1}{x}\right)}\)は\(x > 0\)で減少することを示せ。
\((2)\) 数列\(\{b_k\}\)の項の最大値\(M\)を既約分数で表し、\(b_k = M\)となる\(k\)をすべて求めよ。

方針

誘導に身を任せてみる。

解答

\((1)\) $$\begin{eqnarray}f(x) & = & (x+1)\log{\left(1+\frac{1}{x}\right)}\\ & = & (x+1)\log\left(\frac{x+1}{x}\right)\\ & = & (x+1)\log{(x+1)}-(x+1)\log{x}\end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(x) & = & \log{(x+1)}+(x+1)\cdot \frac{1}{x+1}-\log{x}-(x+1)\cdot \frac{1}{x}\\ & = & \log{(x+1)}-\log{x}-\frac{1}{x}\\ & = & \log{\left(1+\frac{1}{x}\right)}-\frac{1}{x}\end{eqnarray}$$である。一般に、正の数\(t\)に対して\(\log{(1+t)}\leq t\)であるから(等号は\(t = 0\)で成立)、\(f^{\prime}(x) < 0\)が分かる。つまり、\(f(x)\)が減少関数であることが分かる。

\((2)\) $$\begin{eqnarray}\frac{b_{k+1}}{b_k} & = & \frac{(k+2)^{k+2}}{a^{k+1}(k+1)!}\cdot \frac{a^k k!}{(k+1)^{k+1}}\\ & = & \frac{k+2}{a(k+1)}\cdot \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+1}\\ & = & \frac{1}{a}\cdot \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+2}\end{eqnarray}$$である。これを\(c_k\)と置く。\((1)\)から\(\displaystyle f(x) = \log{\left(1+\frac{1}{x}\right)^{x+1}}\)は減少関数であるから、\(\displaystyle \left(1+\frac{1}{x}\right)^{x+1}\)も減少関数である。したがって、\(c_k\)は減少数列である。$$\begin{eqnarray}c_1 & = & \frac{3^4}{2^8}\cdot \left(1+\frac{1}{2}\right)^3\\ & = & \frac{3^7}{2^{11}}\\ & = & \frac{2187}{2048}\\ & > & 1\\ c_2 & = & \frac{3^4}{2^8}\cdot \left(1+\frac{1}{3}\right)^4\\ & = & 1\\ c_3 & = & \frac{3^4}{2^8}\cdot \left(1+\frac{1}{4}\right)^5\\ & = & \frac{3^45^5}{2^{18}}\\ & = & \frac{253125}{262144}\\ & < & 1\end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray}\frac{b_2}{b_1} & > & 1\\ \frac{b_3}{b_2} & = & 1\\ \frac{b_4}{b_3} & < & 1\end{eqnarray}$$であり、\(k\geq 3\)のときは\(c_k < 1\)であるから\(b_3 > b_4 > \cdots\)となる。$$\begin{eqnarray}b_2 & = & \frac{(2+1)^{2+1}}{a^22!}\\ & = & \frac{3^3\cdot 3^8}{2^{16}\cdot 2}\\ & = & \frac{177147}{131072}\end{eqnarray}$$であるから、\(b_k\)の最大値\(M\)は\(\displaystyle \underline{\frac{177147}{131072}}\)で、\(b_k = M\)となる\(k\)は\(\underline{k = 2, 3}\)である。

解説

オーソドックスな微分の計算問題になる。この年の東京工業大学の出題では、この問題は落とせない。

関連問題

2019年東京大学理系数学問題5 微分、極限
2022年京都大学理系数学問題5 積分と面積、微分、最大値を取る値の評価

関連リンク

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