[math][東京工業大学][整数]2017年東京工業大学数学問題1

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問題

次の条件\((i), (ii)\)をともに満たす正の整数\(N\)をすべて求めよ。
\((i)\) \(N\)の正の約数は\(12\)個。
\((ii)\) \(N\)の正の約数を小さい方から順に並べたとき、\(7\)番目の数は\(12\)。
ただし、\(N\)の約数には\(1\)と\(N\)も含める。

方針

整数\(N\)を素因数分解すると、\(N = 2^p3^q\cdots\)の形になる。このとき、\(N\)の約数の個数は\((p+1)(q+1)\cdots\)である。これが\(12 = 2\times 6, 3\times 4, 3\times 2\times 2\)になるから、\(N\)の形は限られてくる。

解答

\(12 = 2\times 6, 3\times 4, 2\times 2\times 3\)である。\(N\)を素因数分解して\(N = 2^p3^q\cdots\)の形で書いたとき、\(12\)は\(N\)の約数であるから、\(p\geq 2, q\geq 1\)である。\(N\)の約数の個数は\((p+1)(q+1)\cdots\)であるから、

\((a)\) \((p+1)(q+1) = 12\)のとき、\((p, q) = (5, 1), (2, 3), (3, 2)\)である。このとき順に\(N = 2^5\cdot 3, 2^2\cdot 3^3, 2^3\cdot 3^2\)となる。以下に\(N\)の値と約数の個数を表にする。

\(N\)\(N\)の約数
\(2^5\cdot 3 = 96\)\(1, 2, 3, 4, 6, 8, 12, 16, 24, 32, 48, 96\)
\(2^2\cdot 3^3 = 108\)\(1, 2, 3, 4, 6, 9,12, 18, 27, 36, 54, 108\)
\(2^3\cdot 3^2 = 72\)\(1, 2, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 18, 24, 36, 72\)
\(N\)の値と約数

このうち条件\((i), (ii)\)をともにみたすのは\(N = 96, 108\)である。

\((b)\) \((p+1)(q+1)(r+1) = 12 = 2\times 2\times 3\)のとき、\(p\geq 2\)であるから、\(p + 1 = 3\)となる。したがって、\(q = r = 1\)であり、\(N = 2^2\cdot 3\cdot t\)の形になる。ただし\(t\)は\(5\)以上の素数である。\(t = 5\)とすると、\(N = 60\)で、約数は\(1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20 ,30, 60\)であり、条件\((i), (ii)\)を満たさない。また、\(t = 7\)とすると、\(N = 84\)で、約数は\(1, 2, 3, 4, 6, 7, 12, 14, 21, 28, 42, 84\)となり、条件\((i), (ii)\)を満たす。\(t = 11\)とすると、\(N = 132\)で、約数は\(1, 2, 3, 4, 6, 11, 12, 22, 33, 44, 66, 132\)で条件\((i), (ii)\)を満たす。\(t \geq 13\)のとき、\(N\)の約数は小さい順に\(1, 2, 3, 4, 6, 12, \cdots\)となり、条件\((ii)\)を満たさない。

以上から、\(\underline{N = 84, 96, 108, 132}\)が求める答えである。

解説

整数\(n\)を素因数分解して、\(n = 2^p3^q5^r7^s\cdots\)の形で書いたとき、次の二つの事項は確認しておく必要がある。まず、\(n\)の約数の個数は\((p+1)(q+1)(r+1)\cdots\)である。これは、\(n\)の約数はすべて\(2^{a_0}3^{a_1}5^{a_2}7^{a_3}\cdots\)の形で書けて、\(0\leq a_0\leq p, 0\leq a_1\leq q, 0\leq a_2\leq r, \cdots\)であるから、例えば\(a_0\)は\(0, 1, 2, \cdots, p\)の\(p+1\)個の値を取ることに由来する。また、約数すべての和は$$(1+2+2^2+\cdots + 2^p)(1+3+3^2+\cdots + 3^{q})(1+5+5^2+\cdots+5^r)\cdots$$となる。これも、上の式を展開すれば\(n\)の約数がすべて現れることからわかる。

本問題では、\(N\)を素因数分解したときに\(12 = 2^2\cdot3\)が含まれることを式で表すことができれば、そこから先は難しくない。

関連問題

1990年東京医科歯科大学数学問題1 約数と整数
1991年東京医科歯科大学前期数学問題1 整数と因数分解、素因数
2016年京都大学理系数学問題2 整数問題、素数

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