[math][東京工業大学][整数]2023年東京工業大学数学問題2

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問題

方程式$$(x^3-x)^2(y^3-y) = 86400$$を満たす整数\((x, y)\)をすべて求めよ。

方針

\(86400 = 2^7\cdot 3^3\cdot 5^2\)であるから、左辺を因数分解すると・・・。

解答

$$x^2(x+1)^2(x-1)^2y(y+1)(y-1) = 2^7\cdot 3^3\cdot 5^2$$であるから、\(y(y+1)(y-1) > 0 \)である。したがって、\(y\geq 2\)である(\(s = t(t+1)(t-1)\)のグラフを考えると良い)。$$y(y+1)(y-1)= \frac{2^7\cdot 3^3\cdot 5^2}{x^2(x+1)^2(x-1)^2}\tag{a}\label{a}$$であり、\(y\geq 46\)とすると、$$y(y+1)(y-1)\geq 45^3$$であるから、\eqref{a}から、$$x^2(x+1)^2(x-1)^2\leq \frac{2^7\cdot 3^3\cdot 5^2}{45^3} = \frac{128}{135} < 1$$である。これから$$|x(x+1)(x-1)| = 0$$となるが、これは矛盾である。したがって\(y\leq 45\)であるが、$$x^2(x+1)^2(x-1)^2 = \frac{2^7\cdot 3^3\cdot 5^2}{y(y+1)(y-1)}$$は整数であるから、\(y\)として適するのは\(y = 2, 3, 4, 5, 9\)のみである。順に代入すると、下の表のようになる。

\(y\)\(y(y+1)(y-1)\)\(\displaystyle \frac{2^7\cdot3^{3}\cdot 5^2 }{y(y+1)(y-1)}\)
\(2\)\(6\)\(14400\)
\(3\)\(24\)\(3600\)
\(4\)\(60\)\(1440\)
\(5\)\(120\)\(720\)
\(9\)\(720\)\(120\)
\(y, y(y+1)(y-1)\)の値と対応表。

この中で、平方数になっているのは\(y = 2\)のとき\(\sqrt{14400} =\pm 120\)と、\(y = 3\)のとき\(\sqrt{3600} = \pm 60\)である。このとき\(x = \pm 5, \pm 4\)となる。よって、求める\(x, y\)の組は\(\underline{(x, y) = (\pm 5, 2), (\pm 4, 3)}\)である。

解説

整数問題では範囲を絞るのが鉄則であるが、解答ではかなり広い範囲で範囲を絞っている。しかし、これで十分で、なぜなら連続する\(3\)つの整数の積\(y(y+1)(y-1)\)が\(2^7\cdot 3^3\cdot 5^2\)を割り切るパターンがかなり限られているからである。たとえば、\(y = 7\)とすると、\(y(y+1)(y-1) = 7\cdot 6\cdot 8\)となり、素因数\(7\)が現れるので\(2^{7}\cdot 3^{3}\cdot 5^2\)を割り切ることはできない。参考までに、以下の表をあげておく。

\(y\)\(y+1\)\(y-1\)
\(2\)\(3\)\(1\)
\(3\)\(4\)\(2\)
\(4\)\(5\)\(3\)
\(5\)\(6\)\(4\)
\(6\)\(7\)\(5\)
\(7\)\(8\)\(6\)
\(8\)\(9\)\(7\)
\(9\)\(10\)\(8\)
\(10\)\(11\)\(9\)
\(11\)\(12\)\(10\)
\(12\)\(13\)\(11\)
\(13\)\(14\)\(12\)
\(14\)\(15\)\(13\)
\(15\)\(16\)\(14\)
\(16\)\(17\)\(15\)
\(17\)\(18\)\(16\)
\(18\)\(19\)\(17\)
\(19\)\(20\)\(18\)
\(20\)\(21\)\(19\)
\(21\)\(22\)\(20\)
\(22\)\(23\)\(21\)
\(23\)\(24\)\(22\)
\(24\)\(25\)\(23\)
\(25\)\(26\)\(24\)
\(26\)\(27\)\(25\)
\(27\)\(28\)\(26\)
\(28\)\(29\)\(27\)
\(29\)\(30\)\(28\)
\(30\)\(31\)\(29\)
\(31\)\(32\)\(30\)
\(32\)\(33\)\(31\)
\(33\)\(34\)\(32\)
\(34\)\(35\)\(33\)
\(35\)\(36\)\(34\)
\(36\)\(37\)\(35\)
\(37\)\(38\)\(36\)
\(38\)\(39\)\(37\)
\(39\)\(40\)\(38\)
\(40\)\(41\)\(39\)
\(41\)\(42\)\(40\)
\(42\)\(43\)\(41\)
\(43\)\(44\)\(42\)
\(44\)\(45\)\(43\)
\(45\)\(46\)\(44\)
\(y, y+1, y-1\)の値。

実際に解答にここまで載せる必要はないが、こういった確認を行い\(y, x\)を絞り込んでいる。

関連問題

1985年京都大学理系数学問題4 空間図形と整数、置き換えの利用
1990年東京医科歯科大学数学問題1 約数と整数
1991年東京医科歯科大学前期数学問題1 整数と因数分解、素因数
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関連リンク

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