問題
黒玉\(3\)個、赤玉\(4\)個、白玉\(5\)個が入っている袋から玉を\(1\)個ずつ取り出し、取り出した玉を順に横一列に\(12\)個すべて並べる。ただし、袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする。
\((1)\) どの赤玉も隣り合わない確率\(p\)を求めよ。
\((2)\) どの赤玉も隣り合わないとき、どの黒玉も隣り合わない条件付き確率\(q\)を求めよ。
方針
条件付き確率の定義は大丈夫であろうか。
解答
すべての玉の並べ方は\(\displaystyle \begin{pmatrix}12\\ 5\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}7\\ 4\end{pmatrix} =11\cdot 9\cdot 8\cdot 7\cdot 5\)である。
\((1)\) 赤玉以外の\(8\)個を最初に並べ、下図のように\(9\)個の間に赤玉を配置する。この並べ方は、\(\displaystyle \begin{pmatrix}8\\ 5\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}9\\ 4\end{pmatrix} = 8\cdot 7\cdot 9\cdot 7\cdot 2\)である。よって、\(\displaystyle p = \frac{8\cdot 7\cdot 9\cdot 7\cdot 2}{11\cdot 9\cdot 8\cdot 7\cdot 5} = \underline{\frac{14}{55}}\)である。
\((2)\) 上記のように、まず白玉\(5\)個を並べておいて、次に\(6\)個の間に黒玉、赤玉の順番で入れる。
\((i)\) 黒玉を\(1\)個ずつ入れた後、赤玉を入れる方法は\(\begin{pmatrix}6\\ 3\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}9\\4\end{pmatrix} = 2520\)通り。
\((ii)\) 黒玉\(2\)個と黒玉\(1\)個を入れ、赤玉を入れる方法は、「黒赤黒」にするので、\(6\cdot 5\cdot \begin{pmatrix}8\\3 \end{pmatrix} = 1680\)通り。
\((iii)\) 黒玉\(3\)個を入れ、赤玉を入れる方法は、「黒赤黒赤黒」にするので、\(\begin{pmatrix}6\\1 \end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}7\\2\end{pmatrix} = 126\)通り。
なお、\((i), (ii), (iii)\)はそれぞれ重複しない。したがって、求める確率は$$\begin{eqnarray}\left. \frac{2520 + 1680 + 126}{11\cdot \cdot 9 \cdot 8\cdot 7\cdot 5}\middle/\right. p & = & \underline{\frac{103}{168}}\end{eqnarray}$$である。
解説
\((2)\) やや考えにくい。試験場で受験生の頭を熱くさせるには十分すぎる問題である。基本は\((1)\)と同じく、まず白色を並べてから隙間に入れていくという考え方でいいのだが。単純に白、黒、赤の順番で入れていくと、「黒赤黒」のような並べ方が作られない。解答の「なお、\((i), (ii), (iii)\)はそれぞれ重複しない」の補足であるが、\((i)\)の「黒\(\cdots\)黒」の間には必ず白が挟まるので、\((i)\)と\((ii), (iii)\)は重複しない。また、\((ii)\)の「黒\(\cdots\)黒\(\cdots\)黒」の間にも必ず白が挟まるので、\((ii)\)と\((iii)\)も重複しない。
なお、東京大学で条件付き確率の問題が出題されるのは極めて珍しい印象である。とっさに定義が出てこない受験生もたくさんいたことだろう。
関連問題
2017年東京工業大学数学問題4 特性方程式と数列、条件付き確率
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