[math][京都大学]2024年京都大学理学部特色入試第2問

diagonal composition of dividing lines on a running track math
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問題

\(x^{100}-3x^{10}-2x-1 = 0\)を満たす実数\(x\)の個数を求めよ。

方針

\(-1<x<1\)のときは\(x^{100}\)はとても小さいので、無視できる。

解答

\(f(x) = x^{100}-3x^{10}-2x-1\)とする。

\((i)\) \(|x| \geq 1\)のとき、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(x) & = & 100x^{99}-30x^{9}-2 \\ & = & x^9(100x^{90}-30)-2 \end{eqnarray}$$である。ここで、$$\begin{eqnarray}100x^{90}-30 & \geq & 100\cdot 1-30 \\ & = & 70\end{eqnarray}$$であるから、\(x \geq 1\)のときは\(f^{\prime}(x) \geq 70-2 > 0\)となる。\(f(1) = -5, f(\infty) = \infty\)だから、\(f(x) = 0\)は\(x >1\)で一つの実数解を有する。また、\(x \leq -1\)のときは\(f^{\prime}(x) \leq -70-2 < 0\)となる。\(f(-1) = -1, f(-\infty) = \infty\)だから、\(f(x) = 0\)は\(x <-1\)で一つの実数解を有する。

\((ii)\) \(|x| < 1\)のとき、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(x) & = & 100x^{99}-30x^9-2 \\ f^{\prime\prime}(x) & = & 100\cdot 99 x^{98}-270x^{8} \\ & = & 90x^{8}(110x^{90}-3)\end{eqnarray}$$である。したがって、\(\displaystyle \alpha = \sqrt[90]{\frac{3}{110}}\)と置くと、\(f^{\prime}(x)\)の増減は以下の表のようになる。\begin{array}{|c|*7{c|}}\hline x & -1 & \cdots & -\alpha & \cdots & \alpha & \cdots & 1 \\ \hline f^{\prime\prime}(x) & & + & 0 & – & 0 & + & \\ \hline f^{\prime}(x) & -72 & \nearrow & f^{\prime}(-\alpha) &\searrow & f^{\prime}(\alpha) & \nearrow & 68 \\ \hline \end{array}さて、$$\begin{eqnarray} f^{\prime}(-\alpha) & = & -10{\alpha}^9(10{\alpha}^{90}-3)-2 \\ & = & \frac{300}{11}{\alpha}^9-2 \\ & = & \frac{300}{11}\sqrt[10]{\frac{3}{110}}-2 \\f^{\prime}(\alpha) & = & 10{\alpha}^9(10{\alpha}^{90}-3)-2 \\ & = & -\frac{300}{11}{\alpha}^9-2 < 0\end{eqnarray}$$である。ここで、$$\begin{eqnarray}\frac{3}{110} & > & \frac{1}{10^{10}} \\ \iff \sqrt[10]{\frac{3}{110}} & > & \frac{1}{10}\end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(-\alpha) & > & \frac{300}{11}\cdot \frac{1}{10}-2 \\ & > & 0\end{eqnarray}$$である。

したがって、\(f(0) = -1\)と、上の増減表も参考にすると、\(-1 < x < -\alpha\)と\(-\alpha < x < 0\)に一つずつ\(f^{\prime}(x) = 0\)となる\(x\)が一つ存在する。これを小さい順に\(x = \beta, \gamma\)とすると、\(f(x)\)の増減表は以下の様になる。\begin{array}{|c|*11{c|}}\hline x & -1 & \cdots & \beta & \cdots & -\alpha & \cdots & \gamma & \cdots & 0 & \cdots & \alpha & \cdots & 1 \\ \hline f^{\prime}(x) &-72 & – & 0 & + & f^{\prime}(-\alpha) & + & 0 & – & -2 & – & f^{\prime}(\alpha) & – & 68 \\ \hline f(x) & -1 & \searrow & & \nearrow & & \nearrow & & \searrow & -1 & \searrow & & \searrow & -5 \\ \hline \end{array}

上の増減表をよく見ると、\(f(\gamma) > 0\)ならば\(f(x) = 0\)の解は\(-1<x<1\)の範囲で\(2\)つ、\(f(\gamma) < 0\)ならば\(-1<x<1\)の範囲で\(0\)個であることがわかる。\(-1<x<0\)の範囲で、\(f(x) > 0\)となる\(x\)が存在することを示す。\(\displaystyle a = -\sqrt[9]{\frac{1}{15}}\)と置くと、\(\displaystyle a^9 = -\frac{1}{15}\)で、$$\begin{eqnarray}f(a) & = & a^{100}-3a\cdot a^9-2a-1 \\ & = & a^{100}-\frac{11}{5}a-1 \\ & = & a^{100} + \frac{11}{5}\sqrt[9]{\frac{1}{15}}-1 \\ & > & \frac{11}{5}\sqrt[9]{\frac{1}{15}}-1 \end{eqnarray}$$となる。$$\begin{eqnarray}\frac{1}{15} & > & \frac{1}{2^9} \\ \iff \sqrt[9]{\frac{1}{15}} & > & \frac{1}{2} \end{eqnarray}$$であるから、$$\begin{eqnarray} \frac{11}{5}\sqrt[9]{\frac{1}{15}}- 1 & > & \frac{11}{5}\cdot \frac{1}{2}- 1 > 0\end{eqnarray}$$となる。つまり、\(f(a) > 0\)である。

以上の議論から、\(f(x) = 0\)を満たす実数は、\(x<-1\)に一つ、\(-1<x<0\)に二つ、\(x > 1\)に一つで、合計\(4\)個となる。

解説

\(|x| > 1\)のときと比べると、\(|x| < 1\)のときは難しい。ただし、方針で述べたように、この範囲では\(x^{100}\)はほとんど無視できることに気がつけば、攻略可能である。\(|x| < 1\)のとき、\(x^{100}\)はほとんど\(0\)なので、\(f(x) = x^{100}-3x^{10}-2x-1\)は\(-3x^{10}-2x-1\)と近似できる。この関数を\(g(x)\)とすると、\(\displaystyle g^{\prime}(x) = -30x^9-2 = -30\left(x^9-\frac{1}{15}\right)\)となる。この\(g^{\prime}(x) = 0\)を満たす\(x\)(のひとつ)こそが、上の\(\displaystyle a = -\sqrt[9]{\frac{1}{15}}\)である。ただし、増減をしっかりと考えなくてはいけないので、最初から\(g(x)\)を持ち出してもあまりうまくいかない。

ちなみに、\(y = f(x)\)のグラフは以下のようになる。

\(y = f(x)\)の概形。

関連問題

1984年東京大学理系数学問題3 級数と数列、多項式と微分、必要条件と十分条件
1999年東京大学前期理系数学問題6 関数の凸性、数値評価

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