[math][京都大学]2024年京都大学理学部特色入試第1問

blackboard with handwritten calculations math
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問題

\(2\)以上の自然数\(n\)に対して、\(n\)を割り切る素数の個数を\(f(n)\)とする。例えば\(n = 120\)のとき、\(120\)を割り切る素数は\(2\)と\(3\)と\(5\)なので、\(f(120) = 3\)である。不等式\(\displaystyle f(n) \geq \frac{\sqrt{n}}{2}\)を満たす\(2\)以上の自然数\(n\)をすべて求めよ。

方針

不等式で抑え込むのが鉄則である。

解答

\(n = {p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}\cdots {p_k}^{q_k}\)とする。ただし、\(p_i\)は素数で、\(q_i\)はそれぞれ\(1\)以上の自然数とする(\(1\leq i\leq k\))。すると、\(f(n) = k\)である。さて、\(i\geq 3\)のときは\(p_i \geq 5\)だから、$$\begin{eqnarray}\frac{n}{4} & = & {p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}{p_3}^{q_3}\cdots {p_k}^{q_k}{2^{-2}} \\ & \geq & 2^{q_1}3^{q_2}5^{q_3}\cdots 5^{q_k}2^{-2} \\ & = & 2^{q_1-2}3^{q_2}5^{q_3+ q_4 + \cdots +q_k} \\ & \geq & 2^{1-2}3^{1}5^{1 + 1+\cdots 1} \\ & = & 2^{-1}\cdot 3\cdot 5^{k-2} \end{eqnarray}$$である。したがって、所与の不等式を満たすには、\(2k^2 \geq 3\cdot 5^{k-2}\)が必要であるが、これを満たすのは\(k<4\)である(数学的帰納法ですぐに示せる)。したがって、\(k = 1, 2, 3\)しかありえない。

\(\ \ \ (i)\) \(k = 1\)のとき、\(\displaystyle 1\geq \frac{\sqrt{{p_1}^{q_1}}}{2}\)を変形して、\({p_1}^{q_1}\leq 4\)である。これを満たす\((p_1, q_1)\)の組は、\((p_1, q_1) = (2, 1), (2, 2), (3, 1)\)である。このとき順に、\(n = 2, 4, 3\)である。

\(\ \ (ii)\) \(k = 2\)のとき、\(\displaystyle 2\geq \frac{\sqrt{{p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}}}{2}\)を変形して、\({p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}\leq 16\)である。これを満たす\((p_1, q_1, p_2, q_2)\)の組は、\((p_1, q_1, p_2, q_2) = (2, 1, 3, 1), (2, 1, 5, 1), (2, 1, 7, 1), (2, 2, 3, 1), (3, 1, 5, 1)\)である。このとき順に、\(n = 6, 10, 14, 12, 15\)である。

\(\ \ (iii)\) \(k = 3\)のとき、\(\displaystyle 3\geq \frac{\sqrt{{p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}{p_3}^{q_3}}}{2}\)を変形して、\({p_1}^{q_1}{p_2}^{q_2}\leq 36\)である。これを満たす\((p_1, q_1, p_2, q_2, p_3, q_3)\)の組は、\((p_1, q_1, p_2, q_2) = (2, 1, 3, 1, 5, 1)\)である。このとき、\(n = 30\)である。

以上から、条件を満たすのは\(\underline{n = 2, 3, 4, 6, 10, 12, 14, 15, 30}\)である。

解説

数学的帰納法で\(k > 3\)のとき\(2k^2 < 3\cdot 5^{k-2}\)であることを示そう。\(k = 4\)のとき、\(2k^2 = 32, 3\cdot 5^{k-2} = 75\)で成り立つ。ある\(l (\geq 4)\)で\(2l^2 < 3\cdot 5^{l-2}\)が成り立つとすると、$$\begin{eqnarray}3\cdot 5^{l-1} & > & 5\cdot (2l^2) \\ & = & 10l^2\end{eqnarray}$$である。\(l \geq 4\)で\(10l^2 > 2(l+1)^2\)を示すことができればよい。$$\begin{eqnarray}10l^2-2(l+1)^2 & = & 8l^2-4l-2 \\ & = & 4l(2l-1)-2 \\ & > & 4\cdot 4(2\cdot 4-1)-2 \\ & = & 110 > 0\end{eqnarray}$$と示される。

関連問題

1998年東京大学理系数学4 整数問題の傑作
1997年京都大学理系前期数学2 整数、二項係数
2021年東京大学理系数学問題4 整数、二項係数
2022年京都大学理系数学問題3 合同式と整数、最大公約数、Euclidの互除法

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