[math][東京医科歯科大学]2024年東京医科歯科大学数学問題1

doctors and nurses in a hospital math
Photo by RDNE Stock project on Pexels.com

問題

\(n\)を\(2\)以上の自然数とする。自然数の組\((a_1, a_2, \cdots, a_n)\)を解とする方程式$$(\text{*})\ a_1+a_2+\cdots + a_n = a_1\times a_2\times \cdots a_n$$を考えるとき、以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(n = 3\)のとき、\((\text{*})\)の解\((a_1, a_2, a_3)\)のうち、\(a_1\leq a_2\leq a_3\)を満たすものをすべて求めよ。
\((2)\) \(n\geq 3\)のとき、\((\text{*})\)の任意の解\((a_1, a_2, \cdots, a_n)\)において、\(a_i = 1\)となる\(i\)が少なくとも\(1\)つ存在することを示せ。
\((3)\) \((\text{*})\)のある解\((a_1, a_2, \cdots, a_n)\)において、\(a_i = 1\)となる\(i\)がちょうど\(2\)個存在しているとする。このとき、\(n\)の取り得る値をすべて求めよ。

方針

\(a_1+a_2+\cdots + a_n\)に比べて\(a_1a_2\cdots a_n\)の方がはるかに大きくなるので、\(a_1\)は大きくなれない筈である。

解答

\((1)\) \(n = 3\)のとき、$$a_1+a_2+a_3 = a_1a_2a_3$$である。変形して、\(\displaystyle \frac{1}{a_2a_3} + \frac{1}{a_3a_1} + \frac{1}{a_1a_2} = 1\)である。したがって、\(\displaystyle 1 \leq \frac{3}{{a_1}^2}\)である。これから\({a_1}^2 \leq 3\)であるから、\(a_1 = 1\)がわかる。代入すると\(1+a_2+a_3 = a_2a_3\)である。変形して、\((a_2-1)(a_3-1) = 2\)である。これを満たす\(a_2\leq a_3\)の組は、\((a_2, a_3) = (2, 3)\)である。以上から、求める答えは\((a_1, a_2, a_3) = (1, 2, 3)\)となる。

\((2)\) 一般性を失うことなく、\(a_1\leq a_2\leq \cdots \leq a_n\)と仮定する。\((\text{*})\)を変形して、\(\displaystyle \frac{1}{a_2a_3\cdots a_n} + \frac{1}{a_3a_4\cdots a_1} + \cdots + \frac{1}{a_1a_2\cdots a_{n-1}} = 1\)である。これから、\(\displaystyle 1\leq \frac{n}{{a_1}^{n-1}}\)であり、変形して\({a_1}^{n-1}\leq n\)である。\(a_1 \geq 2\)とすると、\(2^{n-1}\leq n\)を満たす必要があるが、\(n\geq 3\)のときにこの不等式は成り立たない。なぜならば、\(2^{n-1} > n\)は\(n = 3\)のときに正しく、\(n = k\ (\geq 3)\)で\(2^{k-1} >k\)を仮定すると、$$\begin{eqnarray}2^{k} & = & 2\cdot 2^{k-1}\\ & >& 2k \\ & > & k+1 \end{eqnarray}$$であるからである。したがって、\(a_1 = 1\)であり、題意が成り立つ。

\((3)\) \(a_1=a_2 = 1, a_3\leq a_4\leq \cdots \leq a_n\)として一般性を失わない。\((\text{*})\)から\(2+a_3+a_4+\cdots + a_n = a_3a_4\cdots a_n\)である。変形して、\(\displaystyle \frac{2}{a_3a_4\cdots a_n} + \frac{1}{a_4a_5\cdots a_n} + \cdots + \frac{1}{a_3a_4\cdots a_{n-1}} = 1\)である。これから、\(\displaystyle 1 \leq \frac{n}{{a_3}^{n-3}}\)であり、変形して\({a_3}^{n-3} \leq n\)である。\(a_3 \geq 2\)であるから、\(2^{n-3}\leq n\)が必要である。これを満たす\(n (n\geq 2)\)は、\(n = 2, 3, 4, 5\)のみである(証明は\((2)\)と同様に、\(n\geq 6\)で\(2^{n-3} > n\)であることを数学的帰納法で示す)。\(n = 2\)のときは、\(a_1+a_2 = a_1a_2, a_1 = a_2 = 1\)は成立しない。\(n = 3\)のとき\((1)\)より\(a_1=a_2 = 1\)は成り立たない。\(n = 4\)のとき、\(2+a_3+a_4 = a_3a_4\)であり、変形して、\((a_3-1)(a_4-1) = 3\)である。これから\((a_3, a_4) = (2, 4)\)となる。したがって、\((a_1, a_2, a_3, a_4) = (1, 1, 2, 4)\)となる。\(n = 5\)のとき、\(2+a_3+a_4+a_5 = a_3a_4a_5\)であり、\((a_3, a_4, a_4) = (2, 2, 2)\)とするとこれは成り立つ。以上から、条件を満たす\(n\)は\(\underline{n = 4, 5}\)である。

解説

合併して東京科学大学になるから、というわけではないだろうが、1996年の東京工業大学にほとんど同じ問題が出題されていて、そちらの方が難しい。経験したことある受験生は有利だったことだろう。

本質的にほとんど同じ出題である。

関連問題

1991年東京医科歯科大学前期数学問題1 整数と因数分解、素因数
1993年東京工業大学前期数学問題4 整数の値を取る多項式

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました