[math][東京大学]2024年東京大学理系数学第4問

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問題

\(\displaystyle f(x) = -\frac{\sqrt{2}}{4}x^2+4\sqrt{2}\)とおく。\(0 < t < 4\)を満たす実数\(t\)に対し、座標平面上の点\((t, f(t))\)を通り、この点において放物線\(y = f(x)\)と共通の接線を持ち、\(x\)軸上に中心を持つ円を\(C_t\)とする。
\((1)\) 円\(C_t\)の中心の座標を\((c(t), 0)\)、半径を\(r(t)\)とおく。\(c(t)\)と\(\{r(t)\}^2\)を\(t\)の整式で表せ。
\((2)\) 実数\(a\)は\(0 < a < f(3)\)を満たすとする。円\(C_t\)が点\((3, a)\)を通るような実数\(t\)は\(0 < t < 4\)の範囲にいくつあるか。

方針

計算を進める。

解答

\((1)\) 円\(C_t\)の方程式は\((x-c(t))^2 + y^2 = \{r(t)\}^2\)である。この円は点\((t, f(t))\)を通るので、$$(t-c(t))^2 + \left(-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}\right)^2 = \{r(t)\}^2 \tag{a}\label{a}$$である。また、点\((t, f(t))\)における放物線\(y = f(x)\)の接線は$$y-\left(-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}\right) = -\frac{\sqrt{2}}{2}t(x-t)$$である。変形して、$$y = -\frac{\sqrt{2}}{2}tx + \frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2} \tag{b}\label{b}$$である。この点における\(C_t\)の接線は$$\displaystyle (t-c(t))(x-c(t)) + \left(-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}\right)y = \{r(t)\}^2$$である。変形して、$$y = \frac{-t+c(t)}{-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}}x + \frac{tc(t)-\{c(t)\}^2 + \{r(t)\}^2}{-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}} \tag{c}\label{c}$$である。\eqref{b}, \eqref{c}は同一なので、$$\begin{cases}\displaystyle -\frac{\sqrt{2}}{2}t & = & \displaystyle \frac{-t+c(t)}{-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}} \\ \displaystyle \frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2} & = &\displaystyle \frac{tc(t)-\{c(t)\}^2 + \{r(t)\}^2}{-\frac{\sqrt{2}}{4}t^2+4\sqrt{2}}\end{cases}$$となる。上の式から\(\displaystyle \underline{c(t) = \frac{1}{4}t^3-3t}\)である。下の式に代入して、\(\displaystyle \underline{\{r(t)\}^2 = \frac{1}{16}t^6-\frac{15}{8}t^4+12t^2+32}\)である。

\((2)\) \(\displaystyle f(3) = \frac{7}{4}\sqrt{2}\)である。円\(C_t\)が点\((3, a)\)を通るとき、\((3-c(t))^2 + a^2 = \{r(t)\}^2\)である。\((1)\)から、\(c(t), \{r(t)\}^2\)を代入して、$$\left(3-\frac{1}{4}t^3+3t\right)^2 + a^2 = \frac{1}{16}t^6-\frac{15}{8}t^4+12t^2+32 $$である。変形して、$$\begin{eqnarray}a^2 & = & \frac{1}{16}t^6-\frac{15}{8}t^4+12t^2+32 -\left(3-\frac{1}{4}t^3+3t\right)^2 \\ & = & \frac{1}{16}t^6-\frac{15}{8}t^4+12t^2+32 -\left(9+\frac{1}{16}t^6+9t^2 -\frac{3}{2}t^3-\frac{3}{2}t^4 + 18t\right) \\ & = & -\frac{3}{8}t^4 + \frac{3}{2}t^3 + 3t^2-18t + 23\end{eqnarray}$$である。右辺を\(g(t) \ (0 < t < 4)\)とすると、$$\begin{eqnarray}g^{\prime}(t) & = & -\frac{3}{2}t^3+\frac{9}{2}t^2+6t-18 \\ & = & -\frac{3}{2}(t^3-3t^2-4t+12) \\ & = & -\frac{3}{2}(t-2)(t^2-t-6) \\ & = & -\frac{3}{2}(t-2)(t-3)(t+2)\end{eqnarray}$$である。以上から、\(g(t)\ (0 < t < 4)\)の増減は以下の表のようになる。\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline t & 0 & \cdots & 2 & \cdots & 3 & \cdots & 4 \\ \hline g^{\prime}(t) & & – & 0 & + & 0 & – & \\ \hline g(t) & 23 & \searrow & 5 & \nearrow & \frac{49}{8} & \searrow & -1 \\ \hline \end{array}\(s = g(t)\)のグラフの概形は以下の図のようになる。したがって、円\(C_t\)が点\((3, a)\)を通るような実数\(t\)の個数は、$$\begin{cases}0<a^2 < 5 \text{のとき}1\text{個} \\ a^2 = 5\text{のとき}2\text{個} \\ 5<a^2 < \displaystyle \frac{49}{8}\text{のとき}3\text{個} \end{cases}$$である。よって、答えは以下のようになる。$$\begin{cases}0<a < \sqrt{5} \text{のとき}1\text{個} \\ a = \sqrt{5}\text{のとき}2\text{個} \\ \sqrt{5}<a < \displaystyle \frac{7\sqrt{2}}{4}\text{のとき}3\text{個} \end{cases}$$となる。

解説

座標平面上の円\((x-a)^2+(y-b)^2=c^2\)の、点\((x_0, y_0)\)における接線は\((x_0-a)(x-a)+(y_0-b)(y-b) = c^2\)となる。これを証明してみよう。円の中心から接点に向かうベクトルは\(\begin{pmatrix}x_0-a \\ y_0-b\end{pmatrix}\)である。これが接線の方向ベクトルになるから、接線の方程式は$$\begin{pmatrix}x-x_0 \\ y-y_0\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}x_0-a \\ y_0-b\end{pmatrix} = 0$$である。これを整理していく。$$(x-a+a-x_0)(x_0-a) + (y-b+b-y_0)(y_0-b) = 0$$であり、$$(x_0-a)(x-a) + (y_0-b)(y-b) = (x_0-a)^2 + (y_0-b)^2$$となり、右辺は\(c^2\)となるから、求める結果が得られる。大切なことは、座標平面上で直線は、方向と通る\(1\)点を決めれば一意に決まることである。この方向を、直線が通る方向ではなく、「直線と垂直な方向」を以て指定するベクトルが、方向ベクトルなのである。

関連問題

1985年京都大学文理共通数学問題文系問題1理系問題1 ベクトルと座標設定
1992年東京医科歯科大学数学問題3 座標平面と直線の回転
2006年東京大学前期理系問題1 ベクトルと漸化式、座標
2022年東京工業大学数学問題3 座標平面と円、直角三角形、軌跡

関連リンク

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