[math][京都大学][特色入試]2025年京都大学理学部特色入試第2問

math

問題

\(n\)を\(5\)以上の自然数とする。\(\text{K, O, T, Y}\)が\(1\)文字ずつ書かれた\(4\)枚のカード$$\fbox{K}, \fbox{O}, \fbox{T}, \fbox{Y}$$を用意する。この\(4\)枚のカードから\(1\)枚を引き、書かれた文字を記録し、戻すという操作を\(n\)回繰り返し、記録された順に文字を左から並べる。
このとき、並んだ\(n\)個の文字の中に連続した文字列「\(\text{KYOTO}\)」が現れる確率\(p_n\)が$$p_n\geq 1-\left(\frac{1023}{1024}\right)^{n-4}$$を満たすことを示せ。
 ただし、上の操作においては、それぞれのカードを毎回独立に、等しい確率で引くものとする。

方針

漸化式を立ててみる。

解答

\(n\)回の施行後、\(\text{KYOTO}\)の文字が揃っている場合、\(n+1\)回目は何が出ても\(\text{KYOTO}\)が揃っている。また、\(n\)回まで\(\text{KYOTO}\)の文字が揃っておらず、\(n+1\)回目で初めて揃う場合を考えると、\(n-4\)回目までは揃っておらず、\(n-3\)回目で\(\text{K}\)、\(n-2\)回目で\(\text{Y}\)、\(n-1\)回目で\(\text{O}\)、\(n\)回目で\(\text{T}\)、\(n+1\)回目で\(\text{O}\)が出れば良いので、$$p_{n+1} = p_{n} + (1-p_{n-4})\times \left(\frac{1}{4}\right)^{5}$$となる。\(0\leq p_n\leq 1\)であるから、\(p_n\)が単調増加数列であることがここからわかる。変形すると、$$1024p_{n+1} = 1024p_{n} -p_{n-4} + 1$$となる。

\(p_{n-4}\leq p_{n}\)であるから、$$1024p_{n+1} \geq 1024p_n – p_n + 1 $$である。整理すると、\(1024p_{n+1}\geq 1023p_{n} + 1\)である。これを用いて数学的帰納法で題意を示す。\(\displaystyle p_5 = \frac{1}{4^5} = \frac{1}{1024}\)であるから、\(n = 5\)のとき\(\displaystyle p_n\geq 1-\left(\frac{1023}{1024}\right)^{n-4}\)が成り立つ。\(n = k\)で\(\displaystyle p_k\geq 1-\left(\frac{1023}{1024}\right)^{k-4}\)が成り立つと仮定すると、$$\begin{eqnarray}p_{k+1} & \geq & \frac{1023p_{k} + 1}{1024} \\ & = & \frac{1023}{1024}\left(1-\left(\frac{1023}{1024}\right)^{k-4}\right) + \frac{1}{1024} \\ & = & 1- \left(\frac{1023}{1024}\right)^{k-3}\end{eqnarray}$$となり、\(n = k+1\)に於いても題意が成り立つ。したがって、すべての\(n\)に於いて与えられた不等式が成立する。

解説

\(p_n\)の特性方程式\(1024t^5=1024t^4-t+1\)の解は\(\displaystyle t = 1, \frac{\pm 1 \pm i}{8}\)となる。これから\(p_n\)を求めることもできなくはないが、問題を解く上であまり役には立たない。漸化式を立てたり、問題を考察する過程で\(p_n\)が単調増加数列であることはすぐに分かる。これを用いると、問題解決に近づくことができるだろう。

関連問題

1975年東京大学理系数学問題6 確率と期待値の漸化式
1994年京都大学前期文系数学問題4 確率と漸化式、7で割り切れる確率
1995年東京医科歯科大学数学問題2 数列と漸化式

関連リンク

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