[math][京都大学][特色入試]2024年京都大学理学部特色入試第3問

math

問題

座標平面における領域$$A = \{(x, y) | y\geq e^x\}$$で定まる図形\(A\)を考える。\(A\)に対して、原点を中心とする回転や平行移動を何回か行って得られる図形を\(n\)個用意し、それぞれ\(A_1, A_2, \cdots, A_n\)とする。このとき、\(A_1, A_2, \cdots, A_n\)により座標平面全体を覆うことのできる\(n\)の最小値を求めよ。

方針

\(n = 4\)のときは、具体的に\(y \geq e^x-1\)をそれぞれ\(90^{\circ}, 180^{\circ}, 270^{\circ}\)回転したものを考えれば、座標平面全体を覆うことができる。問題は、\(n = 3\)のときである。

解答

\(A_1 + A_2 + \cdots + A_n = X_n\)と置く。\(A_i \subset B_i\ (i = 1, 2, \cdots, n)\)を満たす\(B_i\)に対して、\(B_1 + B_2 + \cdots + B_n = Y_n\)と置く。\(Y_n \)が座標平面全体を覆うことができないのであれば、\(X_n\)も座標平面全体を覆うことはできない。

具体的な\(B\)として、$$B = \{(x, y) | x < 0, y\geq 0\} \cup \{(x, y) | x\geq 0, y \geq ex\}$$を考える。\(y = ex\)は\(x = 1\)で\(y = e^x\)と接するので、以下の図のように\(A \subset B\)であることはすぐに分かる。

\(B\)の隅は楔状態領域(wedge)であり、その開き角は\(\displaystyle e > \sqrt{3} = \tan{\frac{\pi}{3}}\)であるから、\(120^{\circ}\)未満である。これから、一つの\(B\)がある一点を中心とした小円周を覆いうる最大の円弧の広がりは\(120^{\circ}\)未満である。

任意の半径\(R\)の円\(C_R\)を考える。一つの\(B\)が円周上で連続的に覆うことのできる最大弧は\(120^{\circ}\)未満であるから、\(2\)つあるいは\(3\)つの\(B\)を配置しても、カバーできる円周上の弧の合計は最大でも\(360^{\circ}\)未満である。これは円周上に覆われない弧が残ることを示している。故に、どんな配置(回転・平行移動)を行っても、\(2\)つあるいは\(3\)つの\(B\)でこの円\(C_R\)を覆うことができない。円を覆うことができない以上、座標平面全体も覆うことができない。

また、\(y \geq e^x-1\)をそれぞれ\(90^{\circ}, 180^{\circ}, 270^{\circ}\)回転したものを考えれば、座標平面全体を覆うことができる。以上の議論から、座標平面全体を覆うことのできる\(n\)の最小値は\(\underline{n = 4}\)である。

解説

\(n = 4\)で上記のように覆えることはわかるので、\(n = 2, 3\)で駄目な理由を説明する。解答では\(A\)を覆う\(B\)という領域を考え、この\(B\)をどのように動かしても\(n = 3\)のときは座標平面全体を覆うことができないことを示している。他にも色々な方法が考えられる問題と思われる。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
2022年東京大学理系前期数学問題5 軸回りの回転体の体積、立体の求積

関連リンク

特色入試
お知らせ 令和7年度京都大学特色入試学生募集要項における補足について(2024年9月4日) 令和7年度京都大学特色入試学生募集要項を公開しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました