問題
\(a\)を実数とし、座標平面上の点\((0, a)\)を中心とする半径\(1\)の円の周を\(C\)とする。
\((1)\) \(C\)が、不等式\(y > x^2\)の表す領域に含まれるような\(a\)の範囲を求めよ。
\((2)\) \(a\)は\((1)\)で求めた範囲にあるとする。\(C\)のうち\(x\geq 0\)かつ\(y < a\)を満たす部分を\(S\)とする。\(S\)上の点\(P\)に対し、点\(P\)での\(C\)の接線が放物線\(y = x^2\)によって切り取られてできる線分の長さを\(L_P\)とする。\(L_Q = L_R\)となる\(S\)上の相異なる\(2\)点\(Q, R\)が存在するような\(a\)の範囲を求めよ。
方針
座標平面のままで考えても良いし、円なので三角関数を用いても良い。
解答
\((1)\) \(C\)の方程式は\(x^2+(y-a)^2 = 1\)である。これが\(y > x^2\)を満たすとき、$$\begin{eqnarray}y & > & x^2\\ \iff y & > & 1-(y-a)^2\\ \iff y^2+(1-2a)y + a^2-1 & > & 0 \end{eqnarray}$$である。最後の不等式がどんな\(y\)でも成り立つためには\(D = (1-2a)^2-4(a^2-1) < 0\)が必要である。これを解くと、\(\displaystyle \underline{a > \frac{5}{4}}\)が求める\(a\)の範囲となる。
\((2)\) \(C\)のうち\(x\geq 0\)かつ\(y < a\)を満たす領域は\(y = -\sqrt{1-x^2} + a, 0\leq x <1\)と置ける。点\(P\)の座標を\((p, -\sqrt{1-p^2}+a)\ \ (0\leq p <1)\)とすると、点\(P\)での\(C\)の接線の方程式は\(px-\sqrt{1-p^2}(y-a) = 1\)となる。整理すると、\(\displaystyle y = a+\frac{px-1}{\sqrt{1-p^2}}\)である。この接線と\(y = x^2\)の交点は、$$\begin{eqnarray}x^2 & = & a+\frac{px-1}{\sqrt{1-p^2}}\\ \iff \sqrt{1-p^2}x^2 & = & a\sqrt{1-p^2}+px-1\end{eqnarray}$$の解であり、整理すると$$\sqrt{1-p^2}x^2-px-a\sqrt{1-p^2}+1 = 0$$である。解を\(\alpha, \beta\)とすると、$$\begin{cases}\alpha+\beta & = & \displaystyle \frac{p}{\sqrt{1-p^2}}\\ \alpha\beta & = & \displaystyle \frac{-a\sqrt{1-p^2}+1}{\sqrt{1-p^2}}\end{cases} \tag{a}\label{a}$$である。また、$$\begin{eqnarray}L_P^2 & = & (\alpha-\beta)^2 + (\alpha^2-\beta^2)^2\\ & = & (\alpha-\beta)^2 (1+(\alpha+\beta)^2)\\ & = & ((\alpha+\beta)^2-4\alpha\beta)(1+(\alpha+\beta)^2) \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$である。\eqref{a}を\eqref{b}に代入して、$$\begin{eqnarray}L_P & = & \left(\frac{p^2}{1-p^2}-4\cdot \frac{-a\sqrt{1-p^2}+1}{\sqrt{1-p^2}}\right)\left(1+\frac{p^2}{1-p^2}\right)\\ & = & \frac{p^2+4a(1-p^2)-4\sqrt{1-p^2}}{(1-p^2)^2} \tag{c}\label{c}\end{eqnarray}$$となる。\(\displaystyle q = \frac{1}{\sqrt{1-p^2}}\)とすると、\(\displaystyle p^2=1-\frac{1}{q^2}\)であり、\(0\leq p<1\)のとき\(q\geq 1\)で、この範囲で\(p\)と\(q\)は一対一に対応する。\eqref{c}に代入して、$$\begin{eqnarray}L_P^2 & = & q^4\left(1-\frac{1}{q^2}+4a\cdot \frac{1}{q^2}-4\frac{1}{q}\right) \\ & = & q^4-4q^3+(4a-1)q^2\end{eqnarray}$$となる。\(f(q) = q^4-4q^3+(4a-1)q^2\ \ (q\geq 1)\)として、\(f(q)\)の増減を調べる。$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(q) & = & 4q^3-12q^2+2(4a-1)q\\ & = & 4q\left(q^2-3q+\frac{4a-1}{2}\right)\\ & = & 4q\left(\left(q-\frac{3}{2}\right)^2-\frac{9}{4}+\frac{4a-1}{2}\right)\\ & = & 4q\left(\left(q-\frac{3}{2}\right)^2+\frac{8a-11}{4}\right)\end{eqnarray}$$となる。\((1)\)から\(\displaystyle a > \frac{5}{4}\)であるから、\(8a-11 > -1\)となる。\(f(q) = 4(a-1) > 0\)も加味すると、\(8a-11 \geq 0\)のときは\(f^{\prime}(q) > 0\)となり\(f(q)\)は単調増加となり、\(-1<8a-11< 0\)のときは\(f^{\prime}(q) = 0\)となる\(q\)が二つ存在し、それを順に\(q_1, q_2\)とすると、\(f(q)\)の増減は以下の様になる。\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline x & 1 & \cdots & q_1 & \cdots & \frac{3}{2} & \cdots & q_2 \\ \hline f^{\prime}(q) & 8a-10 & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(q) & 1 & \nearrow & & \searrow & + & \nearrow \\ \hline \end{array}以上から、求める条件は\(\displaystyle \underline{\frac{5}{4}<a<\frac{11}{8}}\)となる。
解説
\((2)\) 方針が立たないということはないが、なかなか解きにくい問題である。予備校の解答速報などで、最初から三角関数を用いているところが多いが、そうでなくても問題はない。
\(L_P\)を求めた後は、極値を持つ条件を求める。結局は解の配置の問題に帰着される。なお、\((2)\)の解答は\(\displaystyle \frac{10}{8}<a<\frac{11}{8}\)で、意外に狭い範囲である。参考までに、\(\displaystyle a = \frac{10.5}{8}\)のときの\(f(q)\)のグラフを以下に示す。
関連問題
2006年東京大学前期理系問題1 ベクトルと漸化式、座標
1985年京都大学文理共通数学問題文系問題1理系問題1 ベクトルと座標設定
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