問題
数列\(p_n\)を次のように定める。$$p_1 = 1, p_2 = 2, p_{n+2} = \frac{{p_{n+1}}^2+1}{p_n}\ (n = 1, 2, 3, \cdots)$$
\((1)\) \(\frac{{p_{n+1}}^2+{p_n}^2+1}{p_{n+1}p_n}\)が\(n\)によらないことを示せ。
\((2)\) すべての\(n = 2,\ 3,\ 4,\ \cdots\)に対し、\(p_{n+1} + p_{n-1}\)を\(p_n\)のみを使って表わせ。
\((3)\) 数列\(\{q_n\}\)を次のように定める。$$q_1 = 1, q_2 = 1, q_{n+2} = q_{n+1} + q_n\ (n = 1,\ 2,\ 3,\ \cdots)$$すべての\(n = 1,\ 2,\ 3,\ \cdots\)に対し、\(p_n = q_{2n-1}\)を示せ。
方針
\((1)\) 数学的帰納法で示す。
\((2)\) \((1)\)が利用できそうである。
\((3)\) 数列を直接解いても良いし、帰納法でも良い。
解答
\((1)\) 与えられた数式を\(r_n\)と置く。\(n = 1\)の時、\(r_1 = \frac{{p_2}^2 + {p_1}^2+1}{p_2p_1} = \frac{4+1+1}{2} = 3\)である。\(r_k = 3\)と仮定すると、\(3p_{k+1}p_k = {p_{k+1}}^2+{p_k}^2+1\)であるから、$$r_{k+1} = \frac{{p_{k+2}}^2+{p_{k+1}}^2+1}{p_{k+2}p_{k+1}}$$ $$ = \frac{p_{k+2}}{p_{k+1}} + \frac{{p_{k+1}}^2+1}{p_{k+2}p_{k+1}}$$ $$ = \frac{{p_{k+1}}^2+1}{p_{k+1}p_k} + \frac{p_k}{p_{k+1}}$$ $$ = \frac{{p_{k+1}}^2+{p_k}^2+1}{p_{k+1}p_k}$$ $$ = 3$$となる。したがって、数学的帰納法から\(\frac{{p_{n+1}}^2+{p_n}^2+1}{p_{n+1}p_n} = 3\)となり、これは\(n\)によらない。
\((2)\) \((1)\)から、$$3 = \frac{{p_{n+1}}^2+1}{p_{n+1}p_n} + \frac{p_n}{p_{n+1}}$$ $$ = \frac{p_{n+2}}{p_{n+1}} + \frac{p_n}{p_{n+1}}$$であるから、\(p_{n+2} + p_n = 3p_{n+1}\)となる。よって、\(n = 2,\ 3,\ \cdots\)に対して、
\(p_{n+1} + p_{n-1} = 3p_n\)
である。
\((3)\) \(n = 1\)の時、\(p_1 = 1, q_{2\cdot1-1} = q_1 = 1\)だから\(p_n = q_{2n-1}\)が成り立つ。\(n = k\)の時\(p_n = q_{2n-1}\)が成り立つと仮定すると、\((2)\)から$$p_{k+1} = 3p_k -p_{k-1} $$ $$ = 3q_{2k-1}-q_{2k-3}$$ $$ = 3q_{2k-1}-(q_{2k-1}-q_{2k-2})$$ $$ = 2q_{2k-1} + q_{2k-2}$$ $$ = q_{2k-1} + q_{2k}$$ $$ = q_{2k+1}$$であるから、\(p_{k+1} = q_{2(k+1)-1}\)が成り立つ。以上からすべての\(n\)に対して\(p_n = q_{2n-1}\)が成り立つ。
解説
Fibonacchi数列の有名な性質を題材とした問題である。誘導に素直に従えば解けるように作られている。問題自体はそれほど難しくはない。Fibonacchi数列および二項係数は東大数学における頻出事項と言っても良い。
Fibonacchi数列については、問題の\(q_n\)をそのまま使うと$$q_n^2+{q_{n-1}}^2 = q_{2n-1}$$が成り立つことが知られている。すなわち、奇数番目のFibonacchi数列はすべて平方数の和の形で表される。
ところで、\(p_n\)の特性方程式は\(t^2 = 3t-1\)である。この方程式で\(t = s^2\)と置くと、\(s^4-3s^2 + 1 = (s^2-1)^2-s^2 = (s^2-s-1)(s^2+s-1) = 0\)となる。この片方の\(s^2-s-1 = 0\)はまさにFibonacchi数列の特性方程式になっている。
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