問題
\(n\)個の異なる色を用意する。立方体の各面にいずれかの色を塗る。各面にどの色を塗るかは同様に確からしいとする。辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる確率を\(p_n\)とする。次の問いに答えよ。
\((1)\) \(p_4\)を求めよ。
\((2)\) \(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{p_n}\)を求めよ。
方針
辺を共有するどの二つの面にも異なる色を塗るには、立方体の対面同士に同じ色を塗る必要がある。同様に確からしいの意味をよく考える。
解答
\((1)\) \(n = 4\)のとき、すべての色の塗り方は\(4^6\)通りであり、これらはどれも同様に確からしい。題意のように色を塗るとき、同じ色は対面同士にある必要がある。
\(\ \ \ (i)\) \(3\)色用いるとき、色の選び方は\(4\cdot 3\cdot 2 = 24\)通りで、そのそれぞれに対して塗り方は\(1\)通りである。
\(\ \ \ (ii)\) \(4\)色用いるとき、色の選び方は\(4\cdot 3\cdot 2\cdot 1 = 24\)通りで、\(2\)面塗られる色が\(2\)つあり、そのそれぞれに対して対面同士の選び方が\(3\)通りあるから、塗り方は\(24\cdot 3 = 72\)通りである。
以上から、\(\displaystyle p_4 = \frac{24+72}{4^6} = \underline{\frac{3}{128}}\)である。
\((2)\) \(n\geq 6\)として良い。ちょうど\(6\)色を用いて立方体を塗るとき、すべての色の塗り方は\(n^6\)通りであり、これらはどれも同様に確からしい。色の選び方は\(n\cdot (n-1)\cdot (n-2)\cdot (n-3)\cdot (n-4)\cdot (n-5)\)通りであるから、この確率は\(\displaystyle \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)}{n^6}\)である。明らかに\(\displaystyle \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)}{n^6} \leq p_n\leq 1\)である(\(p_n\)には\(3, 4, 5\)色で塗る場合も含まれるので)。ここで、\(\displaystyle \frac{n(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)}{n^6} = \left(1-\frac{1}{n}\right)\left(1-\frac{2}{n}\right)\left(1-\frac{3}{n}\right)\left(1-\frac{4}{n}\right)\left(1-\frac{5}{n}\right) \to 1\ (n\to\infty)\)であるから、挟み撃ちの原理から、\(\underline{p_n\to 1\ (n\to\infty)}\)である。
解説
\(1\)問目だがこの年の京都大学理系数学の中で一番難しいかも知れない。立方体の回転が・・・などと考え始めるとわけがわからなくなる。立方体は動かさずに、色の選び方で区別するものと考える。
\((2)\)は\((1)\)とあまり関係なく解ける。
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