問題
実数\(p, q\)に対し、\(x^3-px+q = 0\)の解がすべて実数なら(すなわち虚数解を持たないなら)\(x^3-2px^2+p^2x-q^2=0\)の解もすべて実数であることを示せ(\(30\)点)。
方針
解と係数の関係式を用いる。
解答
\(x^3-px+q = 0\)の\(3\)つの実数解を\(\alpha, \beta, \gamma\)とすると、$$\alpha +\beta + \gamma = 0$$ $$\alpha\beta+\beta\gamma + \gamma\alpha = -p$$ $$\alpha\beta\gamma = -q$$となる。これから、$${\alpha}^2+{\beta}^2+{\gamma}^2 = (\alpha+\beta+\gamma)^2-2(\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha) = 2p$$ $${\alpha}^2{\beta}^2+{\beta}^2{\gamma}^2 + {\gamma}^2{\alpha}^2 = (\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)^2-2\alpha\beta\gamma(\alpha+\beta+\gamma)$$ $$ = p^2$$ $${\alpha}^2{\beta}^2{\gamma} = q^2$$となる。したがって、\({\alpha}^2, {\beta}^2, {\gamma}^2\)が\(x^3-2px^2+p^2x-q^2=0\)の解であり、これは実数である。
解説
\(3\)次方程式\(x^3+ax^2+bx+c=0\)の\(3\)つの解を\(\alpha, \beta,\gamma\)とすると、$$\alpha+\beta+\gamma = -a$$ $$\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha = b$$ $$\alpha\beta\gamma= -c$$となる。これは暗記する必要はなく、$$(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) = (x^2-\beta x-\alpha x + \alpha\beta)(x-\gamma)$$ $$ = x^3-(\alpha+\beta+\gamma)x^2 + (\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha)x -\alpha\beta\gamma$$と展開して、\(x^3+ax^2+bx+c\)と見比べれば良い。
解答の\({\alpha}^2\)を\(x^3-2px^2+p^2x-q^2=0\)に代入し、\(0\)になることを示すこともできるが、これだと\({\alpha}^2, {\beta}^2, {\gamma}^2\)の中に等しいものがある場合などややこしくなるので、解答のように対称性を保ったまま話を進めるのが良い。
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