[math]1999年京都大学理系後期数学問題3

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問題

\(\alpha\)を正の定数として、数列\(a_n, b_n (n\geq 1)\)を次の式で定める。$$2a_{n+1} = \alpha(3{a_n}^2 + 2a_nb_n-{b_n}^2-a_n+b_n)$$ $$2b_{n+1} = \alpha(-{a_n}^2-2a_nb_n-{b_n}^2-a_n+b_n)$$ $$a_1 = b_1 = 1$$
\((1)\) \(a_2, b_2, a_3, b_3, a_4, b_4\)を求めよ。
\((2)\) \(\frac{a_{2n+1}}{a_{2n}}\)を求めよ。

方針

漸化式を解こうなどと考えてはいけない。

解答

\((1)\) 与えられた漸化式を用いて計算すると、\(a_2 = 2\alpha, b_2 = -2\alpha\)となる。同様に、順次\(a_3 = -2{\alpha}^2, b_3 = -2{\alpha}^2, a_4 = 8{\alpha}^5, b_4 = -8{\alpha}^5\)となる。

\((2)\) \((1)\)から\(a_{2n} = -b_{2n}, a_{2n+1} = b_{2n+1}\)が予想される。これは\(n = 1\)で成り立ち、\(n = k\)で成立を仮定すると、与えられた漸化式より$$a_{2k+2} = 2\alpha {a_{2k+1}}^2$$ $$b_{2k+2} = -2\alpha{a_{2k+1}}^2$$となり、さらに$$a_{2k+3} = -\alpha a_{2k+2}, b_{2k+3} = -\alpha a_{2k+2}$$となるから、\(n = k+1\)でも成り立つ。以上の過程から\(\frac{a_{2n+1}}{a_{2n}} = -\alpha\)である。

解説

漸化式は解けないので、問題の流れ通り、推測して帰納法という流れになる。\((1)\)で計算ミスをしてしまうと、\((2)\)も解けなくなるので、試験場では気をつけたい。ミスを防ぐコツは、計算過程を丁寧に残すことである。\((2)\)では何を仮定し、帰納法を用いるかは意外に難しい。\(a_n\)と\(b_n\)の関係を考えるとすっきりする。

関連問題

1975年京都大学文系数学問題6 分数漸化式
1991年東京工業大学後期数学問題1 10進法と桁の問題、三項間漸化式と特性方程式
1996年京都大学前期文系数学問題2 誤差の評価、二つの漸化式、ガウスの算術幾何平均

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