[math]1994年後期東京工業大学数学問題2

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問題

自然数n=1,2,3,に対して、(23)nという形の数を考える。これらの数はいずれも、それぞれ適当な自然数mが存在してmm1という表示をもつことを示せ。

方針

難問である。23=22221 (23)2=743=72721 (23)3=などとすると、問題文のm=an2であることが予想される。これがわかっても、直接帰納法で示すのは難しい。関係式としてan23bn2=1を持ってくる必要がある。

解答

(23)n=anbn3と置く。a1=2,b1=1である。an+1bn+13=(anbn3)(23) =2an+3bn(an+2bn)3より、an+1=2an+3bn,bn+1=an+2bnである。これから、帰納的にan,bnは整数になる。

今、(2+3)n=an+bn3であることを示す。n=1の時に正しく、あるnで正しいとすると、(2+3)n+1=(an+bn3)(2+3) =(2an+3bn)+(an+2bn)3 =an+1+bn+13であるから、n+1の時も正しい。以上から、(an+bn3)(anbn3)=(2+3)n(23)nであるから、両辺を計算して、an23bn2=1となる。これを使うと、(23)n=anbn3 =an23bn2 =an2an21となり、確かに題意が成り立つ。

解説

帰納法でもan23bn2=1を示すことが出来るが、解答では「相棒」である(2+3)n=an+bn3を持ち出している。このタイプの問題は,見たことがないと非常に難しいが、一回でも経験すると上のやり方で面白いように解けるようになる。そういう意味で、知識をもっているのは悪いことではない、という見本のような問題である。

コメント

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