[math]1990年東京医科歯科大学数学問題2

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問題

多項式の列\(f_1(x), f_2(x), \cdots, f_n(x), \cdots\)を次のように定める。$$\begin{eqnarray} f_1(x) & = & x + 2 \\ f_n(x) & = &(x+1)f_{n-1}(x) + x^n-(n-1)x+n-1 (n\geq 2)\end{eqnarray}$$また、\(f_n(x)\)の\(x^k\)の係数を\(a_{n, k}\)とおく\((k = 0, 1, \cdots)\)。
\((1)\) \(f_2(x), f_3(x)\)を求めよ。
\((2)\) \(a_{n, 0}\)を求めよ。
\((3)\) \(\displaystyle{\sum_{k=0}^{n}{a_{n, k}}}\)を求めよ。
\((4)\) \(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}{ka_{n, k}}}\)を求めよ。

方針

帰納法や式変形だけでも解けないことはないが、多項式を持ち出してくれているので最大限利用し、\(x\)に\(0, 1\)など適当な数値を代入すると楽に解くことができる。多項式とくれば微分積分、とピンとくるようになると応用が広がる。\((4)\)を普通に解こうとするとなかなか煩わしいが、微分して\(x=1\)を代入するとすぐに漸化式を得ることができる。

解答

\((1)\) \(f_1(x) = x+2\)であるから、$$\begin{eqnarray}f_3(x) & = & (x+1)(x+2) + x^2-x+1 \\ & = & 2x^2+2x+3 \end{eqnarray}$$であり、これを使って、$$\begin{eqnarray} f_3(x) & = & (x+1)(2x^2+2x+3) + x^3-2x+2 \\ & = & 3x^3 + 4x^2 + 3x + 5\end{eqnarray}$$となる。

\((2)\) \(f_n(x) = (x+1)f_{n-1}(x) + x^n-(n-1)x + n-1\)で\(x = 0\)として、$$a_{n, 0} = a_{n-1, 0}+n-1 (n\geq 2)$$である。これは階差数列で、\(a_{1, 0} = 2\)だから、$$\begin{eqnarray} a_{n, 0} & = & a_{1, 0} + \sum_{k=2}^{n}{(k-1)}\\ & = & 2 + \frac{(n-1)n}{2} \\ & = & \frac{n^2-n+4}{2} \end{eqnarray}$$となる。これは\(n = 1\)でも成立する。

\((3)\) 簡単のため、\(\displaystyle{S_n = \sum_{k=0}^{n}{a_{n, k}}}\)とする。\(f_n(x) = (x+1)f_{n-1}(x) + x^n-(n-1)x + n-1\)で\(x = 1\)として、\(S_n = 2S_{n-1} + 1 (n\geq 2)\)となる。変形して、\(S_{n}+1 = 2(S_{n-1} + 1)\)である。また、\(S_1 = a_{1, 0} + a_{1, 1} = 3\)であるから、\(S_{n} + 1 = 2^{n-1}(S_1+1) = 2^{n+1}\)となる。これから、\(\displaystyle{\sum_{k=0}^{n}{a_{n, k}} = 2^{n+1}-1}\)となる。これは\(n = 1\)でも成立する。

\((4)\) 簡単のため、\(\displaystyle{T_n = \sum_{k=1}^{n}{ka_{n, k}}}\)とする。\(f_n(x) = (x+1)f_{n-1}(x) + x^n-(n-1)x + n-1\)の両辺を\(x\)で微分して、$$f_{n}^{\prime}(x) = (x+1)f_{n-1}^{\prime} + f_{n-1}(x) + nx^{n-1}-(n-1)$$である。\(f_{n}^{\prime}(1) = T_n\)だから、上の式で\(x = 1\)として、$$T_n = 2T_{n-1} + S_{n-1}+1 (n\geq 2)$$である。\((3)\)の結果を代入して、$$T_{n} = 2T_{n-1} + 2^{n}$$である。両辺を\(2^{n}\)で割って、$$\frac{T_n}{2^n} = \frac{T_{n-1}}{2^{n-1}} + 1$$である。また、\(\frac{T_n}{2} = \frac{a_{1, 1}}{2} = \frac{1}{2}\)である。したがって、$$\begin{eqnarray}\frac{T_n}{2^n} & = & \sum_{k=1}^{n-1}{(1)} + \frac{T_1}{2} \\ & = & n-\frac{1}{2} \end{eqnarray}$$である。以上より、\(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}{ka_{n, k}} = 2^n\left(n-\frac{1}{2}\right)}\)である。これは\(n = 1\)でも成立する。

解説

比較的良く出題されるパターンの問題で、初見でも復習をしっかりすればこのタイプの問題なら対処できるようになる。

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