[math]2021年京都大学理系数学問題2

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問題

曲線\(y=\frac{1}{2}(x^2+1)\)上の点\(P\)における接線は\(x\)軸と交わるとし、その交点を\(Q\)とおく。線分\(PQ\)の長さを\(L\)とするとき、\(L\)が取りうる値の最小値を求めよ。

方針

標準的な設問であり、自力で完答したい。

解答

点\(P\)の座標を\(\left(p,\ \frac{1}{2}(p^2+1)\right)\)としよう。与えられた曲線は\(y\)軸に関して対象なので、対称性から\(p \geq 0\)として良い。\(y = \frac{1}{2}(x^2+1)\)の時\(y^{\prime} = x\)であるから、点\(P\)における接線は$$\begin{eqnarray}y & = & p(x-p) + \frac{1}{2}(p^2+1)\\ & = & px-\frac{1}{2}p^2 + \frac{1}{2}\end{eqnarray}$$である。\(y = 0\)とすると、\(px = \frac{p^2-1}{2}\)である。このような\(x\)が存在するので、\(p \ne 0\)で、点\(Q\)の\(x\)座標は\(x = \frac{p^2-1}{2p}\)となる。線分\(PQ\)の長さは$$\begin{eqnarray} PQ & = & \sqrt{\left(p-\frac{p^2-1}{2p}\right)^2 + \left(\frac{1}{2}(p^2+1)\right)^2} \\ & = & \sqrt{\left(\frac{p^2+1}{2p}\right)^2+\left(\frac{1}{2}(p^2+1)\right)^2} \\ & = & \frac{(p^2+1)^{\frac{3}{2}}}{2p} \end{eqnarray}$$である。\(\displaystyle f(p) = \frac{(p^2+1)^\frac{3}{2}}{2p}\ (p > 0)\)と置く。$$\begin{eqnarray} f^{\prime}(p) & = & \frac{\frac{3}{2}(p^2+1)^{\frac{1}{2}}\cdot 2p\cdot p – (p^2+1)^{\frac{3}{2}}\cdot 1}{2p^2} \\ & = & \frac{(p^2+1)^\frac{1}{2}}{2p^2}\left(3p^2-(p^2+1)\right) \\
& = & \frac{\sqrt{p^2+1}}{2p^2}(2p^2-1)\end{eqnarray}$$これから、次の増減表が書ける。$$\begin{array}{|c|*4{c|}}\hline x & 0 & \cdots & \frac{1}{\sqrt{2}} & \cdots \\ \hline f^{\prime}(p) & & – & 0 & + \\ \hline f(p) & & \searrow & & \nearrow \\ \hline \end{array}$$以上より\(f(p)\)は\(p = \dfrac{1}{\sqrt{2}}\)の時に最小値\(\displaystyle f\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) =\) \(\displaystyle \underline{\frac{3\sqrt{3}}{4}}\)を取る。

解説

与えられた曲線は\(y\)軸に関して対象なので、対称性から最初から\(p > 0\)として良い。一般に\(y = \frac{g(x)}{f(x)}\ (f(x)\ne 0)\)の微分は$$\begin{eqnarray}\frac{g^{\prime}(x)f(x)-g(x)f^{\prime}(x)}{{f(x)}^2}\end{eqnarray}$$となる。これは、\(\log{y} = \log{g(x)}-\log{f(x)}\)を考えて、微分すると、$$\begin{eqnarray}\frac{y^{\prime}}{y} = \frac{g^{\prime}(x)}{g(x)} -\frac{f^{\prime}(x)}{f(x)}\end{eqnarray}$$となるので、$$\begin{eqnarray} y^{\prime} & = & \frac{g(x)}{f(x)}\left(\frac{g^{\prime}(x)}{g(x)}-\frac{f^{\prime}(x)}{f(x)}\right) \\ & = & \frac{g^{\prime}(x)}{f(x)} -\frac{g(x)f^{\prime}(x)}{{f(x)}^2} \\ & = & \frac{g^{\prime}(x)f(x)-g(x)f^{\prime}(x)}{{f(x)}^2} \end{eqnarray}$$となるわけである。覚えておけばよいのは\(\log{y}\)の微分が\(\frac{y^{\prime}}{y}\)になることだけである。

コメント

  1. […] 不思議な問題であるが、誘導に従っていくと自然に解けるように作られている。解答で特に難しいところはないが、一つだけ有利関数の微分については習熟しておくと良い。詳しくは以下の記事を参照すると良い。2021年京都大学理系数学問題2 […]

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