問題
\(x \geq 1\)で定義されている関数\(f(x)\)は連続な導関数\(f^{\prime}(x)\)をもち、次の条件を満たしている。$$f(1) \leq f^{\prime}(x)\leq \frac{f(x)}{x} \ (x \geq 1)$$また、\(\displaystyle F(x) = f(1) + \int_{1}^{x}{\frac{f(t)}{t}dt}\)とおく。このとき以下の問に答えよ。
\((1)\) \(\displaystyle f(x)x \leq f(x)\leq F(x) \ (x\geq 1)\)を示せ。
\((2)\) \(x\geq 1\)における\(\displaystyle \frac{F(x)}{x}\)の最大値を求めよ。
\((3)\) \(f(x)\)を\(f(1)\)と\(x\)を用いて表わせ。
方針
誘導に丁寧に従えば良い。
解答
\((1)\) 与えられた不等式で\(x\)を\(t\)とおいた$$f(1)\leq f^{\prime}(t)\leq \frac{f(t)}{t} \ (t\geq 1)$$を\(1\)から\(x \ (x\geq 1)\)で積分して、$$f(1)x-f(1)\leq f(x)-f(1)\leq \int_{1}^{x}{\frac{f(t)}{t}dt}$$となる。各辺に\(f(1)\)を足して、題意の不等式を得る。
\((2)\) \(\displaystyle g(x) = \frac{F(x)}{x} \ (x\geq 1)\)とすると、$$\begin{eqnarray}g^{\prime}(x) & = & \frac{F^{\prime}(x)x-F(x)}{x^2} \\ & = & \frac{\{f(x)/x\}x-F(x)}{x^2} \\ & = & \frac{f(x)-F(x)}{x^2} \\ & \leq & 0\ ((1)から)\end{eqnarray}$$となる。これから、\(g(x)\)は減少関数であるから、\(x=1\)で最大値をとる。よって、\(\displaystyle \frac{F(x)}{x}\)の最大値は\(\displaystyle \frac{F(1)}{1} = \underline{f(1)}\)である。
\((3)\) \((1)\)から\(f(1)x\leq f(x)\leq F(x)\)であり、\((2)\)から\(F(x)\leq f(1)x\)であるから、\(f(1)x\leq f(x)\leq f(1)x\)となる。これより、\(\underline{f(x) = f(1)x}\)である。
解説
不思議な問題であるが、誘導に従っていくと自然に解けるように作られている。解答で特に難しいところはないが、一つだけ有利関数の微分については習熟しておくと良い。詳しくは以下の記事を参照すると良い。
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