[math]1976年京都大学理系数学問題6

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問題

外観では区別できない\(2\)つの袋\(U_1, U_2\)があり、\(U_1\)には\(4n\)個の赤玉と\(n\)個の白玉、\(U_2\)には\(2n\)個の赤玉と\(3n\)個の白玉がそれぞれ入っている。この袋のどちらかが観測者に手渡され、袋\(U_1\)が手渡される確率は\(\displaystyle \frac{2}{3}\)、袋\(U_2\)が手渡される確率は\(\displaystyle \frac{1}{3}\)である。観測者は手渡された袋から\(3\)個球を取り出し、赤玉の数が白玉の数より多いときは手渡された袋は\(U_1\)であると判断し、そうでないときは\(U_2\)であると判断する。観測者が誤った判断を下す確率を\(p_n\)とするとき、\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{p_n}\)を求めよ。

方針

一瞬条件付き確率の問題かと思うが、落ち着いてみればただの確率の問題である。

解答

観測者が誤った判断を下すのは、\((i)\)袋\(U_1\)を渡されて、赤玉の数が白玉の数よりも少ないときか、\((ii)\)袋\(U_2\)を渡されて、赤玉の数が白玉の数よりも多いとき、の\(2\)通りがある。

\((i)\) このとき、袋\(U_1\)を渡される確率は\(\displaystyle \frac{2}{3}\)である。また、白玉の数の方が多いのは、白玉が\(3\)個の場合と、白玉が\(2\)個の場合があって、玉の取り出し方は\(_{5n}{\mathbb{C}}_{3}\)通りであるから、全体としての確率は$$\begin{eqnarray}\frac{2}{3}\cdot \frac{_{n}{\mathbb{C}}_{3}+_{n}{\mathbb{C}}_{2}\cdot _{4n}{\mathbb{C}}_{1}}{_{5n}{\mathbb{C}}_{3}} & = & \frac{2}{3}\cdot \frac{n(n-1)(n-2) + 12n\cdot n(n-1)} {5n(5n-1)(5n-2)}\\ & = & \frac{2n(n-1)(13n-2)}{15n(5n-1)(5n-2)}\end{eqnarray}$$となる。

\((ii)\) このとき、袋\(U_2\)を渡される確率は\(\displaystyle \frac{1}{3}\)である。また、赤玉の数の方が多いのは、赤玉が\(3\)個の場合と、赤玉が\(2\)個の場合があって、玉の取り出し方は\(_{5n}{\mathbb{C}}_{3}\)通りであるから、全体としての確率は$$\begin{eqnarray}\frac{1}{3}\cdot \frac{_{2n}{\mathbb{C}}_{3}+_{2n}{\mathbb{C}}_{2}\cdot _{3n}{\mathbb{C}}_{1}}{_{5n}{\mathbb{C}}_{3}} & = & \frac{1}{3}\cdot \frac{2n(2n-1)(2n-2) + 9n\cdot 2n(2n-1)} {5n(5n-1)(5n-2)}\\ & = & \frac{2n(2n-1)(11n-2)}{15n(5n-1)(5n-2)}\end{eqnarray}$$となる。

\((i), (ii)\)から\(\displaystyle p_n = \frac{2n(n-1)(13n-2) + 2n(2n-1)(11n-2)}{15n(5n-1)(5n-2)}\)である。よって、\(n\to \infty\)での極限は\(\displaystyle \frac{2\cdot 1\cdot 13+2\cdot 2\cdot 11}{15\cdot 5\cdot 5}=\underline{\frac{14}{75}}\)となる。

解説

一瞬条件付き確率の問題かと思わされるが、単なる普通の確率の問題で、しかも京大の問題としては易しいほうである。極限の部分も単なるおまけである。実は\(p_n\)は\(n\)に関して増加数列となる。

京大では昔は非常に難しい確率の問題が出題されていたが、ここ数年は基本的な問題が多くなってきている。

関連問題

1985年東京大学理系数学問題5 確率と極限
1991年東京大学前期理系数学問題1 確率と漸化式、対称性
2005年京都大学理系後期数学問題6 コインと確率
2011年東京医科歯科大学前期数学問題1 確率と漸化式

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