[math]1985年京都大学理系数学問題4

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問題

実数\(r(r>0)\)に対して、下の方程式\(\text{①}\)の定める球面と、\(\text{②}\)の定める平面の共通部分を\(D\)とする。$$\text{①}x^2+y^2+z^2=\frac{1}{3}(r^2+2)\ \ \text{②} x+y+z=r$$
\((1)\) 点\(P, Q\)がともに\(D\)に属すれば、\(\displaystyle \mid \overrightarrow{PQ}\mid \leq 2\sqrt{\frac{2}{3}}\)が成り立つことを示せ。
\((2)\) \(r\)が自然数のとき、連立方程式\(\text{①}, \text{②}\)の整数解を決定せよ。

方針

\((1)\)が難しいが、問題の式の意味を図形的に考えると道がひらけてくる。

解答

\((1)\) \(\text{①}\)は原点を中心とする半径\(\displaystyle \sqrt{\frac{1}{3}(r^2+2)}\)の球であり、\(\text{②}\)は原点からの距離が\(\displaystyle \left|\frac{0+0+0-r}{\sqrt{1^2+1^2+1^2}}\right|=\frac{r}{\sqrt{3}}\)である平面である。したがって、\(D\)は円となり、その半径は下の図から$$\sqrt{\frac{1}{3}(r^2+2)-\frac{r^2}{3}}=\sqrt{\frac{2}{3}}$$となる。よって、点\(P, Q\)がともに\(D\)に属するならば、その距離は円の直径である\(\displaystyle 2\sqrt{\frac{2}{3}}\)を超えることはない。

①と②の関係図。

\((2)\) 連立方程式\(\text{①}, \text{②}\)が整数解をもつとき、\(x^2+y^2+z^2\)は整数であるから、\(\displaystyle \frac{1}{3}(r^2+2)\)は整数である。つまり、\(r \equiv \pm 1 \pmod{3}\)であるから、\(m\)を自然数として、\(r = 3m-2, 3m-1\)とおける。

\((i)\) \(r = 3m-2\)のとき
$$\begin{cases}x^2+y^2+z^2 = 3m^2-4m+2 \\ x+y+z = 3m-2\end{cases}$$である。\(x = m+X, y = m + Y, z = m + Z\)と置いて整理すると、$$\begin{cases}X^2+Y^2+Z^2 = 2 \\ X+Y+Z = -2\end{cases}$$となる。これを満たすのは\((X, Y, Z) = (-1, -1, 0), (-1, 0, -1), (0, -1, -1)\)である。よって、\((x, y, z) = (m-1, m-1, m), (m-1, m, m-1), (m, m-1, m-1)\)となる。

\((ii)\) \(r = 3m-1\)のとき
$$\begin{cases}x^2+y^2+z^2 = 3m^2-2m+1\\ z+y+z = 3m-1\end{cases}$$である。\(x = X+m, y = Y+m, z = Z+m\)と置いて整理すると、$$\begin{eqnarray}X^2+Y^2+Z^2 = 1\\ X+Y+Z = -1\end{eqnarray}$$となる。これを満たすのは\((X, Y, Z) = (-1, 0, 0), (0, -1, 0), (0, 0, -1)\)である。よって、\((x, y, z) = (m-1, m, m ), (m, m-1,m ), (m, m, m-1)\)となる。

以上から、\(\text{①}, \text{②}\)の解は、\(r\equiv 1 \pmod{3}\)のときは\(\displaystyle \underline{(x, y, z) = \left(\frac{r+2}{3}-1, \frac{r+2}{3}-1, \frac{r+2}{3}\right)}\)(順不同)で、\(r\equiv 2 \pmod{3}\)のときは\(\displaystyle \underline{(x, y, z)=\left(\frac{r+1}{3}-1, \frac{r+1}{3}, \frac{r+1}{3}\right)}\)(順不同)となる。

解説

難問である。平面では円の方程式を\((x-a)^2+(y-b)^2=c^2\)と表したように、空間では球の方程式を\((x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=d^2\)と表す。また、平面では直線の方程式が\(ax+by+c = 0\)としたように、空間では平面の方程式が\(ax+by+cz+d = 0\)となる。ここらへんは類推ができるだろう。また、便利なことに、平面では直線\(ax+by+c = 0\)と点\((x_0, y_0)\)との距離は$$\frac{\mid ax_0+by_0+c\mid }{\sqrt{a^2+b^2}}$$で求められたが、空間では平面\(ax+by+cz+d=0\)と点\((x_0, y_0, z_0)\)との距離は$$\frac{\mid ax_0+by_0+cz_0+d\mid }{a^2+b^2+c^2}$$と求めることができる。\((2)\)は解答のように置き換えることでうまく整数方程式を解くことができる。なお、\(r\equiv 0 \pmod{3}\)のときは\(\displaystyle \frac{1}{3}(r^2+2)\)は整数にならない。

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