問題
(医学部)
座標空間において、\(8\)点\(O(0, 0, 0, ), A(1, 0, 0), B(0, 1, 0), C(0, 0, 1), D(0, 1, 1), E(1, 0, 1), F(1, 1, 0), G(1, 1, 1)\)をとり、この\(8\)点を頂点とする立方体を\(Q\)とする。また点\(P(x, y, z)\)と正の実数\(t\)に対し、\(6\)点\((x+y, y, z), (x-t, y, z), (x, y+t, z), (x, y-t, z), (x, y, z+t), (x, y, z-t)\)を頂点とする正八面体を\({\alpha}_t(P)\)、その外部の領域を\({\beta}_t(P)\)で表す。ただし、立方体および正八面体は内部の領域を含むものとする。このとき以下の各問に答えよ。
\((1)\) \(0<t\leq 1\)のとき、\(Q \cap {\beta}_t(O)\cap {\beta}_t(D)\cap {\beta}_t(E)\cap {\beta}_t(F)\)の体積、すなわち\(5\)個の領域\(Q, {\beta}_t(O), {\beta}_t(D), {\beta}_t(E), {\beta}_t(F)\)の共通部分の体積を\(t\)で表わせ。
\((2)\) \(Q \cap {\alpha}_1(O) \cap {\beta}_1(A)\cap {\beta}_1(B)\cap {\beta}_1(C) \)の体積を求めよ。
\((3)\) \(0 < t\leq 1\)のとき、$$Q\cap {\beta}_t(O)\cap {\beta}_t(A) \cap {\beta}_t(B) \cap {\beta}_t(C) \cap {\beta}_t(D) \cap {\beta}_t(E) \cap {\beta}_t(F) \cap {\beta}_t(G)$$の体積を\(t\)で表わせ。
(医学部以外)
\((1)\) \(0<t\leq 1\)のとき、\(Q\)と\({\alpha}_t(O)\)の共通部分\(Q\cap {\alpha}_t(O)\)の体積を\(t\)で表わせ。
\((2)\) \(Q\cap {\beta}_1(O) \cap {\beta}_1(D)\cap {\beta}_1(E) \cap {\beta}_1(F)\)の体積を求めよ。
\((3)\) \(\displaystyle \frac{1}{2}<t\leq 1\)のとき、\(Q\cap {\alpha}_t(O) \cap {\alpha}_t(A)\)の体積を\(t\)で表わせ。
\((4)\) \(t\)が\(0<t\leq 1\)の範囲で変化するとき、$$Q\cap {\alpha}_t(O)\cap {\beta}_t(A) \cap {\beta}_t(B) \cap {\beta}_t(C)$$の体積が最大となる\(t\)の値を求めよ。
方針
空間図形の問題である。対称性を十分に活用する。
\((3)\)は\(t\)の値で場合分けが生じる。
解答
(医学部)
\((1)\) \({\beta}_t(O), {\beta}_t(D), {\beta}_t(E), {\beta}_t(F)\)のどれも、\(Q\)の内部で共通部分をもたない。\(Q\cap {\beta}_t(O)\)は、底面の面積が\(\displaystyle t\times t\times \frac{1}{2}\)で、高さが\(t\)の三角錐であるから、体積は\(\displaystyle \frac{t^3}{6}\)となる。したがって、求める体積は\(\displaystyle 1-\frac{t^3}{6}\cdot 4 = \underline{1-\frac{2}{3}t^3}\)となる。
\((2)\) \(Q\cap {\alpha}_1(O)\)は次の図の赤い四面体であるから、\(Q\cap {\alpha}_1(O)\cap {\beta}_1(A) \cap {\beta}_1(B)\cap {\beta}_1(C)\)は同じ図の青い正四面体になる。この青い正四面体の体積は、四面体\(OABC\)の体積の\(\displaystyle \frac{1}{4}\)である。四面体\(OABC\)の体積は\(\displaystyle 1\times 1\times \frac{1}{2}\times 1\times \frac{1}{3}=\frac{1}{6}\)であるから、求める体積は\(\displaystyle \underline{\frac{1}{24}}\)である。
\((3)\) \((i)\) \(\displaystyle 0< t\leq \frac{1}{2}\)のとき、\((1)\)と同様に、\({\beta}_t(X)\ (X = O \sim G)\)のどの二つも共通部分を持たないから、求める体積は\(\displaystyle 1-8\times \frac{t^3}{6} = \underline{1-\frac{4}{3}t^3}\)となる。
\((ii)\) \(\displaystyle \frac{1}{2}\leq t\leq 1\)のとき、\({\alpha}_t(O)\)と\({\alpha}_t(A)\)は共通部分をもつが、その共通部分の体積は下の図から、$$\frac{1}{3}\times \frac{2t-1}{\sqrt{2}}\times \frac{2t-1}{\sqrt{2}}\times \frac{1}{2}\times \frac{2t-1}{2} = \frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{2}\right)^3$$となる。このような部分は辺の数だけあり、それは\(12\)個である。したがって、求める体積を\(V\)とすると、$$\begin{eqnarray}V & = & 1-\left(\frac{t^3}{6}\times 8-12\times \frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{2}\right)^3\right)\\ & = & 1-\frac{4}{3}t^3+4\left(t-\frac{1}{2}\right)^3\\ & = & \frac{8}{3}t^3-6t^2+3t+\frac{1}{2}\end{eqnarray}$$となる。よって、\(\displaystyle \frac{1}{2}\leq t\leq 1\)のとき、求める体積は\(\displaystyle \underline{\frac{8}{3}t^3-6t^2+3t+\frac{1}{2}}\)である。
(医学部以外)解答のみ。
\((1)\) \(\displaystyle \frac{1}{6}t^3\)
\((2)\) \(\displaystyle \frac{1}{3}\)
\((3)\) \(\displaystyle \frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{2}\right)^3\)
\((4)\) \((i)\) \(\displaystyle 0<t\leq \frac{1}{2}\)のとき、求める体積は\(\displaystyle \frac{1}{6}t^3\)
\((ii)\) \(\displaystyle \frac{1}{2}\leq t\leq 1\)のとき、求める体積は\(\displaystyle \frac{1}{6}t^3-\left(t-\frac{1}{2}\right)^3\)である。微分して増減表をかくと、体積が最大になる\(t\)は\(\displaystyle t = \frac{6+\sqrt{6}}{10}\)となる。
解説
医学科とそれ以外に問題が分けられている。医科歯科大学ではこの年度以降、このような出題がたまに見られるようになった。医学科の問題の方が難しいが、あまり差はない。
\((1)\) 記号がチカチカするが、それほど難しくはない。問題の意味を把握してください、という問題。
\((2)\) 一瞬ギョッとするが、図を丁寧に書くと求める部分はただの正四面体である。正四面体になることの説明は解答に長々と書く必要はないと思われる。
\((3)\) 医科歯科大学の2010年度の入試ではこの問題が解けたかどうかで結果が大きく左右されたことであろう。\(\displaystyle 0\leq t\leq \frac{1}{2}\)のときと\(\displaystyle \frac{1}{2}\leq t\leq 1\)のときで様子が大きく異なる。難しいのは\(\displaystyle \frac{1}{2}\leq t\leq 1\)のときだが、これも丁寧に図を描くと、交わるのは \({\beta}_t(X)\ (X = O\sim G)\)の内高々二つに過ぎないことに気が付く。これに気が付けば共通部分を除いて考えてやればいい。空間の問題では図をこすりすぎないで大きく丁寧に描くことがポイントになる。
関連問題
1985年京都大学理系数学問題4 空間図形と整数、置き換えの利用
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積
2012年東京医科歯科大学前期数学問題2 空間図形と求積、断面図
2014年東京大学理系数学問題1 立体図形
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