問題
関数\(f(x)\)を\(\displaystyle f(x) = \int_{0}^{x}{\frac{1}{1+t^2}dt}\)で定める。
\((1)\) \(y = f(x)\)の\(x = 1\)における法線の方程式を求めよ。
\((2)\) \((1)\)で求めた法線と\(x\)軸および\(y = f(x)\)のグラフによって囲まれる図形の面積を求めよ。
方針
\((2)\)は\(f(x)\)の積分は直接計算することが難しいので、部分積分法を用いる。
解答
\((1)\) \(\displaystyle f^{\prime}(x) = \frac{1}{1+x^2}\)で、\(\displaystyle f^{\prime}(1) = \frac{1}{2}\)であるから、求める法線は$$\begin{eqnarray}y & = & -2(x-1)+f(1)\\ & = & -2x+2+\int_{0}^{1}{\frac{1}{1+t^2}dt}\\ & = & -2x+2+\frac{\pi}{4}\end{eqnarray}$$となる。ただし、積分の計算で\(t = \tan{\theta}\)と置換した。答えは\(\displaystyle \underline{y = -2x+2+\frac{\pi}{4}}\)となる。
\((2)\) \(y = f(x)\)は\(f^{\prime}(x) > 0\)より単調増加で、その概形は下の図のようになるから、求める面積を\(S\)とすると、$$\begin{eqnarray}S & = & \int_{0}^{1}{f(x)fx} + \frac{{\pi}^2}{64}\\ & = & [xf(x)]_{0}^{1}-\int_{0}^{1}{xf^{\prime}(x)dx} + \frac{{\pi}^2}{64}\\ & = & f(1)-\int_{0}^{1}{\frac{x}{1+x^2}dx} + \frac{{\pi}^2}{64}\\ & = & \frac{\pi}{4}-\frac{1}{2}[\log{(1+x^2)}]_{0}^{1}+\frac{{\pi}^2}{64}\\ & = & \underline{\frac{\pi}{4}-\frac{\log{2}}{2}+\frac{{\pi}^2}{64}}\end{eqnarray}$$となる。
解説
\((1)\) 計算だけであるが、接線と法線を間違えないように注意する。法線とは、ある点を通り、その点における接線に直交する直線として理解すれば良い。接線の傾きを\(m\)として、法線の傾きを\(n\)とすると、\(mn = -1\)から法線の傾きを求めることができる。\((1)\)の過程で\(\displaystyle f(1) = \frac{\pi}{4}\)がわかり、この値は\((2)\)でも用いる。
\((2)\) それほど厳密に図を書く必要はない。位置関係がわかれば十分である。積分の式も簡単に立てられるが、\(f(x)\)が積分の式で定義されているので、部分微分法を用いて、\(f^{\prime}(x)\)が出てくるようにする。三角形だけ別に計算するが、\((1)\)で求めた法線で\(x = 0\)となる点が図の\(\displaystyle \left(1+\frac{\pi}{8}, 0\right)\)というようにする。
実は、問題の\(f(x)\)は\(\tan{x}\)の逆関数となる。すなわち、\(y = f(x)\)とすると、\(x = \tan{y}\)である。\((1)\)の過程でそのことに気がついたものもいるかも知れない。気が付かなくても、問題を解くことはできる。証明は簡単で、問題分の積分で\(t = \tan{\theta}\)とすると、$$\begin{eqnarray}f(x) & = & \int_{0}^{\tan^{-1}{x}}{\frac{1}{1+\tan^2{\theta}}\cdot \frac{1}{\cos^2{\theta}}d\theta}\\ & = & \tan^{-1}{x}\end{eqnarray}$$であるから、\(x = \tan{y}\)となる。
関連問題
2001年度防衛医科大学校数学問題2 抽象関数と積分
2007年京都大学理系数学乙問題6 抽象関数
2012年東京医科歯科大学前期数学問題3 逆関数の積分とはさみうちの原理
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