[math]1977年東京大学数学文理共通問題文系問題1理系問題1

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問題

\(k\)を実数の定数とするとき、\(x\)の関数\(f(x) = \mid x^3-kx \mid \)が\(-1\leq x\leq 1\)の範囲でとる最大値を\(M(k)\)で表す。\(k\)が実数全体を動くとき、\(M(k)\)が最小となる\(k\)の値および\(M(k)\)の最小値を求めよ。

方針

絶対値付き関数の最小値や最大値を求める場合は、細かい場合分けは後にして、まずグラフを描いて、\(x\)軸に関して折り返して、一番小さい部分や大きい部分を見て最小値・最大値を求める。

解答

\(f(-x) = f(x)\)となるから、\(0 \leq x\leq 1\)で考える。\(g(x) = x^3-kx\)とすると、$$g^{\prime}(x) = 3(x^2-k)$$である。
\((i)\) \(k \leq 0\)のとき、\(0\leq x\leq 1\)で\(g^{\prime}(x) \geq 0\)となるので、\(g(x)\)は非減少で、\(g(0) = 0, g(1) = 1-3k\)となる。
\((ii)\) \(0 < k < 1\)のとき、\(g(x)\)の増減は以下のようになる。

\(x\)\(0\)\(\sqrt{k}\)\(1\)
\(g^{\prime}(x)\)\(-\)\(0\)\(+\)
\(g(x)\)\(0\)\(\searrow\)\(-2k\sqrt{k}\)\(\nearrow\)\(1-3k\)
\(0 < k < 1\)のときの\(g(x)\)の増減表。

\((iii)\) \(k \geq 1\)のとき、\(g(x)\)の増減は以下のようになる。

\(x\)\(0\)\(1\)
\(g^{\prime}(x)\)\(-\)
\(g(x)\)\(0\)\(\searrow\)\(1-3k\)
\(k \geq 1\)のときの\(g(x)\)の増減表。

\(f(x) = \mid g(x)\mid\)であるから、\(lk\)平面に\((i), (ii), (iii)\)を図示すると、下の図のようになる。\(l = 3k-1\)と\(l = 2k\sqrt{k}\)は\(k = 1\)で接することに注意する。

\(l = 1-3k\)と\(l = 2k\sqrt{k}\)は点\(\displaystyle \left(\frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)\)で交わる。

よって\(M(k)\)は\(\displaystyle k = \frac{1}{4}\)のときに最小値\(\displaystyle \underline{\frac{1}{4}}\)をとる。

解説

最大値の候補としては\(0, 2k\sqrt{k}, 3k-1\)がある。ただし、\(2k\sqrt{k}\)は\(k\)が負のときには考えることはできない。候補を挙げて全てのグラフを同じ平面上に描く。その後で最大値を取る部分だけを太線などでなぞってしまえば良い。最大値を取る部分はグラフの一番上の部分なので、目で見てどんな時に最大かが分かる。後はその太線の一番大きい部分なり、小さい部分なりを求めれば解決である。古い問題であるが、同様な問題は今でも毎年どこかの大学で出題されている。細かい場合分けは後で目で見ながらしてしまえばいいというおおざっぱな考え方が重要である。初めから式でやろうとすると場合漏れや計算ミスが出てくる。解答の考え方を身につけられるとミスを減らすことが出来るようになる。なお、\(l = 2k\sqrt{k}\)のとき\(\displaystyle \frac{dl}{dk} = 2\sqrt{k} + \frac{k}{\sqrt{k}} = 3\sqrt{k}\)なので、\(l = 2k\sqrt{k}\)の点\((1, 2)\)における接線は\(l = 3(k-1)+2 = 3k-1\)となる。

関連問題

1986年東京大学文系数学問題1 簡単な場合分け
1987年東京医科歯科大学数学問題3 二次関数とグラフ
2015年東京大学理系数学問題1 領域の図示、存在証明、2次方程式の解の配置

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