問題
平面上の点\(O\)を中心とする半径\(1\)の円周上の点\(P\)をとり、円の内部または周上に\(2\)点\(Q, R\)を、\(\triangle{PQR}\)が\(1\)辺の長さ\(\displaystyle \frac{2}{\sqrt{3}}\)の正三角形となるようにとる。このとき、\({OP}^2+{OR}^2\)の最大値および最小値を求めよ。
方針
点\(P\)は適当に\((1, 0)\)などとしても一般性は失われない。
解答
点\(P (1, 0)\)とする。このとき、点\(P\)を中心とする半径\(\displaystyle \frac{2}{\sqrt{3}}\)の円を考える。点\(R\)はこの円周上で、単位円の内部にある部分を動くものとして良い。さらに、\(x\)軸に関する対称性から\(y > 0\)の部分を動くものとしても良い。
図を参考にすると、\({OP}^2+{OR}^2\)は\(R\)が図の点\(A\)にあるときに最大になる。このとき、\(Q\)の位置を求める。点\(A\)の座標は\(x^2+y^2 = 1\)と点\(P\)を中心とする半径\(\displaystyle \frac{2}{\sqrt{3}}\)の円\(\displaystyle (x-1)^2+y^2 = \frac{4}{3}\)を連立させて、\(\displaystyle A\left(\frac{1}{3}, \frac{2\sqrt{2}}{3}\right)\)となる。\(\overrightarrow{AQ}\)は\(\overrightarrow{AP}\)を\(\displaystyle -\frac{1}{3}\pi\)回転したものなので、$$\begin{eqnarray}\overrightarrow{AQ} & = & \begin{pmatrix}\frac{1}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2}\\ -\frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{1}{2}\end{pmatrix}\overrightarrow{AP}\\ & = & \begin{pmatrix}\frac{1}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2}\\ -\frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{1}{2}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\frac{2}{3} \\ -\frac{2\sqrt{2}}{3}\end{pmatrix}\\ & = & \frac{1}{3}(1-\sqrt{6}, -\sqrt{3}-\sqrt{2})\end{eqnarray}$$となる。よって、$$\begin{eqnarray}\overrightarrow{OQ} & = & \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AQ} \\ & = & \frac{1}{3}(2-\sqrt{6}, -\sqrt{3}+\sqrt{2})\end{eqnarray}$$となる。$$\frac{1}{9}\left((2-\sqrt{6})^2 + (-\sqrt{3}+\sqrt{2})^2\right) = \frac{5-2\sqrt{6}}{3} < 1$$であるから、これは単位円の中に含まれている。よって、\({OP}^2+{OR}^2\)の最大値は$$\begin{eqnarray}{OP}^2 + {OA}^2 & = & 1 + \frac{1}{9}(1+8)\\ & = & \underline{2}\end{eqnarray}$$となる。
次に、上で求めた点\(Q\)の\(x\)軸に関して対称な点を\(B\)とすると、点\(R\)が\(B\)にあるとき、\({OP}^2+{OR}^2\)は最小となる。なぜならば、点\(R\)を円周\(\displaystyle (x-1)^2 + y^2 = \frac{4}{3}\)上の\(x^2+y^2 = 1\)の内部にある部分を\(A\)から下に移動させると、点\(B\)に到達したときに点\(Q\)は単位円周上に到達し、点\(R\)をさらに下に移動させると点\(Q\)が単位円からはみ出してしまうからである。よって、\({OP}^2+{OR}^2\)の最小値は、$$\begin{eqnarray}{OP}^2+{OB}^2 & = & {OP}^2 + {OQ}^2 \\ & = & 1 + \frac{1}{9}((2-\sqrt{6})^2 + (-\sqrt{3}+\sqrt{2})^2)\\ & = & \underline{\frac{2}{3}(4-\sqrt{6}) } \end{eqnarray}$$となる。
解説
解答のように点\(P\)を固定させるところが第一歩で、それが出来ないと始まらない。最大値の方はまだなんとかなるだろうが、点\(R\)が解答の図の\(A\)に一致するとき、実際に条件を満たすかどうかは、正三角形のもう一方の頂点\(Q\)が単位円の中に含まれていることを示す必要がある。そうすると、実際に点\(Q\)は求める必要があるだろう。これを求めるときには回転行列を用いている。ベクトル\(\overrightarrow{a}\)を平面上で角度\(\theta\)だけ回転させたものは、$$\begin{pmatrix}\cos{\theta} & -\sin{\theta}\\ \sin{\theta} &\cos{\theta}\end{pmatrix}\overrightarrow{a}$$となる。これがさっと出てこないと、直線を求め、交点を求め\(\cdots\)などといくら時間があっても足りない。最小値に関しては最大値を求める過程の図が使える。東京大学では正三角形の問題がよく出題されるが、難問になりやすい印象がある。
関連問題
2000年京都大学前期文理共通問題文系問題1理系問題1 正三角形、余弦定理、円
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