[math]2017年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

連続関数\(f(x)\)と定数\(a\)が次の関係式を満たしているとする。$$\int_{0}^{x}{f(t)dt} = 4ax^3+(1-3a)x + \int_{0}^{x}{\left\{\int_{0}^{u}{f(t)dt}\right\}du} + \int_{x}^{1}{\left\{\int_{u}^{1}{f(t)dt}\right\}du}$$このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(a\)と\(f(1)+f(1)\)の値を求めよ。
\((2)\) \(g(x) = e^{-2x}f(x)\)とおくとき、\(g(x)\)の導関数\(g^{\prime}(x)\)を求めよ。ここで\(e\)は自然対数の底を表す。
\((3)\) \(f(x)\)を求めよ。

方針

\(\displaystyle F(x) = \int_{0}^{x}{f(u)du}\)とおく。

解答

\((1)\) \(\displaystyle F(x) = \int_{0}^{x}{f(u)du}\)とする。$$\begin{eqnarray}\int_{u}^{1}{f(t)dt} & = & \int_{0}^{u}{f(t)dt}+\int_{u}^{1}{f(t)dt} -\int_{0}^{u}{f(t)dt} \\ & = & \int_{0}^{1}{f(t)dt}-F(u)\\ & = & F(1)-F(u)\end{eqnarray}$$であるから、与えられた等式は$$\begin{eqnarray}F(x) & = & 4ax^3+(1-3a)x + \int_{0}^{x}{F(u)du}-\int_{1}^{x}{(F(1)-F(u))du}\\ & = & 4ax^3+(1-3a)x + \int_{0}^{x}{F(u)du} + \int_{1}^{x}{F(u)du}-F(1)(x-1) \tag{a}\label{a}\end{eqnarray}$$となる。\eqref{a}で\(x =0, 1\)とすると、$$\begin{eqnarray}F(0) & = & \int_{1}^{0}{F(u)du}+F(1)\\ & = & -\int_{0}^{1}{F(u)du} + F(1)\\ F(1) & = & a+1 +\int_{0}^{1}{F(u)du}\end{eqnarray}$$となる。\(F(0)+F(1)\)を計算すると、\(F(0)= a+1\)となるが、\(F(0) = 0\)なので、\(\underline{a = -1}\)となる。また、\eqref{a}の両辺を\(x\)で微分して、$$\begin{eqnarray}f(x) & = & 12ax^2+1-3a + F(x) + F(x)-F(1)\\ & = & 12ax^2+1-3a + 2F(x)-F(1) \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$を得る。\eqref{b}で\(x = 0, 1\)とすると、$$\begin{eqnarray}f(0) & = & 1-3a-F(1)\\ & = & 4-F(1)\\ f(1) & = & 9a+1+F(1)\\ & = & -8 + F(1)\end{eqnarray}$$となる。したがって、\(\underline{f(0)+f(1) = -4}\)となる。

\((2)\) \eqref{b}の両辺を\(x\)で微分して、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(x) & = & 24ax+2f(x)\\ & = & -24x+ 2f(x) \tag{c}\label{c}\end{eqnarray}$$である。\(g(x) = e^{-2x}f(x)\)であるから、$$\begin{eqnarray}g^{\prime}(x) & = & e^{-2x}f^{\prime}(x) -2e^{-2x}f(x)\\ & = & e^{-2x}(f^{\prime}(x)-2f(x))\end{eqnarray}$$である。\eqref{c}から、\(\underline{g^{\prime}(x) = -24xe^{-2x}}\)となる。

\((3)\) \((2)\)から\(g(x) = (ax+b)e^{-2x}+C\)という形になることが予想される。ただし、\(C\)は積分定数である。微分すると、\(g^{\prime}(x) = (a -2(ax+b))e^{-2x}\)となり、これが\(-24xe^{-2x}\)と一致するので、\(a = 12, b = 6\)となる。これより\(g(x) = 6(2x+1)e^{-2x} + C\)となるが、\((1)\)を用いると、$$\begin{eqnarray}f(0) + f(1) & = & g(0) + e^2g(1)\\ & = & 6+C + e^2(18e^{-2}+C) \\ & = & 24 + C(e^2+1)\\ & = & -4\end{eqnarray}$$となる。よって、\(\displaystyle C = -\frac{28}{e^2+1}\)となり、\(\displaystyle f(x) = e^{2x}g(x) = \underline{6(2x+1) -\frac{28}{e^2+1}e^{2x}}\)と求まる。

解説

微分方程式の出題である。\(\displaystyle \int_{1}^{u}{f(t)dt}\)を丁寧に処理するのがポイントになる。\((3)\)で\(g(x)\)を求める部分であるが、部分積分を繰り返す方針は、\(e^{-2x}\)など現れるときに計算ミスを犯しやすくなる。解答のようにはじめから形を予想して微分してしまうのが手筋なので、覚えておくと良い。

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関連リンク

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