[math][東京医科歯科大学][複素数平面]2003年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

以下の各問いに答えよ。
\((1)\) 次の条件\((a), (b)\)を同時に満たす複素数\(z\)をすべて求め、複素数平面上に図示せよ。ただし\(\bar{z}\)は\(z\)の共役複素数を表す。
\(\ \ (a)\) \(|z|\leq 1\)
\(\ \ (b)\) \(z+\bar{z}\)および\(z\bar{z}\)はともに整数
\((2)\) 次の条件\((c), (d)\)を同時に満たす点\(P(p, q)\)をすべて求め、座標平面上に図示せよ。
\(\ \ (c)\) \(p, q\)は整数。
\(\ \ (d)\) \(|z| > 1\)を満たす任意の複素数\(z\)に対して\(z^2-pz+q\ne 0\)が成立する。

方針

複素数平面についての平易な出題である。

解答

\((1)\) \(z = a+bi\)と置くと、条件\((a)\)から$$\sqrt{a^2+b^2}\leq 1$$であり、条件\((b)\)から$$z+\bar{z} = 2a, z\bar{z} = a^2+b^2$$はともに整数である。したがって、\(a^2+b^2 = 0, 1\)である。\(a^2+b^2 = 0\)のときは\((a, b) = (0, 0 )\)である。\(a^2+b^2= 1\)のときは、\(-1\leq a\leq 1\)であり、\(2a\)は整数だから、\(2a = 0, \pm1, \pm 2\)である。つまり、\(\displaystyle a = 0, \pm\frac{1}{2}, \pm 1\)である。これから\(\displaystyle (a, b) = (0, \pm 1), \left(\pm\frac{1}{2}, \pm \frac{\sqrt{3}}{2}\right), \left(\pm 1, 0\right)\)である(複号任意)。図示すると以下の図のようになる。

解答模式図。

\((2)\) 条件\((d)\)については対偶を考える。すなわち、「\(z^2-pz+q = 0\)が成立するならば、\(|z|\leq 1\)である」を考える。以下、\(f(x) = z^2-pz+q\)と置く。
\(\ \ (i)\) \(f(z) = 0\)が実数解を持つとき、その\(2\)つの解は\(-1\leq z\leq 1\)にあるので、次の条件が成り立つ。$$\begin{cases}\displaystyle -1\leq \frac{p}{2}\leq 1\\ p^2-4q \geq 0\\ f(1) \geq 0\\ f(-1)\geq 0\end{cases}$$すなわち、$$\begin{cases}-2\leq p\leq 2\\ \displaystyle q\leq \frac{p^2}{4}\\ q\geq p-1\\ q\geq -p-1\end{cases}$$である。条件\((c)\)より、一番上の式から\(p = -2, -1, 0, 1, 2\)と絞り込みできる。すると、順に$$\begin{eqnarray}q\leq 1, q\geq -3, q\geq 1 \rightarrow q = 1\\ q\leq \frac{1}{2}, q\geq -2, q\geq 0\rightarrow q = 0\\ q\leq 0, q\geq -1, q\geq -1 \rightarrow q =-1, 0\\ q\leq \frac{1}{2}, q\geq 0, q\geq -2 \rightarrow q = 0\\ q\leq 1, q\geq 1, q\geq -3 \rightarrow q = 1\end{eqnarray}$$となる。よって、求める\(p, q\)の組は\((p, q) = (-2, 1), (-1, 0), (0, -1), (0, 0), (1, 0), (2, 1)\)である。
\(\ \ (ii)\) \(f(z) = 0\)が虚数解を持つとき、解の係数の関係から、$$\begin{cases}z + \bar{z} = p\\ z\bar{z} = q\end{cases}$$はともに整数である。また、\(|z|\leq 1\)である。すると、\((1)\)からそのような虚数\(z\)は\(\displaystyle z = \pm i, \frac{\pm 1\pm \sqrt{3}}{2}\)(複号任意)となる。このとき、\((p, q) = (0, 1), (1, 1), (-1, 1)\)である。

以上から、\(\underline{(p, q) = (-2, 1), (-1, 0), (0, -1), (0, 0), (1, 0), (2, 1), (0, 1), (1, 1), (-1, 1)}\)である。

解説

\((1)\) 結果を\((2)\)で用いるので、ここでのミスは可能な限り避けたい。

\((2)\) もとの条件\((d)\)は考えにくいので対偶をとる。解が実数かどうかでの場合分けは必要である。実数の場合は二次方程式の解の配置の問題に、虚数の場合は\((1)\)を利用できる。

関連問題

1992年東京大学前期文系数学問題1 解の公式、解と係数の関係、判別式、複素数
2000年京都大学前期理系数学問題4 複素数、整数、二項係数
2022年東京工業大学数学問題1 判別式と複素数、解と係数の関係

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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