[math][東京医科歯科大学][確率]1995年東京医科歯科大学数学問題1

antique bills business cash math
Photo by Pixabay on Pexels.com

問題

袋の中に\(1, 2, 3, 4\)の番号が書かれた球がそれぞれ\(1\)個ずつ入っている。この袋から無作為に\(1\)個取り出してはもとにもどす操作を\(4\)回くり返したときに得られる球の番号を順に\(X_1, X_2, X_3, X_4\)とする。行列\(\displaystyle A = \begin{pmatrix}X_1 & X_2 \\ X_3 & X_4\end{pmatrix}\)を考え、\(A\)によって表される座標平面上の\(1\)次変換を\(f\)とする。
\((1)\) \(A\)の逆行列が存在する確率を求めよ。
\((2)\) 直線\(x + 2y = 0\)の\(f\)による像が直線となる確率を求めよ。

方針

一次変換という語はあるが、中身は確率の問題である。

解答

\((1)\) \(detA = X_1X_4-X_2X_3\)であるから、これが\(0\)になる\(X_1X_4 = X_2X_3\)のときを考える。\(X_1X_4\)の取りうる値は\(1,2, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 16\)の\(9\)通りである。
\(X_1X_4 = 1\)のとき、\((X_1, X_4) = (1, 1)\)の\(1\)通り。
\(X_1X_4 = 2\)のとき、\((X_1, X_4) = (1, 2), (2, 1)\)の\(2\)通り。
\(X_1X_4 = 3\)のとき、\((X_1, X_4) = (1, 3), (3, 1)\)の\(2\)通り。
\(X_1X_4 = 4\)のとき、\((X_1, X_4) = (1, 4), (2, 2), (4, 1)\)の\(3\)通り。
\(X_1X_4 = 6\)のとき、\((X_1, X_4) = (2, 3), (3, 2)\)の\(2\)通り。
\(X_1X_4 = 8\)のとき、\((X_1, X_4) = (2, 4), (4, 2)\)の\(2\)通り。
\(X_1X_4 = 9\)のとき、\((X_1, X_4) = (3, 3)\)の\(1\)通り。
\(X_1X_4 = 12\)のとき、\((X_1, X_4) = (3, 4), (4, 3)\)の\(2\)通り。
\(X_1X_4 = 16\)のとき、\((X_1, X_4) = (4, 4)\)の\(1\)通り。
である。\(X_2X_3\)が\(X_1X_4\)と等しいときも同じ場合だけの\((X_2, X_3)\)の選び方があるので、\(X_1X_4 = X_2X_3\)となるのは、$$1^2+2^2+2^2+3^3+2^2+2^2+1^2+2^2+1^2 = 32$$通りである。よって、\(A\)の逆行列が存在しない確率は\(\displaystyle \frac{32}{4^4} = \frac{1}{8}\)であるから、求める確率は\(\displaystyle 1-\frac{1}{8} = \underline{\frac{7}{8}}\)である。

\((2)\) \(x + 2y = 0\)を満たす\(x, y\)に対して、$$\begin{eqnarray}\begin{pmatrix}X_1 & X_2 \\ X_3 & X_4\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\ y\end{pmatrix} & = & \begin{pmatrix}X_1x+X_2y\\ X_3x+X_4y\end{pmatrix}\\ & = & \begin{pmatrix}y(-2X_1+X_2)\\ y(-2X_3+X_4)\end{pmatrix}\end{eqnarray}$$である。この点を\((X, Y)\)とする。\(-2X_1+X_2 = k, -2X_3 + X_4 = l\)と置くと、$$(X, Y) = y(k, l)$$である。これが直線にならないのは\(k, l\)が両方とも\(0\)のときである。\(k = 0\)のときを考えると、$$k = -2X_1 + X_2$$であるから\((X_1, X_2) = (1, 2), (2, 4)\)のときである。\(l = 0\)となるのも同様に\((X_3, X_4) = (1, 2), (2, 4)\)のときであるから、\((X, Y)\)が直線にならないのは、\(2\times 2 = 4\)通りである。したがって、求める確率は\(\displaystyle 1-\frac{4}{4^3} = \underline{\frac{63}{64}}\)である。

解説

\((1)\) 解答のように余事象を数え上げるのが一番早いだろう。確率や場合の数の問題ではある程度数え上げる目星がついたらうまいことやろうとせずに地道に数え上げるのが試験場では一番安全だろう。もちろん日頃の学習では、いい方法を探すことは重要であるが。特に時間の制限のきつい試験会場では、きっちりと数え上げることが何もよりも大切であろう。

\((2)\) ここでも余事象を考える。

関連問題

1994年京都大学前期文系数学問題4 確率と漸化式、7で割り切れる確率
1995年京都大学前期文理共通問題文系問題5理系問題5 電車で端に座る確率
2015年東京医科歯科大学数学問題1 場合の数と確率、ガウス記号

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

コメント

タイトルとURLをコピーしました