統合失調症の一族
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この本が凄すぎて一気に読んでしまった。\(12\)人いる子供のうち、半数の\(6\)人もが統合失調症になってしまった米国の一家についてのドキュメンタリー。厳格な父母に育てられ、容姿端麗で運動能力も高い子どもたちが、どのようにして狂気に陥っていたのか?家族史について異様なまで詳細な記述を含み、すぐそばにいる兄たちが狂っていく様子が見てきたかのように描写されていく。また、家族の凄惨な歴史と並行して精神医学界における統合失調症との戦いも詳細に記述され、ちょうど自分がGWAS解析に関わっていることもあり、非常に興味深く読めた。これはもの凄い一冊だと感じられる。兄たちがどんどん狂っていく姿を目の当たりにし、自らも発症の恐怖に怯えながら、それでも統合失調症と戦う妹のリンジーのこのセリフが胸を打つ。
自分たちの家族は重要だ。私たちを恥ずべきものとして隠したりしないでほしい。私たちの一家にも、別の生き方ができていいはずではないか?
終章を読んだとき、本当に涙が出てくる。統合失調症という疾患を文字通り生き抜いた家族が、どのように生きていこうと選択したかについて。
訳者
サピエンス全史の柴田先生が訳者。この人の翻訳は外したことがない。素晴らしいの一言。
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