問題
\(a, b\)を正の実数、\(p\)を\(a\)より小さい正の実数とし、すべての実数\(x\)について$$\int_{p}^{f(x)}{\frac{a}{u(a-u)}du} = bx\ \ 0<f(x)<a$$かつ\(f(0) = p\)を満たす関数\(f(x)\)を考える。このとき以下の各問に答えよ。
\((1)\) \(f(x)\)を\(a, b, p\)を用いて表わせ。
\((2)\) \(\displaystyle f(-1) = \frac{1}{2}, f(1) = 1, f(3) = \frac{3}{2}\)のとき、\(a, b, p\)を求めよ。
\((3)\) \((2)\)のとき、\(\displaystyle \lim_{x\to-\infty}{f(x)}\)と\(\displaystyle \lim_{x\to\infty}{f(x)}\)を求めよ。
方針
何が変数で何が定数なのかに注意する。
解答
\((1)\) \(\displaystyle \frac{a}{u(a-u)} = \frac{1}{u} + \frac{1}{a-u}\)であるから、$$\begin{eqnarray}\int_{p}^{f(x)}{\frac{a}{a(a-u)}du} & = & \left[\log{u}-\log{|a-u|}\right]_{p}^{f(x)} \\ & = & \log{\frac{f(x)}{a-f(x)}}-\log{\frac{p}{a-p}}\end{eqnarray}$$となる。これが\(bx\)に等しいから、$$\begin{eqnarray}\log{\frac{f(x)}{a-f(x)}} & = & \log{e^{bx}}+\log{\frac{p}{a-p}}\\ & = & \log{e^{bx}\cdot \frac{p}{a-p}}\\ \iff \frac{f(x)}{a-f(x)} & = & e^{bx}\cdot \frac{p}{a-p}\end{eqnarray}$$となる。整理して、\(\displaystyle \underline{f(x) = \frac{ape^{bx}}{a-p+pe^{bx}}}\)となる。
\((2)\) 与えられた条件から、$$\begin{cases}\displaystyle \frac{ape^{-b}}{a-p+pe^{-b}} & = & \displaystyle \frac{1}{2}\\ \displaystyle \frac{ape^{b}}{a-p+pe^{b}} & = & 1\\ \displaystyle \frac{ape^{3b}}{a-p+pe^{3b}} & = & \displaystyle \frac{3}{2}\end{cases} \ \ \tag{a}\label{a}$$である。\eqref{a}の一番上の式から$$e^{b} = \frac{p(2a-1)}{a-p}\ \ \tag{b}\label{b}$$であり、\eqref{b}真ん中の式から$$e^{b} = \frac{a-p}{p(a-1)}\ \ \tag{c}\label{c}$$である(\(a = 1\)とすると\(p = a\)となり矛盾)。\eqref{a}の一番下の式から、$$e^{3b} = \frac{3(a-p)}{p(2a-3)} \ \ \tag{d}\label{d}$$である(ここでも\(2a-3 = 0\)とすると\(p = a\)となり矛盾)。
\eqref{d}を\eqref{c}で\(2\)回割ると、$$e^b = \frac{3(a-p)}{p(2a-3)}\cdot \frac{p(a-1)}{a-p}\cdot\frac{p(a-1)}{a-p}$$であるが、これが\eqref{b}と等しいので、$$\frac{3(a-p)}{p(2a-3)}\cdot \frac{p(a-1)}{a-p}\cdot\frac{p(a-1)}{a-p} = \frac{p(2a-1)}{a-p}$$である。これを整理すると、$$3(a-1)^2 = (2a-3)(2a-1)$$である。したがって、\(a^2-2a=0\)となり、\(a \ne 0\)から\(a = 2\)がわかる。これを\eqref{b}, \eqref{d}に代入すると順に$$\begin{cases}e^b & = & \displaystyle \frac{3p}{2-p} \tag{e}\label{e}\\ e^{3b} & = & \displaystyle \frac{3(2-p)}{p}\end{cases}$$であり、辺ごとに掛けて、\(e^{4b} = 9\)となる。これから\(\displaystyle b = \frac{\log{3}}{2}\)となる。これを\eqref{e}に代入して、\(p = \sqrt{3}-1\)となる。以上から、\(\displaystyle \underline{a = 2, b = \frac{\log{3}}{2}, p = \sqrt{3}-1}\)である。
\((3)\) \((1), (2)\)から\(\displaystyle f(x) = \frac{2(\sqrt{3}-1)3^{\frac{x}{2}}}{3-\sqrt{3}+(\sqrt{3}-1)3^{\frac{x}{2}}}\)である。よって、\(\displaystyle \underline{\lim_{x\to-\infty}{f(x)} = 0, \lim_{x\to\infty}{f(x)} = 2}\)となる。
解説
決して難しくはない微分・積分の計算問題であるが、文字が多く試験場では混乱した受験生もいたかもしれない。特に\((2)\)は要領よく計算しないと泥沼にハマりかねない。とはいえ近年の医科歯科大学の出題からすると、易しめの問題であると言えよう。
関連問題
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2018年東京医科歯科大学数学問題3 微分と逆関数
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