[math]1995年東京大学前期理系数学問題1

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問題

すべての正の実数\(x, y\)に対し$$\sqrt{x}+\sqrt{y} \leq k \sqrt{2 x+y}$$が成り立つような実数\(k\)の最小値を求めよ。

方針

微分でもコーシー・シュワルツの不等式でも良い。

解答

\(t\)を正の実数として、\(f(t) = \frac{\sqrt{t}+1}{\sqrt{2 t+1}}\)と置く。\(f^{\prime}(t)\)の分子は$$=\frac{1}{2\sqrt{t}}\cdot \sqrt{2t+1}-\frac{1}{\sqrt{2t+1}}\cdot (\sqrt{t}+1)$$

$$=\frac{1-2\sqrt{t}}{2\sqrt{t}\sqrt{2t+1}}$$

である。したがって、\(f(t)\)は\(\sqrt{t}= \frac{1}{2}, t = \frac{1}{4}\)の時に最大値を取る。$$f\left(\frac{1}{4}\right) = \sqrt{\frac{3}{2}}$$であるから、$$\frac{\sqrt{t}+1}{\sqrt{2t + 1}} \leq \sqrt{\frac{3}{2}}$$である。\(t = \frac{x}{y}\)として代入して整理すると、$$\frac{\sqrt{x} + \sqrt{y}}{\sqrt{2x+y}}\leq \sqrt{\frac{3}{2}}$$が分かる。等号は\(\frac{y}{x}=\frac{1}{4}\)の時に成立する。したがって、求める\(k\)の最小値は

\(\sqrt{\frac{3}{2}}\)

である。

別解

Cauchy-Schwarzの不等式から、$$(\frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \sqrt{2x}+\sqrt{y})^2\leq (\frac{1}{2}+1)(2x + y)$$である。変形して、

$$\sqrt{x}+\sqrt{y}\leq \sqrt{\frac{3}{2}}\sqrt{2x+y}$$であり、\(k=\sqrt{\frac{3}{2}}\)が必要であることが分かる。十分性を満たす例として\(x=1, y=4\)が取れるので、求める答えは

\(\sqrt{\frac{3}{2}}\)

である。

解説

Cauchy-Schwarzの不等式は、$$(a_1b_1+a_2b_2)^2\leq ({a_1}^2 + {a_2}^2)({b_1}^2+{b_2}^2)$$として知られる不等式である。\(a_i, b_i\)に大小など細かい条件はいらない。この不等式は素直に計算しても示せるが、ベクトルの内積を考えるのが直感的にわかりやすい。

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コメント

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