[math]2002年度東京医科歯科大学前期数学問題2

問題

\((1)\) \(xy\)平面上の曲線$$y = (x-\alpha)^2(x-\beta) (\alpha, \betaは定数)$$の変曲点の座標を\(\alpha, \beta\)を用いて表わせ。
\((2)\) \(xy\)平面上の曲線$$C: y = x^3-3x^2+ax+b\ (a, bは定数)$$を考える。曲線\(C\)上の点\(P\)における\(C\)の接線が\(P\)と異なる点\(Q\)において\(C\)と交わり、\(Q\)における\(C\)の接線が\(Q\)と異なる点\(R\)において\(C\)と交わっているとする。\(P, R\)の\(x\)座標をそれぞれ\(p, r\)とするとき\(p\)を用いて\(r\)を表わせ。

方針

変曲点の\(x\)座標は\(y^{\prime\prime} = 0\)を満たす\(x\)である。

解答

\((1)\) \(y = (x-\alpha)^2(x-\beta)\)を\(x\)で微分して、$$\begin{eqnarray}y^{\prime} & = & 2(x-\alpha)(x-\beta) + (x-\alpha)^2 \\ & = & (x-\alpha)(3x-\alpha-2\beta)\end{eqnarray}$$となる。さらに微分して、$$\begin{eqnarray}y^{\prime\prime} & = & (3x-\alpha-2\beta) + 3(x-\alpha) \\ & = & 6x-4\alpha-2\beta\end{eqnarray}$$である。変曲点の座標は\(y^{\prime\prime} = 0\)を満たすから、求める座標は\(\displaystyle x = \frac{2\alpha+\beta}{3}\)である。このとき$$\begin{eqnarray}y & = & \left(\frac{2\alpha+\beta}{3}-\alpha\right)^2\left(\frac{2\alpha+\beta}{3}-\beta\right) \\ & = & \frac{2}{27}(\alpha-\beta)^2\end{eqnarray}$$となる。求める答えは\(\displaystyle \underline{\left(\frac{2\alpha+\beta}{3}, \frac{2}{27}(\alpha-\beta)^2\right)}\)となる。

\((2)\) \(y = x^3-3x^2+a+b\)を\(x\)で微分して、\(y^{\prime} = 3x^2-6x+a\)となるから、点\(P(p, p^3-3p^2+ap+b)\)における\(C\)の接線は$$\begin{eqnarray}y & = & (3p^2-6p+a)(x-p) + p^3-3p^2+ap+b \\ & = & (3p^2-6p+a)x-2p^3+3p^2+b \end{eqnarray}$$となる。この直線が\(C\)と交わる点を求める。この方程式と\(C: y = x^3-3x^2+ax+b\)を連立させて、$$x^3-3x^2+ax+b = (3p^2-6p+a)x-2p^3+3p^2+b$$である。整理して、$$x^3-3x^2-(3p^2-6p)x+2p^3-3p^2 = 0$$である。したがって、$$(x-p)^2(x+2p-3) = 0$$となる。これから、点\(Q\)の\(x\)座標を\(q\)とすると、\(q = -2p+3\)である。\(q\ne p\)より\(p\ne 1\)であることに注意する。さて、全く同様に考え、\(r = -2q+3\ (q \ne 1)\)である。よって、\(r = -2(-2p+3)+3 = \underline{4p-3\ (p\ne1)}\)が求める答えである。

解説

一般の関数に対して変曲点とは、関数の凹凸が変化する点として定義される。が、少なくとも\(3\)次関数に関しては二階微分が\(0\)になる点として覚えてしまって良いだろう。\(3\)次関数の二階微分は一次関数なので変曲点はすぐに求めることができる。

\(3\)次関数の変曲点に関しては色々な性質がある。例えば\(3\)次関数のグラフは変曲点に関して点対称である。また、極大値・極小値を取る点の\(x\)座標を順に\(x = \gamma, \delta\)とすると、変曲点の\(x\)座標は\(\displaystyle x = \frac{\gamma+\delta}{2}\)となる。この問題でも極値を取る\(x\)の値は\(\alpha, \frac{\alpha+2\beta}{3}\)なのでこの性質が成り立っている。

\((2)\)は色々な解き方がある。\((1)\)を誘導と見て使っても良いし、解答のように直接交わる座標を求めてしまってもいいだろう。現れる\(3\)次方程式が\((x-p)^2\)で割り切れるのは当然と思えるだろうか。点\(P\)で接している直線として式を立てているので当然であるのだが。

コメント

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