[math]2012年東京医科歯科大学前期数学問題2

woman in blue scrub suit standing beside man in white button up shirt math
Photo by RODNAE Productions on Pexels.com

問題

\(a^2+b^2=1\)を満たす正の実数\(a, b\)の組\((a, b)\)の全体を\(S\)とする。\(S\)に含まれる\((a, b)\)に対し、\(xyz\)空間内に\(3\)点\(P(a, b, b), Q(-a, b, b), R(0, 0, b)\)をとる。また原点を\(O\)とする。このとき以下の各問に答えよ。
\((1)\) 三角形\(OPQ\)を\(x\)軸のまわりに\(1\)回転してできる立体を\(F_1\)とする。\((a, b)\)が\(S\)の中を動くとき、\(F_1\)の体積の最大値を求めよ。
\((2)\) 三角形\(PQR\)を\(x\)軸のまわりに\(1\)回転してできる立体を\(F_2\)とする。\(\displaystyle a = b = \frac{1}{\sqrt{2}}\)のとき、\(F_2\)の\(xy\)平面による切り口の周を\(xy\)平面上に図示せよ。
\((3)\) 三角形\(OPR\)を\(x\)軸のまわりに\(1\)回転してできる立体を\(F_3\)とする。\((a, b)\)が\(S\)の中を動くとき、\(F_3\)の体積の最大値を求めよ。

方針

立体図形の鉄則は、あるひとつの平面で立体を切って考えることである。人間は\(3\)次元を瞬時に把握できないが、\(2\)次元ならば把握しやすいからである。この平面の選択としては、回転軸をとることが多い。

解答

\((1)\) 題意の立体は、底面が半径\(\sqrt{2}b\)、高さが\(2a\)の円柱から、半径\(\sqrt{2}b\)、高さ\(a\)の円錐を\(2\)つ除いたものである。\(F_1\)の体積を\(f_1(a, b)\)とすると、$$\begin{eqnarray}f_1(a, b) & = & (\sqrt{2}b)^2\pi\cdot 2a -2\cdot (\sqrt{2}b)^2\pi\cdot \frac{a}{3} \\ & = & \frac{8ab^2}{3}\pi \\ & = & \frac{8\pi}{3}a(1-a^2)\end{eqnarray}$$である。したがって、$$\begin{eqnarray}\frac{df_1(a, b)}{da} & = & \frac{8\pi}{3}(1-3a^2)\end{eqnarray}$$となる。これより、\(f_1(a, b)\)は\(\displaystyle a = \frac{1}{\sqrt{3}}\)のときに最大値をとる。このとき、\(\displaystyle \underline{F_1 = \frac{16\sqrt{3}\pi}{27}}\)となる。

立体概略図。
円柱から円錐を除く。

\((2)\) \(x = t\)で\(F_2\)を切ったとする。このとき、下の図から回転軸である\(x\)軸から一番近いのは、点\(A\)であり、一番遠いのは点\(B\)である。

\(xy\)平面でみた\(F_2\)の切り口。

\(xy\)平面上で直線\(PR\)の方程式は\(\displaystyle y = \frac{b}{a}x\)だから、点\(A\)の座標は\(\displaystyle A\left(t, \frac{b}{a}t, b\right)\)となる。また、点\(B\)の座標は\(\displaystyle B(t, b, b)\)である。\(F_2\)は\(x\)軸を回転軸にした立体なので、\(F_2\)の満たす方程式を\((x, y, z)\)で考えると、$$\sqrt{\left(\frac{b}{a}t\right)^2+b^2}\leq \sqrt{y^2+z^2}\leq \sqrt{b^2+b^2}\ (0\leq t\leq a) $$となる。\(\displaystyle a=b=\frac{1}{\sqrt{2}}\)を代入して、また\(xy\)平面での切り口だから、\(z=0\)として、$$\sqrt{t^2+\frac{1}{2}}\leq \mid y\mid \leq 1$$が\(F_2\)の\(xy\)平面での切り口になる。ただし、\(\displaystyle \mid t\mid \leq \frac{1}{\sqrt{2}}\)である。図示は以下の太線の部分の様になる。

\((2)\)の解答。上の太線部。

\((3)\) \(F_3\)の体積の\(x=t\)による切り口の面積を\(f_3(t)\)とすると、\((2)\)の図から、$$\begin{eqnarray}f_3(t) & = & \pi \left((b^2+b^2)-\left(\frac{b^2}{a^2}t^2+b^2\right)\right) \\ & = & \pi \cdot\frac{b^2}{a^2}(a^2-t^2) \end{eqnarray}$$である。\(0\)から\(a\)まで\(t\)で積分して、\(F_3\)の体積は、$$\begin{eqnarray}\frac{b^2}{a^2}\pi\int_{0}^{a}{(a^2-t^2)dt} & = & \frac{2\pi}{3}ab^2 \\ & = & \frac{2\pi}{3} a(1-a^2) \end{eqnarray}$$である。\((1)\)からこれは\(a = \frac{1}{\sqrt{3}}\)のときに最大値をとるから、求める\(F_3\)の最大値は\(\displaystyle \underline{\frac{4\sqrt{3}\pi}{27}}\)となる。

解説

\((1), (2), (3)\)すべてで三角形が異なる。東京医科歯科大学の数学の制限時間は\(3\)問で\(90\)分なので、\(1\)題あたり\(30\)分と考えるとなかなか厳しい問題である。\((3)\)は\((1)\)の微分をそのまま流用することができる。この年代あたりから医科歯科大学では毎年空間図形の問題が出題されている。ある平面で切って、図をしっかりと書くという基本を抑えるように心がける。

関連問題

1983年東京大学理系数学第6問 斜回転体の体積
2014年東京大学理系数学問題1 立体図形
2006年京都大学理系後期数学問題5 水の問題
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積

コメント

タイトルとURLをコピーしました