[math]1992年東京大学前期文系数学問題1

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問題

xについての方程式px2+(p2q)x(2pq1)=0が解をもち、すべての解の実部が負となるような実数の組(p,q)の範囲をpq平面上に図示せよ。
(注)複素数a+bia,bは実数、iは虚数単位)に対し、aをこの複素数の実部という。

方針

いきなり二次方程式の解の公式を使ってはいけない。

解答

(i) p=0のとき、与えられた方程式はqx+q+1=0となる。この方程式が解をもち、実部が負であるならば、q0であり、x=q+1qであるから、q+1q<0である。よって、1<q<0である。

(ii) p0のとき、与えられた二次方程式の判別式をDとする。
(a) D>0のとき、方程式は二つの異なる実数解をもつ。これをα,βとすると、α,βがともに負である条件はα+β<0,αβ>0である。解と係数の関係から、(a){p2+qp<02p+q+1p>0が求める条件になる。
(b) D=0のとき、方程式は一つの実数解をもつ。その解はx=p2+q2pだから、求める条件はp2+q2p<0である。ところで、D=(p2q)2+4p(2pq1)であるから、D=0のとき、2p+q+1p=(p2q)24p2>0となるので、求める条件は式(a)と同じになる。
(c) D<0のとき、方程式は虚数解をもつ。その解をγ,γ¯とすると、解の実部が負である条件は、γ+γ¯=2Re(γ)<0である。ただし、Re(γ)γの実部を表す。解の係数の関係から、条件はγ+γ¯=p2+qp<0となる。また、このとき同じく解と係数の関係からγγ¯=∣γ2=2p+q+1p>0であるから、このときも求める条件は式(a)と同じになる。

以上から、(i)の場合と式(a)を図示すればよく、下図の斜線部のようになる。ただし、境界はすべて除く。

解答図。

解説

判別式Dの正負によって場合分けをしなければいけない。そもそも2次方程式になっていないと気持ち悪いので、p0でないかどうかも調べなくてはいけない。Dは複雑な形になるが、取りあえず進めると解と係数の関係が上手く使える事に気がつく。実数x,yが共に負である必要十分条件は、x+y<0かつxy>0になる。座標平面に書いてみると当たり前で、センター試験なんかでも出題されそうだが、適切な場所で使いこなすのは中々難しいのかも知れない。Dを放置して条件を書き連ねていくと、最後にDが残ってしまう。Dpについての4次方程式で、図示しようとしても難しい。ましてやこの問題は文系での出題である。そこで場合分けして出てきた条件をよく見てみると、p2+qp<0はどれも共通して現れている。なので、(ii)(a)のもう一つの条件である、2p+q+1pも成り立っていればいいと調べてみると、それも成り立っていたというのが上の解答になる。少し天下り的に記述しているので何をやっているのか分かりづらいかも知れないが、全体的な流れは以上になる。

ともかく、実はDは全く考えなくてもよかった、というのは面白い結果であるが、普段から論理の流れを意識していないと、試験場では混乱させられてしまうだろう。複素数という言葉さえ知っていれば誰でも解ける筈の問題なのだが、ひとつピリっとくる部分がある良い問題だと思う。東京大学の数学の問題はこのように、高級な知識を幾ら詰め込んでも届かない理解が試されるものになっている。徒に難しい問題集に手を伸ばし知識を貯め込むのではなく、先ずは教科書の理解を完全なものにすることが、合格への近道と言える。基本定理の証明などを、自分の力で行えるようにしておく訓練は,有効であると考えられる。

関連問題

1997年東京大学文系前期問題4 直線の動く領域、包絡線
2015年東京大学理系数学問題1 領域の図示、存在証明、2次方程式の解の配置

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