[math]1991年東京工業大学後期数学問題1

問題

\(10\)進法表示の\(n\)桁の正の整数で、隣り合う桁の数字が互いに相異なるような数の個数を\(a_n\)とするとき、次の問いに答えよ。
\((1)\) \(a_n\)を求めよ。
\((2)\) 上の数のうちで、\(1\)の位の数字が\(0\)である数の個数を\(b_n\)とするとき、\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{\frac{b_n}{a_n}}\)を求めよ。

方針

\((2)\) 漸化式を立てる。

解答

\((1)\) 一番上の位は\(1\)から\(9\)までの中から一つ選び、それ以降の桁は\(0\)から\(9\)までの中から、一つ上の位と異なる数字を選べば良いので、\(a_n = 9\cdot 9^{n-1} = \underline{9^n}\)である。

\((2)\) \(n+2\)桁の数で、隣り合う桁の数字が互いに相異なり、\(1\)の位が\(0\)のもので、\(100\)の位が\(0\)かどうかで場合分けして考える。
\((i)\) \(100\)の位が\(0\)のとき、\(10\)の位と\(1\)の位の数を無視して考えると、このような\(n\)桁の数は\(b_n\)個あり、\(10\)の位に\(1\)から\(9\)までの数で好きなもの、\(1\)の位に\(0\)を置くと\(b_{n+2}\)が構成できる。$$\begin{eqnarray}&& 14350\bigcirc\bigcirc\\ && 143503\bigcirc \\ &&1435030\end{eqnarray}$$上の例では、\(100\)の位が\(0\)である数の、\(10\)の位に\(3\)を置き、\(1\)の位に\(0\)を置いて\(b_{n+2}\)を構成している。このような数の個数は\(9b_n\)個ある。
\((ii)\) \(100\)の位が\(0\)以外のとき、\(10\)の位は無視して、\(1\)の位に\(0\)を置く。このような数の作り方は\(b_{n+1}\)通りである。\(10\)の位に、\(100\)の位と異なる数字を選び入れると、これは\(b_{n+2}\)を構成している。このような数の個数は\(8b_{n+1}\)個である。

\((i), (ii)\)から、\(b_{n+2} = 8b_{n+1}+9b_{n}\)が分かる。また、\(1\)桁の数で隣り合う桁が異なり、末尾が\(0\)のものはないので、\(b_1 = 0\)である。\(2\)桁の数で隣り合う桁が異なり、\(1\)の位が\(0\)のものは\(10, 20, \cdots, 90\)の\(9\)個であるから、\(b_2 = 9\)である。\(b_{n+2} = 8b_{n+1}+9b_n\)の特性方程式\(t^2=8t+9\)を解くと、\(t = -1, 9\)であるから、\(b_n = \alpha(9)^{n-1}+ \beta(-1)^{n-1}\)と置ける。$$\begin{cases}b_1 = \alpha+\beta = 0\\ b_2 = 9\alpha-\beta = 9\end{cases}$$だから、\(\displaystyle \alpha = \frac{9}{10}, \beta = -\frac{9}{10}\)である。したがって、\(\displaystyle b_n = \frac{9^n+9\cdot (-1)^n}{10}\)である。以上から、\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{\frac{b_n}{a_n}} = \underline{\frac{1}{10}}\)となる。

解説

桁数の問題では頭かお尻、つまり一番高い位か低い位に着目すると良い。この問題の場合、\(1\)の位が\(0\)だと\(10\)の位は\(0\)にならないので、\(100\)の位まで考える必要があり、三項間漸化式を持ち出すことになる。三項間漸化式の解き方と特性方程式については、関連問題の東京医科歯科大学の問題を参照すると良い。

関連問題

1981年東京工業大学数学問題1 数列と極限、隠れた二進数
1994年京都大学前期文系数学問題4 確率と漸化式、\(7\)で割り切れる確率
2005年前期東京医科歯科大学数学問題1 数列、特性方程式
2021年度東京工業大学数学問題1 整数と数列

関連リンク

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